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猫ちゃんはミリアの前に行って足元にまとわりつく。
ミリアはかがんで猫ちゃんの頭を撫でる。
「アッシュ助けてくれてありがとう。
それにしてもいつの間に強くなったの?
鍛えてるのは知っていたけど」
猫を撫でながらミリアは微笑む。
「ちがうんだ。全部、猫ちゃんのおかげなんだ。
猫ちゃんを撫でたら、なんか力がみなぎってきたんだ」
「そうなんだ。
猫ちゃんありがとう」
『ドラだにゃん』
「「えっ」」
何か聞こえた。
『猫ちゃんじゃなくてドラだにゃん』
この猫ちゃんだ。
なんか、心に語りかけてくる感じ。
「ドラちゃん、ありがとう」
『どういたしましてにゃん』
ちょっと得意そうに目を細める。
猫ってかわいいよな。
でも、これからどうしようか?
町にもどったら、やつらに何をされるかわからない。
さっきやつらに勝てたのは、自分の力じゃない。
猫ちゃんがなにかしてくれたからなんだ。
だから他の町にいくというのも難しい。
それから、村に戻るのも無理だ。
ぼくにさっきの力があればな。
とにかくなんとかしなければね。
『ぼくのおうちにくるにゃん』
猫ちゃんがぼくたちに言う。
猫の家か。
洞窟とかそういうのかな。
でも、行くところもないし。
なによりさっきの力のことも猫ちゃんに教えてもらいたい。
「じゃあ、たのもうかな」
『じゃあ、ついてくるにゃん』
猫ちゃんはそう言うと、しっぽををピンとたてて歩いていく。
ぼくとミリアはそのあとに続くのだった。