炎王アッシュ06
「なんだこれは」
「炎の剣、炎龍!」
いちおう、技名を叫ぶ。
「こんなもの弾き返してやる。
悪魔の力を見せてやる」
剣を交差させて、炎龍を受ける。
まあ、こんなもんだろうな。
すこしでもダメージになればいい。
「うぉぉぉおぉおおおお」
サムの身体が炎に包まれる。
そのまま、炎龍はサムの身体をすり抜ける。
炎龍が通り過ぎたあともサムの身体は炎につつまれている。
最初は暴れてたんだけど、すこししたら動かなくなる。
そのまま、崩れ落ちる。
完全、消し炭になっている。
あれっ?5本指とかいう悪魔だよね。
もしかしてにせものとか。
ここから進んだら、さっきのは分身だ、本物は俺だとか言われるのかな。
ぼくたちの力を確かめただけだろう。
ここから進むとき気をつけないと。
「やっぱ、こんなもんじゃん。
次はわたしね」
そう言って前に進んでいくミリア。
「だめだよ。
悪魔がこんなに弱いわけないよ。
たぶん罠だよ」
「でも、進まなくちゃ。
イグレーヌさんたちはもうついてるかもしれないよ」
「そうだけど」
まあ、前に進まないと仕方ないもんな。
気をつけて進むしかない。
でも、身のこなしはぼくのほうが速い。
速足で進むミリアの前にでる。
なんかあったときはぼくが守らないと。
ぼくたちは赤いじゅうたんを目印に進んでいく。
たぶん、王の部屋はこの豪華な廊下の先にあるはずだ。
ぼくは周りに気をつけながら、進んでいく。
「アッシュ、たぶん何もないよ。
アッシュは臆病すぎだよ」
冒険者は臆病なくらいでちょうどいいってライオネルさんにも教えてもらっている。
ぼくは楽天的なミリアの前を全神経を集中して歩いていくのだった。