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翌日、ぼくたちは薬草採取や野生動物の討伐など、簡単な仕事を行っていた。
薬草とか食べられる草、果物はグリフレッドさんやブラックウッドさんに教えてもらった。
とくに魔導士のブラックウッドさんはいろいろなことを知っていた。
ミリアはブラックウッドさんの弟子と言ってもいい。
魔法だけでなく、魔導士として必要な知識をいろいろ教えてもらっていた。
薬草の見分け方、きちんとした採取方法なんてお手の物だ。
ぼくたちは午前中でクエストに決められた倍以上の薬草を採取していた。
それ以外にも有用そうな植物は採取していた。
ミリアによると薬草のいい採取場所がみつかったとのことだ。
とくにみんなが採取していない薬草があるみたいだ。
ミリアはそれで上級の回復薬を作れるってことだ。
それを売って稼げるみたいだ。
それから、野生動物の討伐。
畑を荒らすイノシシの討伐。
これはぼくの仕事。
剣技はブリアントさんに習った。
どこかの国の王女についてドラの町にきた騎士だ。
とにかく強い人だった。
イノシシをただ倒すだけなら簡単なのだが、肉も毛皮も利用できる状態で倒さねければならない。
ドラの村では、クレイジーブルとかワイルドボアは害獣でもあるが、貴重な食料でもあったのだ。
倒したら、その死体は自然の恵として無駄なくいただかなければならない。
ぼくは討伐したイノシシを血抜きして解体する。
毛皮や牙もいい素材となる。
ぼくの手際のいい仕事を農家の人にほめてもらう。
冒険者は野獣を倒すことはやるけど、解体とかまではしないみたいだ。
だから、獲物はあんまりいい状態にはならないみたいだ。
もちろん、畑を荒らす危険動物を退治するクエストだから文句はいえないみたいだけどね。
ぼくとミリアは農家の人に運搬を依頼する。
少し手数料はいるけど、3匹も持って帰れない。
肉はいいところを少し切り分ける。
これで、晩御飯を作ってもらおう。
一日のかせぎとしてはいい感じだろう。
暁の虎のときはこれくらいのクエストでも簡単にはいかなかったような気がする。
かんたんなクエストは真剣にやらないからね。
ぼくたちはギルドにかえって報告をする。
でも、なんかギルドが騒がしい。
「オーガが攻めてきた。
強制クエストだ。
Eランク以上は門の前に集まってくれ」
ギルドの職員が叫んでいる。
強制クエスト。
それはギルドが緊急を要すると決定したクエスト。
上級冒険者はそれを受けなくてはならないという義務が生じる。
もし参加をしないとペナルティが課せられる。
上級冒険者はギルドに対して責任があるのだ。
その代わりに上級冒険者クランほど、いろいろな優遇措置がある。
Eランク以上なんて、めったにないことだ。
それだけ、やばいってことだろう。