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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第2章 S級冒険者炎王アッシュ
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 それとさっきDランクとか言ってたな。

 ぼくたちが騙されたときはCランクだったはず。

 もしかして降格されたのか。

 クランも冒険者もクエストの失敗やギルドのルールを守らなかったりすると降格されることがあるのだ。

 素行の悪いクランだからなんかやらかしたのだろう。


「どうしよう」

 3人は顔を近づけて相談する。

 彼らの表情はあのときの僕とミリアと同じ。

 全員が顔見知りの田舎と違って町では悪意を持った人がいるのだ。

 そんなことかけらも思っていない。

 もう彼らの胸の中は決まっている。

 暁の虎に鍛えてもらって、さっき冒険者試験でバカにしたやつらを見返してやる。

 そんな風に思っているんだろう。


 そろそろ助けてやらないとな。

 契約をしてからでは遅い。

 ドラなら腕輪や契約書を破壊することができるのだけど。

 ぼくとミリアはまだそこまでのことはできない。


 3人のところにクレイブとジェシカが行く。

 変わっていないな。

 ゴーディもいる。

 片手が義手になってる。

 やつらは、3人をリクルートする。

 冒険者が楽で儲かる仕事であること。

 異性にモテる職業であること。

 適当なことを若者たちに吹き込む。

 もちろん全部嘘。

 たしかに一握りのS級冒険者は豪邸に住み、豪華な生活ができる。

 ただそれは1万人に一人とかそういう確率。

 逆に大半の冒険者は食うのがやっとなのだ。


 そろそろ止めてやったほうがいいだろう。

 ぼくが立ち上がる前にミリアが立ち上がる。

 そして振り返ってクレイブのほうへ歩いていく。

 ぼくはそのあとに付き添う。


「あなたたち、騙されたら駄目よ!」

 ミリアは我慢できなくなって、叫ぶ。

 子供のころから面倒見のいいタイプだった。

 女の子だから村に残るという選択肢もあったはずだった。

 どこかの長男の嫁になればいいんだから。

 村でもかわいいほうだったし。

 それなのに、ぼくについてくることを選んだ。

 みんなも止めたけど、聞かなかった。

 アッシュが心配だからって。

 ぼくのことを弟のように思ってたんだな。

 そして、クレイブたちに騙されてしまった。

 もう自分たちみたいな目にあう若者をだしたくないんだろう。

 


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