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いつか視る夢の先   作者: 秋餅
一章
1/57

プロローグ

土埃が空に舞いあがる。




周囲から聞こえるのは、金物をぶつけ合う音。


人の怒声や悲鳴が轟き辺りを覆いつくす。



押して押されの攻防。


負けたものは地に崩れ動かぬ屍となる。



沢山の屍の上で尚、標的を倒す為に刃を向ける者達。


だが、次は押され自ら地へと落ち屍となった。




「…負の連鎖しかない.。結局…虚しいだけ…。」




一人の子供は静かに呟いた。



一軍隊がある目的地へ移動する中、一人の騎士の後ろで荷物に扮した子供が辺りをずっと眺めている。



子供は初めて見る戦場なのに、戦への恐怖よりも虚しさを感じた。



戦う全ての者達に対して


これから攻めてくる敵軍に対して



そして…ここに居る自分も…虚しい。




軍隊は目的地に辿り着き整列する。

ここで迎え討つつもりだ。



「ここで我が軍が敵軍を食い止める。民達を避難を完了させるまで、何とか持ち堪えるのだ!」



「「「我が国、ヴァロンの為に!」」」



軍隊長の掛け声に騎士達が応え、一斉に士気を高める。


でも、これも虚しいことだ。

彼らは確実に死ぬと分かって敢えて奮い立たせているのだから。



敵の大軍に対して、こちらは百人も満たない小軍。

こんな少人数で敵軍を相手するには流石に無理がある。


このまま戦えば時間も掛からず全滅するだろう。


だがここで足止めしなければ、民の避難が間に合わない。



でも、この場所は確かアレがある。それならば…



不利な状況の中、子供はある事を考えていると一人の男が声を上げた。



「た、隊長!わ、私は…無理です。…死にたくありません!」



皆が士気を高めているのに、一人の騎士が震えながら訴える。



「馬鹿者!ここで我々が食い止めないと、この先の街が敵軍に攻められるのだぞ?弱音を吐くな!」



「で、ですが、援軍は来ないのですよ!?総大将は我々を生贄にして自分達だけ助かろうとしている!わ、私には王都に嫁とまだ幼い子供がいるのです。死にたくありません!皆もそうだろう!?」



怯えた騎士が同意を求めるように周囲に声を掛けると、彼に感化されるようにチラホラ動揺する者達が現れた。




「そうだよな…あの方は最初から俺達を切り捨てるために、こんな人数で用意したんだよな?」


「ああ。前にも同じように俺の同僚たちを容赦なく見殺しにしていた。」


「やっぱりあの方は()()だ…。俺も家族がいるのに、もう会えないなんて…。」




弱弱しい声に子供は苛立ちを隠せない。




…馬鹿馬鹿しい。それは誰の所為で、彼がそうする羽目になったと思っているのですか?



騎士達の責任転嫁に苛立つ。



ここに居る騎士は『戦』というものを分かっていない。


数がいれば勝てるのか?


戦う力がなければ、策も覚悟もない。

こんな人任せな騎士達なら勝てる戦いも負けるだろう。



それこそ彼がまた泥を被らなければならない。

こんな弱い軍を守る為に彼が犠牲になるなんて…



私が絶対に赦さない!



