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前世は拾われた猫だったので転生したら人間を拾っています  作者: PYON
第4章 大商人グリフレッド
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02

「ついに、新しい回復薬ができた」

 わたしがそう言うと、店のみんなが集まってくる。


「よかったな。グリフレッド」

「おめでとう」

「これでいままでの苦労が報われるね」

 仲間の顔を順に見回す。

 ジョン、スティーブン、ジェミー。

 みんなよく頑張ってくれた。

 これで、みんなに良質な回復薬がいきわたる。


 そう、いままで回復薬というのは高価な品だった。

 製法はモーガン商会が握っていて、普通の人には手が出ない値段となっていた。

 そして、一般の人は仕方なく闇で売られている回復薬を使うしかなかった。

 モーガン商会のやり方自体は特に商慣習に反するものではなかった。

 薬の製法というのはひとつの財産だ。

 そういう権利を守る制度がないのだから、自分で守るしかない。

 だから、製法を持つものが独占するのは仕方がないことだ。


 ただ、商売には信義誠実の原則というのがある。

 商人同士約束は守らなければならないのだ。

 そうでないと、安全に商売ができなくなる。

 みんなが疑心暗鬼にならななくていい状態。

 そういう社会でないと、商売自体がなりたたないのだ。

 それを担保するのが領主の役目だ。

 信義誠実に基づいた裁判がなされないと、その領地の商業は崩壊するのだ。


 だから、ぼくたちは自分たちでまったく新しい回復薬を作った。

 いろいろな薬草を試して、安価で効果の強いものを作ったのだ。

 これを世にだせば、みんなから感謝される。

 そして、ぼくたちも儲けることができる。

 これこそ、三方良しというものだ。


 この回復薬を売った儲けにより、他の薬も開発することができる。

 それによりモーガン商会の牙城に小さな穴でもあけることができたら。

 ぼくたちに続くものも出てきて、大きな流れになっていくだろう。


「ジョン、スティーブンできるだけ多く薬を作ってくれ。

 小分けにした試供品を配る」

 そう、まずわたしたちの回復薬を体験してもらう。

 本当にいいものは絶対に認められるのだ。


「ジェミーは宣伝を頼む」

 彼女は町のインフルエンサーだ。

 彼女がいいと言った、ファッション、雑貨、食品はバズる。

 そう、いいものであってもまずは認知されること。

 とりあえず、目を止めてもらわないと存在しないのと同じだ。

 だから、彼女を仲間に引き込んだ。

 彼女もモーガン商会の独占には嫌気がさしていた。

 そのおかげで、おしゃれなものやいいものが出回らないって言ってた。

 

 さて、あとは敵がどうでるかだ。

 モーガン商会はいろいろな手段を使って敵をつぶしてくる。

 これは商人にとっての戦争だ。

 わたしはモーガン商会との戦いについて、いろいろと考えを巡らせるのだった。


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