15
ぼくとミリアは猫ちゃんについていく。
猫ちゃんは2本の尻尾を立てて、スキップするような足取りで前をいく。
森の奥に入っていくのに、強力な魔物は出てこない。
時々、猿とか鹿とか猪、兎のような野生動物が遠くに見えるだけ。
本当はすごく危険な地帯だ。
たぶん、探索も行われていない未開の地。
道らしい道もないのに、猫ちゃんは自信満々にあるいていく。
まあ、猫はいつも自信満々なんだけどね。
だんだん、足元に石の道が現れる。
もちろん、街道に比べたらサビれている。
道は割れてその間から雑草が生えている。
古代の遺跡といった感じだ。
「大丈夫なのかな?」
ミリアが不安げに言う。
「たぶん、大丈夫」
でも、ぼくたちには町にもどるという選択肢はない。
それに、この猫ちゃんについていっても大丈夫って感じがする。
べつに理由はないけど、勘みたいなもんだ。
「そうね、猫ちゃんが案内してくれるんだからね」
そんな、ぼくたちの目の前に石造りの門が現れる。
大きな門と城壁だ。
古びてはいるけれど、歴史の重みみたいなものを感じる。
猫ちゃんはその門の中央にあるいていく。
あの門は猫には開けられないな。
っていうか、ぼくたちにも無理。
猫ちゃんは飛び上がるんじゃないのかな。
それならついていけない。
猫ちゃんが門の前に着くと、門は自動的に開いていく。
その中に見えるのは白い石の街並み。
中央には巨大なゴーレム。
もしかして、なんかやばいところに連れ込まれたか。
魔王の城とかそういうのでは。
でも、猫ちゃんの案内だからな。
「オカエリナサイ」
「ただいまにゃん」
猫ちゃんは、ゴーレムに挨拶して進んでいく。
ゴーレムもぼくたちには手をださないようだ。
ぼくたちは猫ちゃんの仲間として認定されたようだ。
門を抜けたら、中央広場みたいなところ。
石を敷き詰めた広い場所だ。
そこから中央通りがまっすぐのびて、遠くに城が見える。
ぼくたちは、猫ちゃんについてその通りを進んでいくのだった。