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 ぼくと竜王の戦いは3日目に入っていた。

 どちらも決め手に欠くまま、相手に攻撃をする。

 そして、それは防御される。

 どっちも無事ではない。

 竜王は鱗がボロボロになっているし、ぼくは毛並みがボワボワになっている。

 やはり、戦いの最中はグルーミングもできないし、食事もできない。


 猫って気まぐれで、長期戦は苦手なイメージかもしれない。

 でも、違うんだ。

 猫はすごく辛抱強いんだよ。


 トラやライオンは獲物を追いかけて捕まえる。

 でも、猫は徹底的に待ち伏せをする。

 なんでかっていうと、その方が確率がいいから。

 狩りの成功率は猫のほうがいいんだ。

 じっと息を潜めて何日でも待つ。

 この忍耐強さが猫の武器なんだ。


 竜王も辛抱強いけど、これだけの巨体を維持するには相当のエネルギーがいる。

 それが切れるのを待つのがぼくのやり方だ。

 相手の回復の隙を与えない。

 もちろん相手もそう、ぼくをゆっくりはさせないのだ。


 でも、そろそろ相手の攻撃も緩慢になっている。

 もう少しの辛抱だ。

 そう思った時、竜王はぼくに語りかける。


「小さき強者よ。

 我の負けだ。

 負けを認めよう」


 ぼくは竜王を見上げる。

 嘘じゃないみたいだ。

 まあ、戦いを通じて竜王のことはわかっているのだけどね。

 竜王は誇り高く勇敢な竜なのだ。

 攻撃も真向からのもので、騙し打ちはない。

 それをぼくは真向から受け止めた。

 ぼくたちは攻撃を通じてお話をしていたのだ。

 それで、ぼくたちは相手のことがわかった。


「わかったにゃん」

 ぼくは竜王の言葉に同意する。


「友よ。我をどうしてくれてもいい。

 ただ、竜の里は助けてくれ」


 そう、ぼくは何かを守れたらいい。

 だから、竜を滅する気なんかまったくない。


「じゃあ、友達になるにゃん」

 

「そうか、それはありがたい。

 それでは、ドラ様は今日からこの森の王だ。

 わたしがそれを保証しよう」

 そう言って、ぼくの前に頭を下す。

 ぼくがその上に飛び乗ると、竜王は頭を持ち上げる。

 高く高く。

 そして、頭をあげると、すべての竜が頭を地につける。

 

 ぼくはこの森の王になったのだった。

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