19
ドラの言ってることは本当だった。
本当にここに住んでるのはドラだけだった。
ぼくとミリアはここでの暮らしにすぐになれることができた。
っていうか、この町は故郷の村とくらべても各段に住みやすかった。
石造りの家は頑丈で快適。
キッチンには猫ちゃんの魔法で煮炊きできるコンロがある。
それに、ハンドルを回すと水が出る蛇口がある。
村では川から水を運ぶのが一仕事だったのにそれが必要ないのだ。
ドラの言うには水道というらしい。
いつでも浄化したきれいな水が使えるのだ。
お湯の出るシャワーもある。
あと、簡単な家事はゴーレムがやってくれる。
簡単なといっても、掃除や洗濯、お茶を入れるとか手先を使う家事もやってくれるのだ。
ゴーレムは戦うための道具だ。
殴ったり踏みつぶしたり、そういうことにしか使うものはいない。
ここでは、ゴーレムはそれ以外の仕事をしている。
本来、ゴーレムも魔法もこういう風につかうものなのかもしれない。
人間が幸せに便利に暮らすためにね。
それなのに魔法は戦うために使われてしまうのだ。
それはおいといて、僕とミリアはここで暮らしながら力をつけないといけない。
ぼくは剣をミリアは魔法の鍛錬に明け暮れることになる。
そこでぼくたちはどんどん力をつけていった。
師匠はドラ。
ドラは気が向いたら、ぼくたちのところに来て、戦ってくれるのだ。
ぼくたちは全然ドラにかなわなかったけれども、ドラを見て戦い方を覚えていった。
それと、夜はドラがぼくたちに甘えてくるんだけど。
ドラの頭や顎の下を撫でているだけで、何か身体に流れ込んでくるのを感じる。
細胞の奥まで魔力が満たしていくような感じ。
村にいるときでも、猫を撫でていたらなんか落ち着く感じがあった。
でも、ドラはそれと違って、魔力の流れが悪いところを直してくれるような変な感じ。
それで、ぼくたちは魔力が上がっていった。
わかりやすいのはミリア。
もともと水属性の魔法が使えたミリアの魔法は日に日に威力をあげていった。
それから水の癒しの魔法を使えるようになった。
たぶん、町でももうミリアを超える魔法使いを見つけるのは難しいだろう。
それから、ぼくは剣に炎をまとわせられるようになった。
ぼくの能力は魔法剣士だったのだ。
たぶん、ドラが何か力を与えてくれたんだと思うけどね。
ぼくとミリアは狩りにもでるようになった。
この町は森のかなり深い部分にあり、周りの敵もかなり強かった。
ぼくたちの村の周りにはウサギや鹿、強くてもゴブリンくらいしか出なかったけど、ここは違う。
熊や大蛇、ガーゴイルなんかもでる。
最初はドラが助けてくれたけど、最近は2人でも狩りができるようになった。
ぼくたちは、巨大クモやスモールドラゴンにも勝てるようになっていた。




