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「ニャン」
猫ちゃんはぼくたちの方に向く。
そのとたん、身体が暖かくなる。
いままで疲れが消えていくようだ。
老人たちもそれを感じて、身体を動かす。
もしかして猫ちゃんがヒーリングをしてくれたのか。
回復どころか、力がみなぎってくる。
猫ちゃんは歩き出す。
わたしたちはそれについていく。
なんか、早く歩いても全然しんどくない。
息がきれない。
2人の老人も同じみたいだ。
猫ちゃんは狭いけもの道を滑るように走っていく。
猫ってこういう狭いところ好きだよね。
ぼくたちは見失わないようについていく。
時々振り向いてぼくたちを確認する。
やっぱきちんとついていけるようにしているのだ。
そのうち、道はだんだん広くなっていく。
なんか、人の足跡もあるし。
もしかして、町に近づいている。
それから、急に視界が広がる。
石畳の道路、そしてその先に大きな石造りの門。
猫ちゃんが門の前に座ると、門が開き始める。
石造りの大きな門だ。
この門を開けるには大きな力が必要になる。
中には屈強な門番が何人もいるのだろう。
門が開き始める。
扉の両側には石の巨人。
聞いたことがある。あれはゴーレムだ。
魔法で動く石の巨人。
ただ、石が積み重なっただけでなく。
もっと精工にできている。
「おかえりドラ」
少年が猫ちゃんに近寄る。
「ドラ、どこに行ってたの」
少女も近寄ってきて猫ちゃんを抱き上げる。
猫ちゃんは彼らに頭を撫でられて、ナーと鳴く。
少年少女は、すぐにわたしたちに気づく。
「あ、ようこそドラの町に。
ぼくはアッシュ。そして」
「わたしはミリア」
少年たちはあいさつをする。
「わたしはグリフレッド。
エクレルの町の商人だ」
わたしも彼らに自己紹介をするのだった。