子供は身を隠している布を取る。


それと同時に軍隊長が場を抑えるように叱責した。



「落ち着け!もうすぐここは戦場になるんだぞ!そんな…」


「カロム隊長、一つ策があります。私の指示に従ってください。」



隊長と子供の声が被った。



子供の高い声は思った以上に響き周りは振り向く。

そこには…



「…え?」



誰もがその人物に目を疑う。



金色の絹の様な艶やかな長い髪が風に揺られ舞う。


一瞬、人形かと思わせるぐらいに美しく整った容姿は誰もが目を奪われる。


だがその表情は、とても可愛い顔をしているのにも関わらず無表情だ。



それでも相手の心を奪うぐらいに愛らしい。


この世でも稀と言えるほどの美少女がそこにいた。




「…う、嘘だろう?」



「…なんで?ここに?」



皆が狐につままれた表情してその子供をみる。


でも、子供はそれを無視して隊長へ声を掛けた。



「隊長、私と一緒に来てください。罠を仕掛けます。」


「な、なにを…言っているのです?」



子供がなに戯言を言っている?と隊長は言いたげそうだ。


だが、子供はそんな隊長に一喝する。



「聞こえませんでしたが?ここで皆死にたくなければ、私と共に来なさい。」



たった一言で騎士達が一斉に青褪めて震えだした。



子供とは思えない程の圧倒的なオーラは誰一人、動くことも敵わない。


だが、子供は騎士達に構わず作戦に移る準備に取り掛かる。



「申し訳ありませんが、この子を借ります。降りてください。」


「はっ、はい!」



子供が乗っている馬の操者が急いで馬に降り、子供が馬の手綱を握る。



「隊長と十人程の騎士で十分でしょう。今から選ばれた人は私と共に来てください。後、手持ちにある爆薬は全部持っていきますよ?」


「そ、それだと敵軍を抑えられ…」


「敵を足止めする為に身を捧げようなど思わないでください。使い方によってはこちらが有利になります。残り騎士達は敵の様子をみてここで待機してください。敵軍が来る様ならば逃げても構いません。」



子供の言葉に騎士達が動揺するが、彼らを無視して子供はこの中で器用そうな騎士を指名し全ての爆薬を馬に積ませた。


「レ、レベンス…()()殿下?」


一人の騎士が子供に声を掛ける。

だが、王子は声を掛ける騎士には振り向かずに目的地へと視線を向けた。



「一刻を争います。ですが私達はここで負けるわけにはいきません。行きましょう。」



王子は馬を促し走らせた。

彼に釣られ隊長と騎士達がついてくる。



「…私は絶対に負けません。」



滑走する中、王子は小さく呟く。


王子達は罠を仕掛けるべく山道を走った。


そして少し時間が経った後に大勢の兵を連れた敵軍が攻めて来たが、大きな爆発音と共に土砂崩れが起こり、敵軍を飲み込む。


自然の力に対して人間は無力だ。


だが、これで終わりではない。



王子は罠を発動させた後、隊長たちを後ろに下がらせ敵軍を討つために向かった。



・・・・・




…今の戦況は五分五分の所か?




白い空を想像するような蒼銀髪の青年は戦況をみながら険しい表情した。


大規模の戦の為に軍が散らばっていて応戦してる。

その所為か、総大将軍まで動き対処している処だ。


だが敵は大軍で来ている為、抑えるのが必死。



「おい、民に避難は終えたか?」



青年は戦況を読み不利の状況だと悟ると、仲間達に今の状況を確認した。



「は、はい、ジェロニス総大将閣下。あと少しです。」



「急がせろ!既に国境を越えてきている。ここに来るのは時間の問題だ。」



青年の声に兵士が焦り、急いで援護に向かった。



先ほど時間稼ぎに行かせた小軍も恐らく全滅している…だからこそ、ここが戦場になる。急がなければ…


青年は焦る。


「しかし…あいつはどこに行った?民の誘導でもしているのか?」



青年には今の戦況だけではなく、もう一つの気がかりがあった。


先程からあいつの気配がしない。

初めての戦だから怖気ついたか?…いや、それはないだろう。


青年は否定するように首を振る。

探している相手はそんな柔な精神をしていない。


自分に向けられた暗殺者や、たまたま目にした敵国の間者をいとも簡単に手を下している。


それぐらい根性が据わっている相手だ。


「昔は俺の顔を見ただけで泣き出すほど気弱だったのに…うん、丈夫な子に成長したなぁ?」



青年は緊迫した状況の中なのに、子の成長を見守る親のように感心している。

そんな中、一人の騎士が慌てて青年の前に跪き頭を下げた。



「ジェ、ジェロニス総大将閣下に、申し上げます!」


「なんだ?」



騎士が顔を上げると何とも言えない顔になっている。

もう敵軍が攻めて来たのか?と青年の頭に過った。


だが…。



「…あ、…その、先陣に出した軍についてご報告があります。」



騎士の話は生贄に出した小軍の事だ。

青年は全滅したと悟る。



「…分かっている。彼らはよくやってくれた。だからこそ彼らの為に、ここで敵軍の総大将を仕留めなければならない。」



「いえっ、そ、そうではなくて…。」



騎士が否定する様に首を振ると青年は怪訝な顔をした。



なんだ?もしかして敵前逃亡でもしたのか?



