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7層世界の王  作者: 宮地 巻
1/1

セブンリスタート

これは大昔の話

この世には7人の神様がいました。

7人の神様たちはとても仲が良く、幸せに暮らしていました。

ある日、王たちが談笑会をしている所へ一羽の白色のカラスが飛んで来て言いました。

「この中で一番強い神様は誰なの?」

それを聞いた神様は、口を揃えて言いました。

「私だよ」と。

神様たちは顔を見合わせて苦笑い、その日の談笑会が終わりました。


次の日から神様たちは小さな事で争うようになりました。小さな争いは、やがて大きな争いを生み、戦争が始まりました。


神様たちは同等のチカラを持っていたので、何年も何年も戦争が終わらず、徐々に世界が崩壊し始めました。

そんなある日、7羽の赤いカラスが7人の神様の元に現れて言いました。

「このままだと、この世界は消滅しちゃうよ。神様は大きなチカラを持っているんだから新しい世界を造る事は出来ないの?造れるなら新世界造って転移しちゃおうよ」

すると、神様たちは赤いカラスに他の神様たちを集めるように言いました。


次の日、神様たちは昔仲良く談笑をしていた所に集まり

神様たちは声を揃えて言いました。

「私は別の世界に行くことにしたわ。んじゃな」

神様たちはまた顔を見合わせて笑い、最後のお別れをして神様たちは、それぞれ新世界を造りだして転移し、1つだった世界が7つに分かれたのでした。


これが後に【7層世界の始まり(セブンリスタート)】と呼ばれることとなりました。




「なるほどな・・・」と言いながら

パタンと本を閉じ、草原の木の下に寝転がる一人の少年がいた。

少年が持っていたのは【7層世界の物語】と書いてある絵本だった。

「太陽ーまたその本読んでるの?」

少年を太陽と呼ぶ声が木の陰から聞こえた。

「なんだよ。別にいいだろ?さくらも読んでみろよ面白いから」

木の陰に居たのは、さくらと呼ばれる綺麗な金色の髪の女の子だった。

「もう読んだよ。てか、その本は小さい時からみんな読み聞かされる絵本だよ?もう耳タコだよ」

「まぁ、たしかに言う通りだな。この本にロマンを感じちゃうんだよな。異世界なんて男のロマンだからな」

「私には分からない話だなぁ。でも17歳になってもこの本読んでるの、太陽くらいしかいないよ?」

と言いながら、さくらは太陽から本を取った。

「別に良いだろ?好きなんだから。それに17歳は今日まで。明日から18歳だ。」

「そうだね。同じ誕生日だから私も明日から18歳。お互いもう大人だね。」

さくらは本のページをパラパラと捲った。すると本からスルッと挟み込まれた紙が落ちた。

「何これ?」

さくらは落ちた紙を拾いあげ、太陽に確認した。

「あぁ明日王様の所に持っていくやつだよ。さくらも準備したか?」

「願い事書くやつのこと?もちろん準備したよ?もしかして太陽はこの紙切れに描いたの?信じらんない!怒られるよコレ」

「そうか?まぁいいじゃん。とりあえず持って行ってみようよ」

さくらから本と願い事が描いてある紙切れを取返し、太陽は立ち上がった。

「ついに明日王様に会うのかー。気合い入れないとな」

「そうだね。よーし私も家に帰って明日の為に最後の準備しよう」

「よしっ、じゃーまた明日な」

「うん、また明日ね」

手を振り二人は分かれ、時間は経ち次の日の朝となった。


太陽とさくらが暮らすこの世界では、18歳になると大人として扱われ、誕生月毎に自分の住む国の王城へ招かれる。そして招かれた子たちは、願い事と言われる大人になってやり遂げたいことを王に告げるという儀式がある。王の間ではその願い事に見合った物が出現し、新成人へと手渡される様になっている。農家になりたい者には『壊れない桑』を兵士になりたい者には『盾』や『剣』を人によってバラバラで想いの強さに見合った物が出現する為、嘘のない願いを皆持ち寄り王へ告げるの事となっている。


