12
ぼくは大ガラスの上に乗る。
カラスは身体を傾けてぼくを落とそうとする。
「なんだおまえは?」
カラスはぼくに問いかける。
このカラスは相当に知能が高いみたいだ。
ぼくたち動物はある程度の知能をもった同士なら、種族が違っても対話することができる。
人間みたいに話をするのではなく、テレパシーみたいなものだ。
言語を介さないで、お互いの思ったことを伝えられるのだ。
「ドラだにゃん」
「おまえは魔法猫なのか?」
「猫だにゃん」
「おまえのその力はなんだ」
「わからないにゃん」
「その力がありながら、なぜ、我らを退けなかった」
「わからなかったにゃん。
でも、これからは守るにゃん」
「もう、無理だ。
おまえには、大きな弱点がある」
「それはなんだにゃん」
「それは猫は飛べないことだ」
そう言って、大ガラスは宙返りをする。
そのとたん、爪が外れて、ぼくは空に投げ出される。
さっきからカラスが上昇していたのは、こういうことだったんだ。
ここから落ちたら、たぶん無事にすまない。
ぼくは落ち始める。
でも、それはゆっくりだ。
ぼくは、空中を蹴る。
そしたら逆に上昇する。
なんか、ぼくは浮いてるみたいだ。
「なぜだ」
驚いたような声をあげるカラスの頭。
「もう、ぼくは負けないにゃん」
ぼくはその方に宙を蹴る。
ぼくは弾丸のように、飛び出してカラスに体当たりをする。
カラスは羽根を散らして、地面に落ちていく。
ぼくもそれを追いかけて落ちていく。
そして、カラスに追いついてもう一度猫パンチでカラスを地面にたたきつけるのだった。