だが、騎士は思わぬ事を口に出す。



「…申し上げます…小軍が前線に現れた敵軍を撃破しました。」


「…は?」



青年は固まる。



生贄に出した軍が敵軍を討ち倒しただと?

あの戦力としてはあまり期待できない小軍の連中が?


信じられず耳を疑うと、騎士は言い辛そうにモジモジしていた。



「…そ、それと…その小軍ですが…。」



お前は女か?


ならもう少し可愛い顔をしてやれ。面白くない。



「なんだ?ハッキリと伝えろ!」



青年はその騎士を見て突拍子ない言葉を口にしそうになったか、思い留まる。


だが、青年の言葉よりも更に上回るセリフを騎士は言い放った。



「…て、敵の総大将軍の元へ…現在進攻しています!」



そのセリフにこの場に雷が落ちた…様な雰囲気になる。


そのセリフを聞いて誰もが動かない。


青年は頭を抱えた。



…。


…そうか…あの小軍が敵の総大将軍に…


耳がおかしくなったようだ。


そう青年が思ったら、タイミングよく軍隊長らしき青年が青年の元に来た。



「ニルキアー、話があるのだけど…って、取り込み中?」



青年の名を呼ぶ青年に対して、ニルキアは助けを求める。



「…カイロス、良いところに来てくれた…どうやら俺の耳がイカレたようだ。おい、悪いがもう一度教えてくれないか?彼らはどこに行った?」



百歩譲って先制に来た敵軍を討ったところまではいい。

正直これも信じられないが、それよりも後の話だ。


一体どこの馬鹿が敵の総大将軍に向かっているって?


流石に冗談では済まさないぞ?という意味を込めてニルキアは騎士に視線を送る。


そんな彼に怯え、騎士は縮み震えながら台詞を繰り返した。



「…小軍が敵大将軍の元へ進攻しています。」


「寝言は寝てから言おうか?なぁカイロス、そう思うだろう?」



ニルキアはふらついた。


どうらやここ頻繁に戦にでている所為か、騎士達の頭が馬鹿になったようだ。


「…ふっ、俺もやきが回ったようだ。こういう時こそあの仔兎を撫でまわしながら癒して貰うのが一番だな。あの触り心地は最高に気持ちいい…」


「ニルキア…それセクハラ。悪いけど、それに関して俺も奇妙な話を聞いたよ?」


ニルキアの逃避にカイロスは現実へ連れ戻す。



「カイロス…今は戦だ、遊びじゃない。また面白くない冗談を言って、あいつらに袋叩きされるぞ?」


「冗談って決めつけないでー!」


ニルキアに冗談と捉えられて、カイロスは泣きながら否定する。


どうやら真剣な話ようだ。



「…で、奇妙な話とは?」


いつも冗談を言う彼に対してニルキアは容赦ない。


だけど、カイロスはニルキアと同期であり第五騎士隊長。


報告はちゃんと聞かなくてはならない。



もう、面白珍現象はいいぞ?


そう言ってニルキアは先に釘をさすが、カイロスは違う話を持ってきた。



「…その小軍に子供がいるって。それって…レンだよね?」


「…レンが?」



それを聞いて、これまで騎士のうやむやな報告に合点がいく。



さっきからずっといない子供…というより仔兎。


まだ10歳という若さで初めてこの戦に参戦したこの国の王族。

見た目は誰もが見惚れる程の美少女顔。

なのに、その中身は仔兎。無性にナデナデしたくなる程の小動物。


そんな仔兎は総大将であるニルキアとその祖父に鍛えられ人並み以上の実力を持つ。



レベンス・フォン・ヴァロン



ニルキアが今一番可愛がっている仔兎だ。



…さっきから姿が見ないのは…その所為か?



