08
「よし、今日はここらへんで休もう」
日が傾きはじめていた。
これ以上進んでも、夜になってしまう。
その前に安全そうなところで休んだ方がいい。
ぼくも荷物運びと斥候で疲れていた。
やつらは危険なところはぼくを先に行かせて安全を確認するのだ。
ほっと一息をつく。
でも、ぼくの仕事はこれからだ。
火を起こして、テントの用意をする。
ミリアは食事の準備だ。
さっき仕留めた兎を調理する。
ケリーとゴーディは、今日の冒険のまとめをする。
相談しながら、何か地図に書き込んでいる。
不真面目なやつらだが、これが報酬になるのだ。
ぼくは文字がかけないから、任せたりしないが、もし書けたらそれもぼくの仕事になるのだろう。
本当は少し文字の練習はしている。
だけど、これも奴らに知られてはならない。
食事が終わったら、やつらは休息をする。
最初の見張りはぼくだ。
ミリアと交代で番をする。
夜行性の魔物は強い。
もし、何か現れたら奴らを起こすことになっている。
単独で戦うのは危険だからだ。
しかし、この仕事は気を抜くわけにはいかない。
ぼくが番をしていると、何か隣に柔らかいものが。
なんだろう。
横を見ると、茶色い毛玉。
猫?こんなところに…
でも、全然気配を感じなかった。
でも綺麗な毛並みだ。
茶色だけど金色に見えるくらいの色。
ぼくの手に頭をこすりつける。
ひとなつっこい子だ。
子猫だし、害はないだろう。
猫って食料にはならないし、村でも猫をたべることはなかった。
村の猫とちがうところは、しっぽが二股にわかれていること。
ぼくは頭を撫でる。
昔から猫は好きだった。
やわらかい手触りに癒される。
なんか、疲れが抜けていくような。
身体の中がぽかぽかするような。
すごく不思議な感覚だ。
猫ちゃんはぼくの膝に乗ってきて、身体の頭をこすりつけるのだった。