百合、戦争全裸中年男性、
皇帝歴202年4月9日宮中のある1室にて。
「愛していますわ、お姉様、」
「私もよ、愛しいいもうt ドゴーン!嘘みたいな爆発音が、二人の耳を震えさせる。
冗談と思いたい状況だろう、
だが、悲しいことにこれは現実で、そして冗談みたいな男が眼前にはいるのだ。
崩れ落ちた壁の前に男は悠々と立っている。
「わたしはアンエンプロイヤー。」
失った者だ。
~その少し前~
都のメインストリート、王宮への道で、
勇者ドレイグは肩が地面と垂直になるぐらいの、わかりやすすぎるぐらい落ち込んだ
歩き方で王宮へとむかっていた。
勇者の帰還、本来なら国を挙げて三日三晩の宴のはずだ。
なぜならそれは魔王征伐の証なのだから。
だが今回の勇者ドレイク隷下、王国第二師団による第三次魔王征伐は違った。
王国第二師団、魔王軍により殲滅。
このニュースはすぐさま王国のすべての新聞の一面になった。
しかも勇者は先の第二次征伐もすぐに撤退し、腰抜けの汚名を被り、すぐのことであった。
「今から俺は殺される、たぶんこれは覆りようのない事実だろう」
そりゃそうだ。今回の遠征で失われた人命と金は?
ざっと1万と10億。
人命はたいしたことはない。エロいポスターでも町中に張ればすぐに解決するだろう。
問題は金。 装備、教育、兵糧その全てが土に還ったんだから。
正直この国の常備軍は精強だ、最強と言ってもいい。
第一次魔王征伐、この国では叙事詩をみんな暗唱できるぐらいの話。
初代勇者ガルムの英雄譚だ。
彼は建国間もない王国で、男を100人連れて魔王軍の前線基地を破壊した。
それで大損害を負った魔王軍は他方面に軍を集中したんだ。
そこから50年後ガルムは老齢になり、好機と見た魔王軍はほぼ全兵力を集中し、
総攻撃を開始した。
だが王国軍はガルムの軍制改革によって変貌していた、空のワイバーンは強弩によって撃ち落され、
地上軍は城壁からの統制された大砲によって壊滅、
地底から宮殿に奇襲をした魔王軍幹部はガルム自ら討伐したらしい。
主戦力を壊滅させられた魔王国は他国から侵略されて、弱国になった。
と、いう話だ。
その次の勇者がそう、この俺。
王立防衛大学から勇者認定を受け、議会にて認可。
国会で征伐予算が通り、遠征。
このプロセス、1か月もかからなかった。
ついでに勇者の才能とやら、僕は一切知らない。結果の紙1枚、もらっただけだ。
つまり軍事のぐの字しらない男に動く国家予算を預けて、その失敗を俺の首で償おうとしているわけだ、
この国は。
1000年ぶりの勇者、その熱狂は狂気じみていたのである。
「ふざけんな!」人目もはばからず僕は叫んだ。
「殺されてたまるかぁぁぁ!」
ドゴーン!
???????????
爆発?魔王軍?王は?もしかしてチャンス?突入?王の首?手土産?
魔王軍?投降?
「閃いた!」
走れ俺! 太陽の沈む速度より早く!まっていろセリヌンティウス!
いや、王!待っていてくれ!今すぐ迎えに行くから!
俺は決意した!かならずあの邪知暴虐の王を除かんと!
そして首を手土産に魔王のものに参らんと!
俺は王都の宮殿への道を鉄砲玉のよう一直線にに走った!
その時だった、「体が、軽い!これなら誰よりも早く王の喉笛を掻っ切れる!」
そう思い束の間、体が浮いた。
え?
あぁぁぁっぁぁぁあああああ!
撃ち落された飛行機のように体は制御を失い、一直線、王宮へと突っ込んだ。
衝突、激音、激痛。
そして眼前、全裸の中年男性。