15
「そのドラがなんの用だ。
みたところ魔法猫のようだが」
「ドラは猫にゃん」
「帰れ、ここはお前のような下級の魔獣が来るところではない」
「帰らないにゃん。ぼくはこの森のヌシを倒しに来たにゃん」
「おまえが?これはいい冗談だ。
お前ごときに、竜王アーサー様が相手するはずはないだろう」
「ぼくと戦うのが怖いにゃん?」
「ふざけるのもたいがいにしろ。
竜王様が出るまでもない。
俺が相手をしてやろう」
さっきの竜がぼくを見下ろす。
「ぼくは竜王を倒すにゃん。
その前におまえも倒すにゃん」
ここまで来て引き返すなんてない。
目の前には若い竜。
小山くらいの大きさはある。
でもジャイアントベアーとかもこれくらいの大きさだったし。
大丈夫。
「踏み潰してやる」
そう言って足を持ち上げ、ぼくを踏もうとする。
ぼくは、それを避ける。
こんな大きな攻撃は当たらない。
なんども、踏みつけてくるが大丈夫。
尻尾で薙いでくるけど、簡単に飛び越える。
「すばしっこいやつめ。
それなら、ブレスだ」
若い竜はブレスを吐く。
ぼくはそれに巻き込まれる。
「これでおわりだな。
猫の丸焼き一丁あがりってか」
そう言ってブレスを止める。
そこには無傷のぼくがいる。
防御力強化で、この程度のブレスはぼくには効かないんだ。
さて、反撃だ。
ぼくは、丸まってボールのようになる。
そのまま、飛び出して若竜の顔面に体当たりをする。
そう、ぼくが砲弾になったんだ。
そして、若竜は吹っ飛んでのびてしまうのだった。