イグレーヌ26
森の中の抜け道にたどり着く。
この井戸の中におりると王座までの道がある。
これは王族しか知らない抜け道だ。
エヴァンスでさえ知らされていない。
本当は側近にも知られたらいけないのだけど、今日は仕方ない。
「このトンネルを進むと、王宮につきます」
「わかりました。いよいよブラッドリー王との対戦ですね」
「俺たちはあの時よりも強くなっている。
悪魔たちを全員ぶったおしてやる」
トンネルを進んでいく。
本当なら、蝋燭とかが必要なんだけど、わたしの光魔法があれば大丈夫だ。
ブラッドリーも王族、逃げなければいけないこともある。
だから、この道はふさいでいない。
それに兵士に知られてはいけない。
だから、警備の兵を置いておくこともできない。
わたしたちは、順調に王座に向けてすすんでいく。
たしかこの扉を開けると、王族の団らんの間。
わたしはそっと扉を開ける。
いま、この部屋にはだれもいないようだ。
ブラッドリーはここにはいないみたいだ。
この時間なら執務中。
王座のある部屋にいる可能性が高い。
その方向に行こうとする。
なんか、もめる声がする。
わたしたちは足を止めて耳をふさぐ。
「なんだお前らは!」
「アッシュって言います。いちおうS級冒険者です。
こちらにランスロットさんたちが来てませんか」
もしかしてアッシュ?
「ランスロットだって。
あいつらがここに来るのか」
ブラッドリーの声。
「ええ、ここに来てブラッドリー王を倒すって言ってました。
まだみたいなら待たせてもらってもいいですか?
お気遣いはいりません。ね、ミリア。
そこらへんで座って待っていますので」
「うん、お菓子とか飲み物も持ってきてます」
ミリアちゃんだ。
でも、わたしたちが来るって言わないでほしかったな。
わたしたちは、少し扉を開けて王座の様子を伺うのだった。