イグレーヌ17
わたしたちは、思ったより長くこの町にいることになった。
少し休んだらすぐに共和国に行こうとしていたんだけど、この町に来てから考え方が変わった。
将来のことはエヴァンスと話し合った。
その結論とは、共和国に頼るのではなく、わたしたちでなんとかできないかということだ。
やはり他の国に力を借りるのは将来的に問題がある。
悪魔に支配されるよりましって程度。
共和国もタダでは動かない。
もし悪魔を討伐できたとしても、それなりのものを渡さなくてはならないということになる。
それと、人間の最強戦力はドラの町にあるのではないかということ。
魔導のブラックウッド、剣神ランスロット。
この人たちより強い人は他のどこにもいないのではないかということ。
あと悪魔との戦いには少数精鋭のほうがいい。
やつらにとって力の劣るものはただ殺されるだけの存在となる。
文字通り無駄死にとなるだけだ。
結局は私たち3人で当たるのがいいだろう。
だから、もっと力をつける。
「ぼくらもやるっすよ。
ランスロットさんは師匠っすから」
「わたしも戦います。
イグレーヌさんはドラの町の仲間ですから」
「わしも、力を貸そう」
「なんでも言ってください。
戦うのは得意ではありませんが、戦いに兵站は重要です」
「わしが最高の武器を作ってやろう。
いい黒鋼が手に入ったんじゃ」
「ドラも助けるにゃん」
ドラの町のみんなは手伝ってくれる気満々だ。
でも、ランドバルクのために命をかけるのはわたしたちだけで十分だ。
そのうち、ミリアちゃんとアッシュが町を出ていくことになった。
冒険者になるのだそうだ。
それから、グリフレッドさんが他の町で商会をひらくために出ていった。
なんでも、この町の商品を世界に売るとのことだ。
みんな、夢をもって町を出ていくのだった。
わたしたちもいずれランドバルク王国再興という夢をかなえるためにここを出ていくのだろう。
その前に修行とともにやらなければならないことがある。
そう、この町に恩返しをするのだ。
いずれみんなが夢をもってここから巣立っていけるようにすこしお手伝いができればいい。
わたしたちは公園前の集会所を使って、学校をつくることにしたのだった。