04
「アッシュ君、君がよければ暁の虎にはいらないか」
クレイブさんがそう声をかけてくれる。
「まあ、正式なメンバーってわけにはいかないが、見習いって感じでだけどな」
「それは賛成。
アッシュは将来有望だからない」
ケリーさんも同意する。
えっ、いいの?
ぼくなんかが、Cランククランに。
「有望な新人を育てるのは俺らの義務でもあるしな。
アッシュなら根性ありそうだし、問題ないな」
ゴーディさんも賛成みたいだ。
「わたしもこの子気に入った」
ジェシカさんはミリアに抱き着く。
やっぱり、見る人にはわかるんだ。
ぼくの才能が。
ぼくは、二つ返事で言う。
「よろしくお願いします!」
「ああ、アッシュ君は本当についてるな。
でも、明日からの訓練は覚悟しておけよ」
そう言ってゴーディさんは笑う。
「じゃあ、明日契約しようか。
冷静に一晩考えてから決めてくれ」
ケリーさんはそう言うが、もうぼくの気持ちは決まっていた。
この人たちに鍛えてもらって、最強の冒険者になってやる。
それにしても、一晩考えてから返事って、すごく良心的な人たちだ。
まあ、決まっているけど。
飲み代も全部クレイブさんたちが持ってくれた。
そして宿屋への帰り道でミリアとも話をした。
2人とも、同じ意見だった。
冒険者になったといっても、右も左もわからない。
他の新人たちは予備校とかで基本的なことは教えてもらっているのだろう。
ぼくたちはいまさらそんなことをする暇も金もない。
暁の虎の人たちと一緒にいると、いろいろ教えてもらいながら、一端の冒険者になれる。
翌日、酒場に行くとケリーさんが待っていてくれた。
冒険者クランに入るには契約書が必要らしい。
報酬の分配とかあとでもめないようにとのことだ。
ケリーさんによく読むようにって言われたけど、ぼくたちは字が読めない。
書くのも名前くらいしかダメ。
もちろんクレイブさんたちが変な契約をするわけがない。
ぼくたちは契約書に名前を書いたあと、血判を推す。
そのあと、手首にブレスレットをつける。
これは契約書とつながっていて、契約を破ったらこれが締まって腕を失うということだ。
もちろん、ケリーさんたちの腕輪にも今の契約を組み込むらしい。
「これで、契約は終わりだ」
ケリーさんはそう言って、笑いを浮かべる。
その笑いにぼくはなぜかいやなものを感じるのだった。