05
「起きろ、アッシュ」
ぼくは、いきなりたたき起こされる。
「あ、ゴーディさん」
「ゴーディさんじゃねえよ」
いきなりなぐりつけられる。
ぼくは吹っ飛んで、壁にたたきつけられる。
どういうこと?
冗談にしては殴る力が強すぎる。
「これからは、俺らより先に起きるんだ」
新人教育ってこと?
それにしては、昨日と態度が違いすぎる。
なんか、変な感じがする。
「これは一体?」
「あん、お前は分かってないのか?
そうだな、この程度で騙される田舎もんだからな」
騙される?って…
「きちんと説明してやろう。
お前らは俺らの奴隷になったんだよ」
「えっ、どうして?」
「昨日、ちゃんと契約したじゃねえか。
契約書を読まなかったのかよ」
「ぼくたちはクレイブさんを信じて…」
「知るかよ。契約は契約だ。
よく読まずに契約したほうが悪い」
「どういうことですか」
ぼくはゴーディさんにつかみかかる。
もう一度、ぼくは拳の洗礼を受ける。
やっぱり、C級冒険者、駆け出しのぼくでは全然相手にならない。
「だまされるほうがバカだってことだよ!
おまえらみたいな田舎者はここでは生きられないんだよ。
まあ、おれらの奴隷になったのはラッキーってことだ。
もっと酷いやつらに騙されるよりましだ。
おまえと一緒にいた女、ミリアだったな。
あいつも俺らがちゃんとかわいがってやるしな」
下卑た笑いを浮かべるゴーディにぼくはまたつかみかかる。
その手は簡単に躱される。
そしてまた鉄拳の制裁を受けるのだった。