20
ぼくは竜王と空の散歩を楽しむ。
そう、猫は高いところが好きなのだ。
っていうか、高いところからいつもみんなを見守っているのだ。
むこうの家でも箪笥の上や冷蔵庫の上からみんなに危険がないか見守っていたのだ。
すぐに下されたけどね。
森の中に白い町が見えてきた。
「あれが、その町にゃん?」
「ああ、そうだ。やっぱり見えるんだな。
さすがに王だ」
「王じゃなくて、ドラだにゃん」
「では。降りるぞ」
ドラゴンは空を滑るように降下していく。
すぐに町の門の前に降りる。
直接、町の中に降りると攻撃を受けるらしい。
そういえば、なんか筒みたいなものがぼくたちの動きにあわせて動いていた。
「ドラよ。ここが門だ。
ここを入るとゴーレムがいる。
どうする、付き合おうか」
「べつにいいにゃん」
そう、強いやつなら倒せばいい。
そうじゃなかったら、守ればいい。
新しいおうちになるんだからね。
「わかった。ドラなら大丈夫だろう。
しかし、わたしが必要な時はいつでも言ってくれ。
わたしはドラの友だからな」
「竜王は友達にゃん」
そう言って、顔をこすりつける。
「では、また会おう」
そう言って竜王は飛び立つ。
そして、竜の巣に戻っていく。
その小さくなっていく姿をじっと見送る。
さて、ぼくもおうちをみつけるのだ。
ゆっくりと門のほうにあるいていく。
町の門の中には大きなゴーレムが立っている。
ぼくの動きに合わせて顔が動く。
ぼくはその前で立ち止まる。
ゴーレムの顔がぼくの正面で止まる。
「こんにちはにゃん」
ぼくは、ゴーレムに挨拶をするのだった。