イグレーヌ19
不満分子たちは立ち上がった。
わたしが逃げる時に、わたしを助けてくれた人たちだ。
彼らはわたしが戻ってくるまで、耐えようとしていたらしい。
しかし、ブラッドリーのやり方に我慢ができなくなったのだ。
王都のあらゆるところで、レジスタンスは狼煙をあげた。
だけど、それもブラッドリーの思うところだったのだ。
ブラッドリー側には悪魔たちがついている。
悪魔たちにとって、レジスタンスの制圧なんて簡単なものだった。
狩りの感覚で反乱現場に現れ、殺して食う。
レジスタンスの戦いはすぐに鎮火されてしまった。
ブラッドリーとしては、反乱分子をあぶり出し滅ぼすという結果となっただけだ。
国民たちはブラッドリーを支持するようになった。
偉大なる国王として称えるようになったのだ。
そのやりかたに外国は増々抗議を強めた。
それに対してブラッドリーは交戦の意思を表明した。
食料が入ってこないのは、フリード共和国とロラン王国のせい。
我々は戦わなくてはならない。
そして二つの国を滅ぼして、優秀なランドブルク人が世界を治めるのだと。
国民たちは洗脳されたように王に従った。
彼らは国境付近で外国と剣を交えることとなる。
ただ、彼らは悪魔の力を借りている。
国境付近での戦いはランドバルクの連勝となった。
「まずいですね」
エヴァンスがつぶやく。
「ええ、このままではランドバルクは世界の悪となってしまいます。
そうなったら、2つの大国が協力して潰しにくるでしょう」
わたしも同じ考え。
「そうなれば、勝っても負けてもランドバルクは」
「そのとおりです」
「今しかないですね」
「はい、完全に勝てるとは思いませんが、悪魔の一人でも倒せば」
「わかった。悪魔たちと戦争だ。
すぐに用意する。
このまえより俺たちは強くなっている。
だから、悪魔たちを全員倒して国をとりもどす。
それしかない」
ランスロットが言う。
彼が言うと本当にそうなりそうな気がする。
わたしもエヴァンスも強くなったし、このまえのようにはいかない。
わたしたちは、王国に戻る準備を始めるのだった。