太陽とさくらは王都へ向かう馬車乗り場で合流し出発した。

「さくら、お前荷物多すぎじゃないか?」

太陽の目の前にいたさくらは、身が隠れるほどの大荷物を風呂敷に包みを担いでいた。

「何言ってるの?太陽。王都まで6時間もかかるんだよ?何かあったら大変でしょ?」

「気持ちは分からんでもないけど、さすがに多すぎだろ…俺ら以外に行く人いたら乗れなかったぞ…」

さくら達が住んでいる村は王都からかなり離れている田舎で、王都に呼ばれる子が出たのも数年ぶりと言われるほど子供も少ない地域であった。


時間は進み、太陽たちは王都へ到着した。

「おいおい、マジかよ…ここまで来るのにどれくらい試練を超えていたかわかんないぞ…」

「だから言ったでしょ?何があるか分からないって」

王都到着時さくらが持っていた荷物がほとんど無くなっていた。王都までの移動の間馬車のタイヤは取れるわ、魔物に襲われるわ、馬はいなくなるわ、崖で道が無くなってるわ災難続きであった。その度その度さくらは風呂敷からアイテムを出しすべて解決し遅れることなく王都に到着したのだ。馬車から降りる頃に馭者から感謝され「ここまで来れたのは貴方のお陰です。本当にありがとう」と言われていた。

「ここが王都かー!めっちゃ都会だね!あぁどうしようっあれも気になるし、これも気になる!」

さくらは目をキラキラさせながら街中を走り回っていた。

「おーい、さくらー!予定の時間までまだまだ時間あるから自由に見ていいぞー!一時間後この時計塔の前集合な!(ここまで無事に来れたのもさくらのお陰だしな。ついでに俺も散策しよう!)」

「えっ!いいの?んじゃまた後で!」

そう言ってあっという間にさくらの姿が見えなくなった。そして太陽も街を散策することとした。


街には洋服屋や宝石店やカフェなど太陽達が住んでいた所には全く無いものが多くあった。街散策していた太陽が迷わず入ったのは、武器屋の大型店舗だった。

「すげぇ、こんなに武器がいっぱいあんのか!俺の住んでた村には草刈り鎌とか桑とか斧とかしか無かったもんなー。こりゃ見るのに一日掛かりそうだな…」

口を開け商品を見ていた太陽だったが、そんな太陽を見てクスクスと笑う者もいた。

(まぁ田舎から来たからな。しょうがないけど、ずっと笑われんのは癪に障るな)

太陽は笑う声が聞こえる方振り返った。

「オイ!さっきから‥‥」

笑う者を注意しようとした瞬間

「太陽ーーーーー!!!やっぱりココに居たかーーーー!集合時間になってもいないから探したよ!!!」

店の扉を勢いよく開けさくらが入って来たのだった。

「お、おうすまん(ビックリしたー…しかしすげぇタイミングで入って来るなコイツ)てかお前その格好何よ」

太陽の目の前にいたさくらは、白いワンピースに白いフロッピーハット、左手にはキャリーバック右手にはクリームがモリモリのコーヒードリンク、腕やら首やら至る所アクセサリーを装着していた。先ほど農作業服を着ていた者とは思えない姿だった。

「何よって都会スタイルでしょ?今日の為に雑誌をいっぱい読んだんだから!どう?似合ってるかな?」

太陽は(コイツ昨日俺の紙切れを散々言っときながら、何考えてんだホントに。そもそも昨日言ってた準備ってこれの事だったんじゃ…)と思いながらも「うん!すごく似合ってるな」と答えるのだった。