ニルキアは確信する。


あの仔兎が動いているなら納得だ。


ニルキアはすぐさま自分のやるべきことを見出す。


「…カイロス、各軍の戦況はどうだ?」


「え?ああ。各軍まだ交戦しているけど、こちら側が有利に進んでいるから問題ないと思うよ。後は総大将軍とその背後にいる援軍だけ…ニルキア?」


各軍の状況は良い様だ。

ここも先制軍が撃破しているならば、そう大きな問題はない。



「カイロス、俺の代わりにここの指揮を任せる。民の避難が終わり次第、団長軍と共に軍隊を引き連れてくれ。総大将軍を討つぞ。」


「えー。お前は?」


「俺は先に向かう。任せだぞ?」



カイロスの返事も待たずにニルキアは馬に乗り総大将軍へと向かった。



ニルキアの脳が『早く駆けつけろ』と命ずる。

どうしてか、やけに胸騒ぎがしてならない。



「…レン…無理をするな?」



仔兎を案じるように、ニルキアは全力疾走で向かう。


険しいが近道を通り何とか短時間で敵軍が通ると予想した道に辿り着くが、敵軍の姿がない。無論気配もない。



だが目の前の光景に目を疑う。


歩ける場所には大勢の屍が地に伏せていた。


ニルキアがそこを通ると、僅かな火薬が混じった土の匂いと血の匂いが漂う。


舗装されていない場所で、敵の国章が入った鎧を着た屍が敷物を敷いたように広がっていた。


来た道にもこれと同じものを見たが、何とも言いえない。


土砂に埋もれた者もいれば、剣で斬られて絶命している者もいる。


それを見てニルキアは更に納得した。



…やはりこんな事が出来るのはレンだな?



