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とりあえず、食事と宿だな。
二年前に泊ってた宿はまだやっているみたいだ。
まず、一週間の部屋をとる。
ミリアとは別の部屋となるから、2部屋となる。
でも、お金は十分にある。
3か月くらいは泊れるだろう。
それも普通の部屋だ。
部屋に荷物をおいたら、つぎは食事だ。
ぼくとミリアは宿屋の食堂に行く。
そういえば、ここの食堂って。
ぼくたちがクレイブたちに騙された場所だ。
「さっきギルドでみてたんだけどさ。
お前ら、なかなか見どころあるよ」
「そんなことないです。
ギルドの教官に手も足もでませんでした。
やっぱ、ぼくら程度じゃだめですよね」
「そんなことないって、ギルドは最初若いやつの鼻を折って無茶しないようにするんだ」
「でも、他の人はぼくたちよりできてたし」
「あっ、あいつらは冒険者の専門学校から来てんだよ。
半年はみっちり教えてもらってるよな。
だから、できてあたりまえなんだよ」
「そうなのかな」
「絶対おまえらのほうがすごいって」
「ええ」
「だから、おまえらをおれらのクランで鍛えてやろうってって話。
おれら暁の虎はDランクのクランだぜ」
なんか、聞いたような話だな。
それに聞いたような声。
聞いたような名前。
ぼくとミリアは目で合図して、彼らに注意を払う。
ぼくたちの後ろにはケリー、暁の虎の盗賊だ。
その前には粗末な装備の3人の若者。
田舎から出てきたばかりなんだろうな。
まさに昔のぼくたちだ。
「な、悪いことは言わない。
おれらと一緒にやろうぜ」
ケリーは若者たちの肩をたたく。
若者たちはどうするっていうように顔を見合わせるのだった。