炎王アッシュ03
「坊主、悪いことはいわん。帰れ」
「遊びは終わりだ。おじさんたちも忙しんだ」
騎士たちは、笑いながらぼくたちを追い払おうとする。
「入り口を教えてほしいんだけど」
「冗談がすぎるぞ。これ以上言うのなら、おまえらを捕まえないとならない」
「この人たち、教える気がないみたいね。
早くしないと、おいつけないわ」
ぼくは話せばわかると思っていたけど、ミリアはもうがまんできないみたい。
「わかった。
力づくでも通らせてもらうね」
そう言って剣を抜く。
「小僧、ここで剣を抜いたら冗談ですまないぞ」
黒騎士も剣を抜く。
わりと腕自慢な人みたいだ。
まわりの人も、この人の後ろで落ち着いている。
隊長とかそんな人だろうか。
「アッシュ、こいつら凍らせてしまおうよ。
あんま時間がないよ」
ミリアは杖を振り上げる。
「いや、この人と戦うよ。
かなり強い人みたいだし。
勉強になるかもしれない」
「では、来てみろ」
黒騎士は、構える。
「行きます」
ぼくは剣を構えて突っ込む。
走りながら剣を振り下ろす。
その剣を黒騎士は受ける。
そのまま、後ろに飛んでいく。
あれ?軽く剣を交えようとしただけなのに。
まだ、相手のことわかんないから、探りをいれただけなのに?
他の騎士たちは静止している。
ぼくの方へ遠巻きに構えているだけ。
そのとき、大きな音。
その方向を見ると、巨大な氷の塊が城壁に突き刺さっている。
「アッシュ、ここから入れるみたいだよ」
ミリアが手を振る。
やっぱりミリアの仕業だ。
あんまり目立つことやったらダメなんだけどな。
ぼくはそう思いながら、ミリアのところに走る。
ぼくたちは城壁に開いた穴から城の中に入り込むのだった。




