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イグレーヌ05
「やっぱり、子供と脳筋の集団だ。
王をとればゲームは終わるのにね」
エヴァンスはわたしを守りながら言う。
彼の頭の中には、この窮地から逃げる方法があるのだろう。
にゃあ。
腕の中の猫ちゃんが鳴く。
「猫？もしかして魔法猫か」
エヴァンスがわたしに聞く。
「そうみたいです」
「これはいい。
魔法猫は幸運の動物なんだ。
二本の尻尾で幸運をひっかけてくるらしいです」
「そうなんですか。
でも、エヴァンスさんがそんなことを信じるなんて意外です」
「ええ、しかし、この状況。
逃げられる確率はゼロに近いです」
「わかりました。
わたしはこの状況でもエヴァンスさんはなんとかできると思っていました」
「そんなわけないでしょう。
わたしもただの人間です。
たぶん、あいつもね」
エヴァンスはランスロットを見る。
「そうなんですね。
わかりました。
猫ちゃんの幸運に賭けましょう」
わたしは猫ちゃんを顔の前に持ってくる。
「猫ちゃん助けてくれる？」
わたしは猫ちゃんの顔をじっと見る。
「うん、助けるニャン。
ぼくは猫ちゃんじゃなくてドラだにゃん」
なんか頭の中に言葉が流れ込んでくる。
もしかして、この猫ちゃんが話しているの？
まさかね。
でも、それなら助けてもらおうかな。
「ドラちゃん、初めまして。
わたしはランドバルク王国の王女、イグレーヌよ。
悪いやつらに追われているの。
助けてくれる？」
わたしは猫ちゃんにお話をする。
「まかせるニャン」
ドラちゃんは、そう言って目を細めるのだった。
