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「これは…
あんたたちが倒したの?」
疑うような目で買取屋のおねえさんはぼくたちを見る。
「ええ、いちおう」
クレイジーブルってどのランクだったっけ。
身体は大きいけど、そんなに強くないし。
突撃だけを食らわなかったら大丈夫なんだけど。
だからFランクくらいと思っていたんだが。
もしかしてEランクくらいあったかな。
「でも、きみらGランクだよね。
クレイジーブルはCランクだ。
それもパーティでかかってやっと倒せるってレベル。
2人だったらAランク程度の実力がいるのよ」
「はあ」
「どこで拾ってきたの?
もしくは盗んできたんじゃないでしょうね」
「じゃあ、シルバーウルフは…」
「Bランクだね。
こいつが町の近くに現れたら討伐依頼をだすの。
どこにいたの」
なんかめんどくさそうな話になってきた。
ミリアと目をあわせて、適当な嘘でごまかすこととする。
「ぼくたちは2年前、森で迷って、今日やっとここに帰ってこれたんです。
かなり、森の深いところまで行ってしまったんですが、そこで拾ってきました」
「そうでしょう。
こんな魔物は深淵の森の奥にしかいないわ。
わたしも見るのは初めてなの」
「でも、盗んだのではありません」
「そうね。今、ここにはC級冒険者しかいないわ。
たぶん、彼らではクレイジーブルは狩れないでしょうね」
「それじゃあ、買い取ってもらえますか」
とにかく、お金を手に入れるのが先決。
べつに強さを見せる必要はない。
「これだけの素材…
すこし、上と相談するわ。
そこで座って待っていてくれる」
そう言って留守の札を立てて、後ろの扉にはいっていく。
たぶん、買いたたかれるだろう。
でも、何日か生活できるくらいの金にはなるだろう。
ぼくはミリアとベンチに腰かけて、おねえさんが戻ってくるのを待つのだった。




