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その日から、急に店は忙しくなった。
なんでも、あの冒険者たちはこの町でも上位の級冒険者だったみたいだ。
いろいろサービスすることでこの店を気に入って宣伝してくれたみたいだ。
それにこの町の周りで魔獣が増え始め討伐依頼が増えているらしい。
いくら上位の冒険者でも無傷っていうわけにはいかず、安くて効果のある薬はありがたいとのことだ。
魔獣が増えているのは騎士団が機能していないからだという愚痴も聞いた。
危険な仕事はすべて冒険者に回ってくるようになったって。
とにかく、薬は売れるようになった。
それと武器も店に出せば、すぐに売れるようになった。
相当の数をもたせてくれたけど、足りなくなりそうだ。
薬もまた補充しないとならないな。
そのころにはレイモンドさんも帰っているだろう。
レイモンドさんに店を任せてわたしが取りに行けばいい。
「ここがニャンコロッド商会か」
「へい、兄貴」
なんかガラの悪い5人組がこっちに向かってくる。
「おい!ケビンとかいうのはおまえか」
中央のいちばん小さいのが、わたしに凄む。
喜劇でよくある構成だ。
こいつがボスなんだな。
わしがネクタイを外したらどうなるかわかってるんやろうなってネクタイを外して長さおんなじとかいうのはやめてほしい。
「はい。わたしがニャンコロッド商会のケビンです」
「おまえのところの薬。効かへんらしいやんか」
なぜかこういうやからは西の方の方言でしゃべる。
「いえ、効果は自信あります」
「そやけど、おまえのところの薬を塗って具合わるなったと言う人がぎょうさんおってな。
わしのところの若いもんも傷が余計わるなったんや」
そう言って他のやつが、腕の傷を見せる。
「どないするんや」
小男は凄む。
なんの茶番だ。
「いえ、しかしわたしどもの薬ならその程度の傷、一日もあれば治ってしまうはずですが」
「この傷がなによりの証拠や。
慰謝料出してもらおか。
よその町から来はったんでわからんやろけど、金貨100枚ってところがこの町の相場なんやけどな」
「払いませんよ」
こんな茶番に付き合う必要はない。
それに、ここで払っても逆効果だ。
自分の商品が粗悪品と認めたことになる。
さっきから、人がたくさん集まっているのだ。
 




