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「じゃあ、あのお城にすんでいるのは?」
ミリアがドラに問いかける。
「だれも住んでいないにゃん」
「じゃあ、ドラちゃんが住んだりしないの」
「広くて住みにくいにゃん。
ここなら門から近いから森に行くのも便利だニャン。
それに広さもちょうどいいにゃん」
確かに猫ちゃんにお城なんて必要ないだろう。
っていうか人間にも必要ないんだ。
だって、最低限寝るところとくつろぐところ。
あと台所とトイレとお風呂があれば十分なんだから。
それなのに人間はより広いところに住もうとする。
そして、それでマウントをとろうとする。
「それに、前に住んでいた家と似ているにゃん」
「前に住んでいたところ?」
「でも、この世界じゃないにゃん。
別の世界にゃん。
そこで、家族と住んでいた家に似ているにゃん」
別の世界?よくわからないけど。
ドラにとっては大事なことなんだろう。
「これから君たちは家族にゃん。
ドラが守るにゃん」
「わたしはミリア。
よろしくお願いします」
「ぼくはアッシュだ。
頑張って強くなってドラとミリアを守れるようになる」
ぼくたちはドラに改めて挨拶する。
「じゃあ、ごはんにするにゃん」
ドラは、どこからか大きな鹿を取り出す。
死んだばっかりみたいな新鮮な獲物。
村では、獲物の解体は手伝わされていた。
村ではそれは男の役目だった。
ぼくは立ち上がって、鹿を持ち上げ外に持っていく。
ぼくは、軒先に鹿を吊り下げ血抜きを始める。
その間に、ミリアはキッチンの確認をする。
料理はミリアがやってくれるみたいだ。
ぼくたちは手分けして、仕事を始めるのだった。