爆薬を仕掛けたらしき場所に目線を映すと、とても一般人では出来ない業の痕が残っている。

爆薬を普通に爆発させても、ここまで致命傷を与えることは不可能だ。


だが、レベンスはこの辺の地形を把握している。

ここは特に土砂崩れが多い場所。

爆薬を上手く使い刺激して敵を飲み込んだのだろう。


しかも、ここは細道が沢山あって奇襲するのは容易い。

子供の様な小さな身体ならば猶更動きやすいだろう。



レンがここで敵軍を迎え討っている。



「ジェ、ジェロニス総大将閣下…。」



ニルキアが状況を確認していたところに聞きなれた声がした。

振り返ると、そこには生贄に出した小軍全員が待機している。



「…ここで何をしている?」



騎士達を見ると全員無傷だ。それも戦った形跡もなく綺麗なまま。


彼らをみているとニルキアは「だろうな」と頷いた。


どうやらレンに任せて、ここに居る騎士達は何もしていない。

頭が痛くなるほど愚か。



「何故、戦に来た騎士が何もせずにただ立っている?」



ニルキアの鋭い声が騎士達全員を恐怖へ誘う。


相手は『死神』と呼ばれているこの国一番の強者。


死神の鎌が今、彼らの首に当てられている。



「も、申し上げます。我々はレベンス王子殿下にここで待機しろと命じられて待機しています。」



隊長が前に出て恐る恐る言い訳をした。



「レンが?…まあ、いい。」


興味を無くしたようにニルキアは騎士達に鋭い視線を外す。


視線が外れた騎士達は安堵した…が、ニルキアは決してこの部隊を許している訳ではなかった。



「お前たちの処罰は後に下す。それより王子はどこにいる?」



冷淡な声が騎士達を震えさせる。

だがニルキアは彼らを気に留めていない。

目で『早く回答せよ』と促した。



「さ、先ほど、あちらの方に向かっていきました。恐らく敵大将が逃亡を阻止する為に追っていたのでしょう。」



隊長が指す方をみると山頂へと続く道だ。


敵の気配は殆ど感じない。この屍の数からみると生き延びている数はそんなにいないようだ。

援軍もまだ来ていない。


ふとニルキアはある事を気付く。



…そういえば敵の援軍を知らせる伝言鳥がこない。本当ならば敵本隊が到着した後、援軍も到着してもおかしくないのに…まさか…



「確認したい、敵軍が来る道に何かしたのか?」


「は、はい。援軍の到着を遅くするために、先回りしてレベンス王子が残った爆薬で数か所道を塞ぎました。その時に敵の総大将軍が攻めて来たのです。」



…上手く敵を分離したな?



ニルキアは確証を得る。


これで敵の援軍は予定の道を通れずに遠回りしなければならない。

遠回りする場所は全て自分の仲間が率いる軍隊がいる。勝ち目はないだろう。


残りの敵兵を討つためにニルキアは王子が向かった先へと視線を向けると、来た道から別の軍隊の気配がした。


どうやらようやく騎士団長の軍がお見えになった様だ。

それもカイロスの軍も引き連れてかなりの多勢。


その気配にニルキアはある安堵をする。



これなら屍の道を綺麗に清掃してくれるだろう。

良かった、仕事が少し減る。



敵残兵よりも敵の屍の掃除が楽になる事に安堵するニルキア。

不謹慎だが、彼は既に勝機を確信している。



「レベンス王子の元に行く。ついてこい。」


「はっ。」



ニルキアは小軍を連れ王子が向かった先に行く。

この先は確か見晴らしのいい山頂だ。


恐らくそこで敵の敵大将達と戦っているのだろう。

山頂まで行けば、彼らに逃げ場などないのだから。



山頂近くまで来ると、血の匂いが強くなる。

それに金物のぶつかる音が響いている。まだ戦っているようだ。


ニルキア達がたどり着くと、全員がその光景を目のあたりにする。


目の前には敵の屍の上で敵大将と戦っている子供。


だが、その戦いはもう終結を迎えるようだ。


王子は着々と敵大将を追いつめ、その首を剣で貫く。


敵大将の身体が崩れ落ちた。



信じられない光景に皆が沈黙している。

いくら残兵とはいえ、敵の本陣を仕切るかなりの強者達。

それをたった一人で追い詰めた。


まだ10歳という子供が敵大将軍を相手するなど誰もが信じられない。


だが、事実は事実。


この大勢の骸たちが、これが現実だと証明してくれている。


王子は静かに剣を降ろし、その敵総大将だった死骸を見つめていた。


その目は敵総大将へ憐れむものではない。


ただ虚しさと言う感情が彼を支配している。


そんな彼を、この場にいる騎士達は誰一人声を出さず見つめていた。


総大将のニルキアさえ動けない。



風が静かに吹く。


背中まで伸びた美しい金の髪を靡かせて、ようやくレベンスはニルキア達に振り向いた。


丁度、日の光が山頂を照らし勝利を祝福する様に光で包まれる。


日の光を浴びたレベンスは神々しい。


そんな彼を見た騎士達が自然に次々と跪いた。




「…こ、これは…。」



騎士団長達がようやく到着したが、全員がこの光景に固まってしまう。

だが、そんな彼らも操られた様に次々と跪いた。



静かにレベンスの唇が動く。




「…この戦はこれで終わりです。…ニル、そうでしょう?」




戦の終わりを告げるレベンス。

まるで神が降臨したようなその姿に、ニルキアも膝をつき頭を下げた。



「…ああ、そうだ。…終わりだよ…レン。」



この日、英雄が誕生した。



そして後にレベンスを戦神の化身と謳われるようになる。


その名が過去の罪を呼び寄せるなど、この時誰も思いもしなかった。

読んで頂きありがとうございます。


色々と思う処があると思いますが、深く考えないで楽しんで頂けると助かります。


更新頻度等の詳細を活動報告に記載しています。


宜しくお願いします。

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