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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第4章 大商人グリフレッド
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08

 数日後、わたしは鉱山に連行されることとなった。

 10年間の強制労働だ。

 劣悪な環境で朝から晩まで働かされることとなる。

 10年という期限はあるが、ほとんど生きて戻ってくることはないと聞く。

 しかし、わたしは戻ってやる。

 なんとしても戻って、あのモーガンをつぶしてやる。

 そうしないと、本当に自由な社会にはならない。


 脱獄と言う方法もある。

 ただ、鉱山監獄は難攻不落だ。

 問題はその場所だ。

 深淵の森に入ったところにある。

 深淵の森は果てしない広さの樹海だ。

 入ったところと言っても、森を一時間は歩かなくてはならない。

 磁石でさえくるってしまう迷いの森だ。

 道をしっているものでないと迷ってしまう。

 それに、深淵の森には強力な魔物が住んでいる。

 わたしのような商人がひとりで戻ってくるのは不可能といえよう。

 それでも、なんとしても戻ってこよう。

 そして、世界を変えるのだ。

 人々が希望をもてる世界に。

 がんばったら報われる世界に。


 わたしたち10人は引き出され、腰ひもでつながれる。

 これから1週間の鉱山への旅がはじまる。

 囚人は徒歩、そしてわたしたちを見張る騎士は4人。

 剣を持って馬に乗っている。

 

「そろそろ出発だ。

 おまえら、ちゃんとついて来いよ。

 もし、逃げようとしたら殺してもいいといわれている。

 くれぐれも変な考えをおこさないように」


 わたしたちは繋がれていて、武器も持たされていない。

 それに逃げたところで人間の足だ。

 騎馬の足にはかなわない。

 逃げてもすぐに追いつかれて斬られるに決まっている。


 わたしたちはうなづく。

 

「よし、では出発だ。

 おくれるんじゃないぞ」

 そう言って、隊長は手をあげる。

 その合図で全員が動き出す。


 ほとんどが屈強な男たちだ。

 たぶん、町で乱暴を働いたのだろう。

 しかし、中には60歳くらいの小柄な老人もいる。

 わたしも彼らに比べると弱弱しく見える。

 

 わたしは少し早歩きで囚人の列についていくのだった。  


 

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