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わたしは一度ドラの町に戻ることとなった。
回復薬の仕入れもかねてのことだ。
回復薬の材料は深淵の森の奥部に普通に生えている草だ。
いわば雑草と言ってもいい草なのだ。
ただ、森の浅い部分や町の近くでは見かけない。
ブラックウッドさんが何か新しいものを作っているかもしれないし。
帰りは寄り道なし3日間の道のりだ。
まあ、わたし一人でも問題ないだろう。
いちおう孤児を2人同行させる。
彼らは初めてのニャンコロッド商会の社員だ。
そのうち仕入れにも言ってもらわないとならない。
ドラの町を知っておいたほうがいいだろう。
ドラの町までの道のりで出てくるのはウルフやベア、オーガ、ジャイアントくらいだ。
それも、なんかあんまり向かってこなくなった。
わたしが馬車を降りると逃げていくのだ。
わたしは楽な旅をつづけ、3日かからずドラの町についた。
ランスロットさんとヴァンスさんが迎えてくれる。
なんか、知らない子供や老人が増えている。
森に迷い込んだ人たちをドラちゃんが連れてくるみたいだ。
でも、迷い込んだ人たちではない。
森に近い貧しい村では、人減らしに老人や子供を捨てたりするのだ。
ぼくたちも同じようなものだったけどね。
町に人が増えるのはいいことだ。
たぶん、ドラの町は大きくなるだろう。
わたしたちみたいな捨てられた人間を取り込んで。
そして、みんなが幸せに暮らせる町になるのだ。
そのためにわたしは他の国との貿易を受け持つ。
ドラの町のものを他に売って外貨を手に入れ豊かになる。
それだけではない。
子供や老人たちの働き口を作る。
やっぱり、人間は自分の価値を見いだせないとならない。
お金があればいいというものではないんだ。
これはドラちゃんの教えでもある。
ドラちゃんは人間を拾ってくるけど、その後はその人に任せる。
頑張れば手助けしてくれるし、何もしなければなにもしない。
たぶん、それが正解なんだろう。
人間は自分でなんとかするしかない。
ドラちゃんはそんなふうに言ってるような気がした。
ブラックウッドさんのところに行く。
新商品はできているかな?
ブラックウッドさんの家は研究所になっていた。
ぼくが行くとホルスさんと何か話し合っていた。
「よお、グリフレッドくん帰ったのか?」
「ええ、商品が少なくなったので、補充しに来ました」