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オーガが攻めて来たって。
たしかオーガっていうのは、コボルトやゴブリン、オークと違って、鬼。
悪魔族、巨人族と同じくらいやばいんじゃなかったかな。
人間と同じ知性があって、個体で強い。
一体でも災厄と呼ばれるレベル。
ドラに強くしてもらって、ブラックウッドさんたちに鍛えられたぼくたちがどれくらい通用するか試したい気持ちもある。
Eランク以上だけど、Gランクでも参加できるのだろうか。
受付の人に聞いてみる。
「あんたら死ぬよ」
真顔で言われる。
「でも、参加するのはダメですか?」
「いや駄目ってわけじゃないけど。
たぶんあんたらにどうにかできる相手じゃないよ」
「そうなんですか」
できたら戦ってみたい。
だめなら逃げればいいし。
逃げ足だけは自信がある。
ドラゴン相手でもミリアを守って逃げられると思う。
ドラゴンのアーサーはドラの友達だったけど、何度か稽古をつけてもらったことがある。
「いいじゃないの。
どうせ人手不足なんだし。
こいつらでも盾くらいにはなるでしょ」
ケリーが受付の人に言う。
暁の虎は参加しないといけないんだな。
「それにこいつら深淵の森でおれらとはぐれて戻ってきたんだぜ。
それなりに使えるかもしれないぜ」
「まあ、すこしでも戦力は必要なときです。
認めましょう。
でも、だれもあなたたちを守ってくれませんよ。
いいんですか?」
「ええ」
ぼくは返事をする。
「たぶん暁の虎なんかより、力になると思います」
ミリアはケリーに喧嘩を売る。
昨日のことがまだ糸を引いてるんだろ。
案外ミリアって気が強いんだよな。
「こいつらも、こう言ってるし。
いいんじゃないですか」
「わかりました。
クランの名前は?」
「ドラの友達です」
ぼくはミリアと考えた最高のクラン名を口にするのだった。