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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第4章 大商人グリフレッド
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「虎、いやこの大きさはグレイトタイガー」

「グレイトタイガーならA級じゃないか」

 騎士たちは剣を抜いてグレイトタイガーに対峙する。


 グレイトタイガーは悠々と品定めをするようにわたしたちを見る。

 ただの餌を見る目。

 わたしたちを敵とは見ていない。

 だれから食ってやろうかって感じ。

 舌で鼻の下を舐める。

 

 騎士たちは構えたまま下がる。

 わたしたちもだ。

 刺激しないようにゆっくりと。

 そう、こういう時は走ってにげてはいけないという。

 そういう奴から獲物にされるのだ。

 

 グレイトタイガーは吠える。

 大きな口を開けて、鋭い牙を見せて。

 騎士たちはそれを合図に我さきにと走り出す。

 わたしたちを置いて。

 そう、彼らにとってA級の魔獣が出たというのは逃げてもいい口実となる。

 わたしたちをいけにえにして逃げ切ればいいって考え。

 ただ、誇り高き狩人にはそんな理屈は通らない。

 獲物を逃がすなんてことは彼の美学に反したみたいだ。

 武器も持たない囚人はあきらめるしかない。

 戦う手段を持たないのだ。

 そのうえ、手首を縛られ互いに繋がれている。

 それは冒険者上がりだけじゃなくて、わたしや老人を含めてのことだ。

 

 とにかく、グレイトタイガーは素早く動く。

 騎士たちの逃げたほうに回り込む。

 すぐに騎士たちの前に現れる。

 

「こいつ、俺たち、みんな食うつもりだ」

「逃げられないぞ」

「しかたない戦うしかない」

 騎士たちは覚悟を決める。

 しかし、こいつら閑職のやつらだ。

 素人目でも戦いの経験が少ないのがわかる。


 その引けた腰でグレイトタイガーを倒せるわけはない。

 グレイトタイガーは爪をふるう。

 その爪に一人の騎士がとらわれる。

 そのまま、飛ばされて木にぶつかる。

 なんか足が変な方向を向いてる。

 

「来るな。こっちに来るな」

 もうひとりの騎士が無茶苦茶に剣を振っている。

 そんなことしても無駄だろう。

 そう思ったとたん、虎がそいつに突っ込む。

 その騎士の肩口を虎の牙が食いちぎるのだった。

 

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