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そして、2年が経過した。
ぼくたちは17歳になっていた。
その間には、ドラがほかに人をいろいろ連れてきた。
森に捨てられた子だったり、国を追われた王女、夢の国を探して森に入った老人、黄金郷を求める商人。
でも、みんななんらかの傷を負っていた。
この町に住む者はだんだん増えていく。
ぼくたちは旅立つときがきたことを感じた。
それはドラもわかってくれた。
この町に骨を埋めるのもいい。
ここはぼくたちの故郷なんだ。
生まれたところよりも故郷だった。
でも、ドラに与えてくれた力、それで何かできることはないだろうか。
そんなことを考えるようになった。
ミリアも同じように考えていたみたいだ。
ある夜、ぼくたちはいろいろと話あった。
ここにいる子たちのお世話もしていたが、ドラやみんながいる限り大丈夫だ。
それより、先輩冒険者にだまされた僕たちのような者が世の中にたくさんいるのだ。
ドラの与えてくれた力。
それはこの町では必要以上の力だ。
それを使って誰かを救えないかと思ったのだ。
それとこの町ではぼくたちは最強だった。
それが世界で通用するのか確かめたかった。
そういう欲もあったのも確かだ。
「おにいちゃん、おねえちゃん行ってらっしゃい」
「世界を見てくるのもいいじゃろ」
みんなでぼくたちを送り出してくれる。
ドラも尻尾を立ててぼくたちの前に来る。
ぼくとミリアはかがんでドラの頭を撫でる。
ドラは丸い目でぼくたちを見上げる。
ありがとう君のおかげでぼくたちはここまでなれたんだよ。
「ドラちゃん、行ってくるね。
いままでありがとう」
ミリアはそう言って涙ぐむ。
ドラはわかったよっていうように目を細める。
「ドラ、またな。
絶対に帰ってくるからな」
ぼくはドラのあたまをポンポンする。
「ナー」
ドラはそう言って、鼻の頭をなめる。
そろそろ時間だな。
ぼくとミリアはみんなの顔を見回す。
それから、長い一礼をして、町の外に踏み出すのだった。