イグレーヌ29
右手のみなさまって…
さっきの悪魔たちよりも強いやつらなの。
それも5人。
「あー、おまえら。
さっきのやつら、雑魚だから。
悪魔ってこんなもんだと思ったらダメだよ~
俺らあいつらの百倍強いし」
顔に入れ墨をした中肉中背のやつが赤い目でわたしたちを睨む。
そして、こっちに近づいてくる。
こいつらやばい。
「せっかく、イグレーヌさんに会えたのに。
あんたら、何ごちゃごちゃややこしいことやってんだよ。
うざいんだよ!」
そう言ってミリアちゃんが入れ墨を指さす。
そのとたん、入れ墨は凍り付く。
それだけでなく、氷の塵となって砕け風に消える。
「どういうことだ。
我ら右手指だぞ。
小指とは言え、瞬殺って」
いちばん筋肉質の黒いのと。
ローブをかぶってデスサイズをもったのがこっちに走ってくる。
「ぼくが右の奴行きます」
アッシュ君がローブに斬りかかる。
ローブのやつは燃えて崩れる。
「わかった、俺は筋肉野郎を斬る」
そう言って、ランスロットが筋肉野郎を真っ二つにする。
「な、なんだおまえたち」
「ニャー」
え、猫ちゃんの声。
わたしたちの荷物から、猫ちゃんがはい出てくる。
もしかして、ドラちゃん。
金色の毛並みの猫ちゃんは2本の尻尾を振る。
わたしたちの強さってドラちゃんのエンチャントなの?
そういえば、猫って旅行に行こうとすると、旅行鞄の中に入り込もうとかするよね。
ドラの町を出るときにドラちゃんがいないと思ったら。
荷物に入り込んでたんだ。
「あ、ドラちゃんだ。
会いたかったでしゅ」
ミリアちゃんが喜んでドラちゃんに近づく。
「こいつら、やばいぞ。
薬指よ。
魔王さまのところに戻れ、そしてこのことを報告しろ」
「わかった、親指よ。
俺が魔王様を連れてくる」
そう言って、薬指は消えるのだった。