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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第2章 S級冒険者炎王アッシュ
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「それは…まあいい。

 おまえらはまだG級なんだろ。

 君たちはこんなやつらのたわごととD級クランの俺たちのどっちを信じるんだ」

「そうよ。この子たちはアッシュ、あなたたちのようなバカとは違うのよ」


「騙されちゃだめ。

 この人たちはあなたたちを奴隷にしようとしているの」

 ミリアは若者たちに語りかける。


「こいつらは困難なクエストから逃げ出したやつらだ。

 そのおかげでゴーディが片腕を失った。

 そこまでして守ってやったのに、おれたちを裏切ったんだ。

 そんなやつらの言葉など聞く必要はないよな」


「嘘ばっかり」


「おれらはDランク、こいつらはGランク。

 どっちの言うことを聞く」


「Dランク?Cランクだったはずじゃなかったかな」

 ぼくは疑問を口にする。


「あのクエストの失敗から、うまくいかなくなって、降格とはなった。

 しかし、それから地道にクエストをこなして、もうすぐCランクに戻れるところまで来ているんだ」


 冒険者のランクはクエストの結果によって上下する。

 クエストを行わない期間が長かったり、重要なクエストの失敗。

 あと普段の素行なんかも考慮される。

 っていっても冒険者はならずもの、自由人が多い。

 だから、相当のことをやらないとそれで降格されることはない。

 だけど、暁の虎の中で下働きをしてわかったんだけど、このクランは相当に評判が悪かった。

 他のクランからいい仕事を取り上げたり、酒場でけんかをしたり、弱いものをいじめたり。

 若い田舎者を奴隷にすることもみんな知ってたのだ。

 ギルドもCランクを与えたことに頭を抱えていた。

 そう、いつ落とされてもおかしくない状況だったのだ。

 しかし、この町には高位の冒険者は少ない。

 乱暴だが、Dクラス以上の討伐クエストにはこいつらを使うしかなかった。

 Bランクのクランも一組だけいるが、その程度のクエストに使うことはできなかったんだ。


「おまえらに信用なんてないんだよ」

 クレイブは鼻で笑う。


「まあいい。でも君たち、こいつらに騙されるんじゃない。

 とくに簡単に契約をしてはいけない。

 まず、一緒にクエストをひとつでもこなしてからのほうがいいよ」

 ぼくは、若者たちのほうに向いて言って、引き下がる。


「アッシュ!」

 ミリアはまだやりあうつもりみたいだけど、これ以上やっても同じだ。

 ぼくはミリアをなだめて食事の席にもどるのだった。



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