02
「俺はC級クラン、暁の虎のケリーだ。
君たち見ない顔だね。
よかったらこっちに来て飲まないか?」
短い金髪の中年男性、少し小柄だけど、なんかオーラがすごい。
今日、相手してくれた教官がD級って言ってたから、冒険者として雲の上の存在だ。
「どうする?」
ぼくは、ミリアに問いかける。
「アッシュの思ったとおりでいいよ」
でもC級クランの人がなんで声をかけてくれたんだろう。
「警戒しなくてもいいよ。
C級ともなると若者を導くのも仕事のひとつなんだ。
まあ、それで報酬があるわけではない。
でもさ、強い冒険者が増えたら、俺たちも楽ができるんだ。
それに、さっきの試験みていたよ」
「あっ、ダメダメでしたよね」
「いや、才能の原石を見た思いだよ。
たぶん、君たちは名のある冒険者になると思うよ」
「えっ、でも、他の人に比べて何もできませんでした」
「しかし、うちのリーダーは君たちを一番買ってたんだけどな。
他の新人は冒険者になるための予備校出身だ。
試験の対策はきちんとしている。
君たちはそういうのしてたかな」
「いえ、初めて聞きました」
「そうだろう。
他の者はそれなりに訓練をつんでるんだ。
それに初回のものはあんまりいないぜ。
少なくとも3回は受けてるものがほとんどだろう」
そうなんだ。
ぼくたちはここについて、すぐにギルドを訪れたから、そんなの知らなかった。
「初回で試験にとおるなんて、あんまりいないぜ」
「でも、教官はおまえらはダメだっていってました」
「教官はみんなそう言うんだよ。
おまえたちが無謀なことをしないようにだ。
それにしてもおまえら何も知らないな。
それは危険だぜ。
おれたちがいろいろ教えてやるから、こっちに来いよ」
「はい」
ぼくとミリアは席を立ってケリーさんについていくのだった。




