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ぼくは竜の巣の前に来ていた。
そう、この森のヌシと言われる古代竜がいるところだ。
ここに来るまでにいろいろなものと戦った。
大蛇、オオトカゲ、大蜘蛛。
それだけでなく、オーガやサイクロプス、巨人といった亜人種。
それらをすべて打ち負かせてきた。
ぼくもすでに1歳となっていた。
身体も倍くらいに大きくなった。
たぶん3キロくらいあるだろう。
向こうの世界では6キロくらいまで大きくなったことがある。
その時は人間のおかあさんに餌をたくさんもらえなくなった。
「おまえのためだからね。これ以上太ると病気になるからね」
そんなことを言って、ごはんを少なくされたんだ。
そのおかげで長生きできたのかもしれないけど、あの時は悲しかったな。
とにかく、ぼくも成長したわけだ。
それから自分の力がだんだんわかってきた。
ぼくの魔法は付与魔法なんだ。
だから、身体の中でぐるぐるする。
自分の身体を強化することができる。
スピードを速くしたり、防御力を高めたり、攻撃力をあげたり。
自分に炎や氷をまとうこともできる。
その上、まわりのものに影響することもできる。
周りの者を弱くしたり、強くしたり、ケガを直したりできる。
おかあさんの魔法もすごかったけど、この力は最強だと思う。
いろいろ使い方を考えなくてはならないけど、ここまでいろいろな敵を倒してきた。
強い敵を倒すことでレベルアップもするけど、それ以上にぼくはこの魔法の使い方を習熟した。
それで、この森のラスボスに挑むことができるようになったんだ。
この竜に勝ったら、ぼくはこの森で一番強くなる。
そうしたら、何でも守れるようになるんだ。
でも、まだ守るものはないんだけどね。
それはまた探せばいい。
とにかく、この竜を倒す。
この森で最強になる。
むずかしいことを考えるのはそれからだ。
けものみちを抜けるといきなり目の前がひらける。
その先には、巨竜が丸まっている。
なんかぼくたちと寝方が一緒だ。
自分の身体を枕にしてねるのだ。
まわりには竜の眷属たちがいる。
その一匹がぼくを見つける。
「なんだお前は」
「ドラだにゃん」
ぼくがそう名乗ると、その竜はぼくの前に立ちふさがるのだった。