確かにさくらの容姿は農家にはもったいないほど綺麗で、先ほど太陽を笑っていた奴らも見とれるほどだった。

「やっぱり似合うと思う?私もそうかなぁって思ってたんだ!ってそれよりも、もうそろそろ王城に行く時間だよ!行くよ太陽!」

「はいはい。んじゃ行きますか(お前が聞いてきたんだろうが!)」

店を後にした太陽とさくらは城の入口へ向かった。

集合場所は多くの人で賑わっていた。

「すげぇ数の人だな。俺らの村からは数年ぶりの参加で二人だけだってのに…さすが世界最大の国って感じだな」

「そうだね。私もビックリ。さすがサンセット王国ね。緊張してきたわ」

「なに言ってんだ王様も人間、俺らも人間さ、そう緊張すんなよ!」

バンッとさくらの背中を叩き気合いを入れたのだった。

「痛っ!何すんのよ!!」

そしてさくらは太陽を蹴り飛ばした。

(コイツ見た目とやる事合わなすぎだろ…そして蹴り強いな…)


「開門!!」

城の門が開いた。

ぞろぞろと招待された者たちは城内へ入っていった。もちろん太陽達も城内へ入った。

そして王の間に通され、太陽達が見上げた先の玉座にはこの国の王が座っていた。

「よく来た新成人の諸君、この中には近隣の者からかなり遠方の方から来た者もいるじゃろう。今日という日を迎えれてワシもうれしいぞ。皆今日の為に願い事をしっかり考えて来たかいの?」

「ハイ!!」

新成人達は皆口を揃えて言った。

「そうかいそうかい、そりゃよかった。願いが叶うといいのう。今日は特に特別(・・・・)な日じゃからのう。皆気合いを入れるのじゃぞ」

「王様すみません!」

大勢参加者の中から大きい声は響いた。手を挙げて質問していたのは太陽の隣にいたさくらだった。

「特に特別な日って何ですか?」

(お前さっき緊張するって言ってなかったっけ?)太陽は心の中で大声で叫んだ。

「おぉ金髪ガールいい質問じゃな。それはだな…」

(王様もだいぶフランクだな)太陽は心の中で呟いた。

「今日はなんと【7層世界の始まり(セブンリスター)】から7777年目の記念日なんじゃよ!」

「え?そうなの?太陽知ってた?」

さくらは小声で太陽へ聞いた。

「当たり前だろ?今日で7777年目、そして俺たちは7月7日生まれ。俺は勝手にこのロマンに胸躍らせてんだよ!お前知らなかったのかよ?」

「知らないよそんなの。ほら周りもみんな知らなそうだよ」

さくらが言う通り皆知らない様だった。

「なんじゃ皆知らんのか?一応私は知ってるよって言う人手を挙げてみてくれんかのう」

すると何百人かいる参加者の中で手を挙げたのは太陽一人だけだった。

「おぉよかったーーー!一人でもいてくれてよかったー!ギリギリじゃがな。よーしっ!では手を挙げた君、一番最初に願い事言ってみるか?」

「いえ!お断りします!」

「なんじゃとーーー!」

王はビックリして王冠が斜めになってしまった。

「出来れば7番目でお願いしたい」

「なんでじゃ?」

「それは今日が7777年目のセブン(・・・)リスターで7月7日に生まれた俺が7番目に答えたいからです!」

「許可する!」

王様は即座に許可した。


王の計らいで太陽は7番目、さくらは77番目という順番になった。

次々と皆願い事を口にし、6番目の子が『壊れない桑』を手にした。そして太陽の順番となった。

「では次、サイドスモール出身!火ノ神 太陽(ひのかみ たいよう)!前へ!」

「ハイ!」と返事をし太陽は王の前へ立った。

「おぬしの名前は太陽と申すのか。では、太陽、願い事を言うが良い」

太陽はポケットの中から例の紙切れを取り出した。

「待て太陽、その紙切れは何じゃ?」

王が太陽へ問いかけた。

「願い事が描いている紙ですが…ダメですか?」

「ダメ…ではないな。ただもうちょっとこう…ね?綺麗な感じのがいいんじゃけど……っま、いいか。よしっ止めて悪かった!続けてくれ。(サイドスモール出身かぁあそこは農村地だからのう…やはり農業系の夢かのう)」

太陽は再度紙切れを広げ大声で願い事を叫んだ。


「俺は【7層世界の始まり(セブンリスター)】で7層になってしまった全世界の王になります!!」


「…マジかい…」

あまりの大きな願いにビックリして王の王冠はズレ落ちてしまった。



















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