イグレーヌ28
「なんなんだ。こいつらは」
王座で震えているブラッドリー。
広間を見ると、黒騎士がいたるところに倒れている。
まさか、全部アッシュ君たちが。
「イグレーヌさん、会いたかったです」
ミリアちゃんがわたしに抱きつく。
「ランスロットさん、ぼくも少しは強くなったんですよ」
そう言って嬉しそうにS級カードを見せにくる。
本当にこの子たち、今どういう状況かわかっていないみたい。
でも、その天然さがアッシュ君とミリアちゃんなんだけどね。
「お茶もお菓子もみんなの分ありますよ。
冷たいのが良ければわたしが冷やしますし、熱いのが良ければアッシュ君が温めてくれます」
そういえば、ミリアちゃんが氷、アッシュ君は火属性だったな。
「ごめん、わたしたちは先にあいつを倒さないとならないの」
わたしは王座で逃げようとしているブラッドリーを指さす。
「覚悟しなさい!
民たちを苦しめたことは許さない!」
わたしは、ブラッドリーに宣言する。
「そうはいきませんよ。
わたしは悪魔の親指、おまえらをまとめて倒してやります。
そのうち中指と薬指も戻ってきます。
そうなったら、おまえらはひとたまりもありませんよ」
太った男がいう。
あいつが親指か。
「あ、薬指なら倒したわ。
ハーピーのやつだろ」
ランスロットがいう。
そういえば、森で倒したな。
「さっき倒した人、中指とか言ってました。
背の高い人ですよね」
アッシュ君も手をあげていう。
「な、中指と薬指も…」
親指は、後ずさりながらつぶやく。
そこにいつのまにか5人の影。
「おい、キーラ、どういうことだ」
中の一人が親指に問う。
「あっ、右手のみなさま、これは…」
あせる親指。
「だから、お前らに任せてられないっていったんだ」
そう言って一人が指を鳴らす。
そのとたん、親指の首が胴体から離れておちるのだった。