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「ライオネルさんが指揮をしてくれるのなら心強い」
よく知らないが白銀のライオネルという剣士らしい。
鋼鉄の翼にはそのほか二枚の盾となる重剣士。
魔導士が2人、僧侶1人、盗賊2人、戦士2人の10人のクランらしい。
とにかくこの町に常駐するクランの中では最強。
堅い守りから、ライオネル中心に攻撃を繰り出すバランスのいいクランだ。
その隣には紅の麒麟という女性クラン。
こっちは魔導士中心の攻撃的なメンバー構成だ。
どっちかっていうと攻撃寄り。
上級冒険者の戦いが見れるだけでも勉強になる。
暁の虎って口だけだったし、冒険者の本気の戦いをみたことはない。
たぶんぼくたちじゃ歯が立たないんだろうけどね。
「それでは、北の砦まで進もう。
そこで、作戦を伝える」
進軍の声にみんな武器を掲げる。
それを合図に全員が門を出て北に歩き始める。
僕とミリアもそれに続く。
でも、すごくゆっくりしたペースだ。
これなら北の砦まで1時間はかかるだろう。
本当は10分でつく距離なんだけどね。
先行してもしかたがないから、ぼくたちも合わせる。
「お前らも参加するのか。
足をひっぱるんじゃねえぞ」
クレイブがぼくたちに声をかける。
「ええ、がんばります。
少しは強くなっていると思います」
「おまえらなんかに出番はないぜ。
どうせ、参加報酬狙いなんだろ」
ケリーもぼくたちに悪態をつく。
べつに腹もたたない。
なんでだろ。
たぶん、ドラの村でいろいろなことを教えてもらって、精神的にも鍛えられたんだろう。
ミリアとぼくは足を速めて、先頭のほうへ行く。
やはり、上級クランは身体能力も高いのか、前のほうにいる。
普通の人の走るような速さだ。
「おっ、おまえらついてくるのか。
なかなかの健脚だな。
期待してるぞ」
鋼鉄の翼の剣士のひとりが話しかけてくれる。
「はい。がんばります」
「頼もしいな」
そう言って剣士は笑うのだった。




