07
「なかなかの拾い物だったな」
クレイブとゴーディがぼくたちのことを話している。
ぼくとミリアは献身的に雑用をこなした。
それから、ぼくの剣の腕もすこしづつあがっていった。
それは、それしか希望がなかったからだ。
剣の腕を鍛えて、いつかこいつらを倒して、この状況から解放される。
そんなおとぎ話を信じるしか、生きる方法がなかったのだ。
それに、冒険者の雑用をしていたら、冒険のことがわかる。
クエストの受け方、冒険の準備。
それを殴られながら覚えていった。
ミリアもそう、雑用をこなしながら、魔法を練習していた。
ミリアはまだ奴らの手をつけられていなかった。
それは、僕と違って、女奴隷は高く売れるからだ。
それと、ジェシカが同性愛者であったということもある。
あの悪女がミリアに手を出すことを許さなかったのだ。
ぼくは剣の腕については、奴らに知られないようにした。
そう、ぼくが強くなったってわかったら、あいつらは手を打ってくる。
だから、少し加減をするようにしていた。
でも、まともにいってもゴーディには敵わないのだけど。
まあ、C級まではまだまだだけど、F級くらいの力はある。
それで初めての遠征のクエストを受けることになった。
深淵の森の探索だ。
それはマーリア共和国の北に広がる樹海。
共和国の土地の1/3を占める森。
それは未知の世界だった。
莫大な資源が眠っていると言われているが、巨竜が王として統治しているとも言われる。
その森の調査は国も行っているが、冒険者にゆだねられている部分もある。
その部分を暁の虎が受注したのだ。
それは普通に日当が支払われる。
もちろんぼくらの分も、C級クランとして。
それはぼくたちを除いて山分けとなる。
それから、討伐報酬、発見報酬。
新種の魔獣を発見討伐したら、一財産を築ける場合もある。
基本的にはおいしい仕事だ。
ただ、未知の領域に踏み込むのだ。
どんな危険があるかわからない。
それが報酬の高い要因だ。
もちろん、ひとつのクランで行う仕事ではない。
最前線にはベースキャンプがあって、そこからは自由となっている。
クラン同士強力してもいいし、ひとつのクランで挑んでもいい。
こういうダンジョン攻略のための巨大クランもある。
暁の虎はベースキャンプからは単独で挑む。
それはいままでの悪評があるからだ。
裏切り横取りあたりまえの無法者、それが暁の虎の評価だった。
そのため、ぼくのような奴隷が必要なのだ。