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町の門の前に行くと冒険者が集まっていた。
全部で100人くらいといったところか。
ギルドマスターとともにいるのはこの町のB級クラン鋼鉄の翼、紅の麒麟。
あとはC級が4つに、D級が10といったところだ。
E級の人もいるけど、F級G級はあんまりいない。
いたとしても、上級クランの補助としてだ。
暁の虎の姿もあった。
その中には昨日の若者たちもいる。
やっぱりぼくたちの言うことは信用してもらえなかったみたいだ。
しかし、腕輪はしていない。
しばらく一緒にいてから契約したらって助言はきいてくれたみたい。
彼らも僕たちをみると、会釈する。
悪い印象はないみたいだ。
「それでは、強制クエストの説明を行う」
ギルドマスターが台に登り声を張り上げる。
いままでざわざわしてた冒険者たちは一瞬で静かになる。
そう、これからの命がけのクエスト。
その作戦や段取りを聞き逃すことは命取りとなる。
「この町の北10キロのところでオーガの集団が目撃された。
だいたい10匹程度の集団だ。
そいつらに商隊が襲われたのだ。
その商隊にはB級クランが護衛としてついていた。
もちろん商人も冒険者も全滅した。
その中の馭者の一人が命からがらこの町にたどりついた。
その男から、オーガについての報告があったのだ」
ギルドマスターは続ける。
「それで、ギルドは偵察を出すことになった。
盗賊のスキルを持ったクランが今もオーガを見張っている。
しかし、オーガの集団はこの町のほうに移動していることがわかった。
やつらが町に入ったら、この町は滅んでしまう。
もちろん他の町のギルドにも声をかけている。
とくにA級クランを派遣してくれるように要請もしている。
また、町長を通じて騎士団にも話をしてもらっている。
ただ、最近オーガの動きが早くなり、早ければ明日にも町に来るかもしれない状態だ」
「それで、我々でそいつらを倒せるのか」
一人が質問をする。
「それはわからない。
まず、オーガを町の北砦で迎え撃つ。
そこで倒せれば倒すが、もし無理なら騎士団が来るまで足止めをする。
または、一般人が町から避難するまでの時間を稼ぐ」
「それでその指示はだれが行う?」
「それはわたしがやろう。
鋼鉄の翼のライオネルだ。
わたしがこのクエストのリーダーとなろう」
ギルドマスターの横で銀色の鎧の戦士が剣をかざすのだった。
 




