17
「ありがとう」
ぼくたちが、腰をかけるとゴーレムがお茶を運んでくる。
ゴーレムにこんな細かいことができるんだ。
「猫ちゃん、それでこれから」
「ドラだにゃん。
ここに住んだらいいにゃん」
「でも、ここはドラちゃんの家だよね」
「そうだにゃん。
みんながいたほうが楽しいにゃん」
「じゃあ、ここに住ませてもらうね」
ミリアと今後のことを相談する。
ドラの言葉に甘えてここで住まわしてもらうのがいいという結論になる。
ここで、生活しながら腕をきたえればいい。
森の中だから狩りをして食べるものを確保すればいい。
安全な住み家さえあったら大丈夫だ。
あと、不安なことはドラ以外のこの町の住人に受け入れてもらえるかだな。
でも、ここに来るまでにゴーレム以外の住人は見なかった。
それとなんかここ以外は生活感がないということだ。
中央広場のお店は全部しまっていた。
もしかして休業日なのかな。
それとも街を閉鎖しているとか。
「ところで、ドラちゃん。
この町の人に紹介してくれるかな?」
「この町の人にゃん?」
「そうここに住むんだから、挨拶をさせてもらいたいな」
「ここに住んでるのはドラだけにゃん」
「えっ?
でも、こんなにたくさんの家があるし、だれか住んでるよね」
「ゴーレムの他はぼくたちだけニャン」
「だったら、あのお城は?
魔王さまとかいるんじゃないの?」
「いないにゃん。
たぶん、昔はたくさんの人がいたにゃん。
でも、今はぼくだけにゃん」
ドラはそう言って身づくろいを始めるのだった。