表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/187

13

 カラスの親玉はぼくの下で死んでいる。

 まわりには、たくさんのカラスが死んでいる。

 それとおかあさんやおにいちゃん、おねえちゃん。

 ぼくは、みんなのところに言って、息をしていないか確かめる。

 でも、みんな死んでるみたい。

 ひとりぼっちになっちゃったな。

 前の世界でも、同じだったな。

 結局ぼくだけ助かったんだ。

 この世界でも同じだ。

 でも、前の世界ではひとりぼっちになったとたん、新しい家族ができた。

 今はちがう。

 本当にひとりぼっちになってしまったんだ。


 ぼくは、穴を掘って家族を埋める。

 このまま置いといたら、鳥とか鼠とかに食べられてしまう。

 それも自然の摂理、だけどそういうのってあんまりみたくない。

 今のぼくには穴を掘るなんて簡単だった。

 何回か爪で地面を掻くだけでみんなが入る穴が完成した。

 本当にこの力ってなんなんだろう。


 最初、ぐるぐるを感じて身体の中が熱くなった。

 それで、力が湧いてくる感じ。

 それと、カラスをたくさん倒したら、もっと力が出るようになった。

 最後に大ガラスを倒したとき、すごく力が上がるような感じだった。

 たぶん、戦えば戦うほど、強くなっているみたいだ。

 

 ぼくは家族のお墓に誓う。

 絶対に強くなる。

 そして、大事な者を守れるようになる。

 それがなにもできなかったぼくの使命だ。


 ぼくは大カラスを食べる。

 カラスたちも生きるために戦ったんだ。

 だから敬意をこめて自分の身体に取り込む。

 これも自然の掟だ。

 

 ぼくは、それから一人で生きることになった。

 でも別に食べ物に困ることはなかった。

 ぼくは強くなったんだから。

 兎や鼠や鳥を捕まえそこなうことはなくなった。

 それと、もう、ぼくの縄張りを荒らすものはなくなった。

 ここで生きる分には、何も心配することはなくなった。


 ぼくは、寝て食べて遊んでの暮らしをした。

 でも、気が付いた。ここままじゃだめなんだ。

 ぼくは何かを守れるようにならなければならないんだ。

 ぼくはもっと強くなることにした。


 そして、ぼくは縄張りを離れて、森の奥のほうに入っていくのだった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