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許さない

久しぶりの投稿ですのでいつもよりほんの少しだけ話が長くなっています。いつも以上に日本語がおかしいです。セシルのセリフが多めです。




それからあとの記憶はほとんどない。


ぼんやりだけどお父様に腕を掴まれた時に突き飛ばしたような気がする。


起きたらいつもどうりの自分の部屋で寝ていた。


パーティーを台無しにしてしまった。


セシルと私の婚約もすぐに破棄される。


もう涙なんて出ない。


私なんかが幸せだったのが悪かったんだ。


ベランダに出ると雪が降っていた。


足が針を刺したように痛いが関係ない。


どうせすぐに楽になる。


足元から冷たい風が吹き抜け、白い髪を吹き上げた。


体が急激な浮遊感に襲われる。


こんな私でもいなくなったら優しいセシルは悲しんでくれるのだろうか。


それとも喜ぶのだろうか。


考えたらダメだ。


悲しくなってきた。


もう涙なんて出ないと思ったが目を閉じると涙が溢れてしまった。



「ごめんなさい……」



何に言ったのかは自分でも分からない。


地面が目の前にせまって体を固めた。




ーーーーー




覚悟した衝撃はいつまでたってもこない。


痛みも感じないほど簡単に死んだのか?


じゃあここは天国?


恐る恐る目を開けると目の前にセシルの顔があった。


お姫様抱っこをされている状態で自然と顔も近くなる。


訳が分からない。


私は死んだはずだ。


顔を見ればセシルはすごく怒ってることが分かる。


もう全部知っているのか。


私が薄汚い売女と呼ばれていたことも全部。


出来れば会いたくなかった。


なんで助けたの?



「何してるの?」



思わず肩が跳ねてしまった。


セシルの顔を直接見ることが出来ない。



「生きている意味が無いのならいっそいなくなってしまった方がいい…と思ったので落ちました。」



セシルは悲しそうに顔を顰めた。


なんでそんな顔をするの?


期待させないでよ…


どうせすぐ捨てるくせに。


みんなそうだ。


自分の都合が悪い事は全部目立った人のせい。


自分が悪いなんてこれっぽっちも思わない。


全部全部全部全部


全部私が呪われてるから。


全部私が悪い?


そんなわけないじゃない。


私が国からいなくなって何か変わったの?


急に国が栄えたと言うの?



「どうせ身勝手に捨てられるのなら自分からいなくなった方が相手の後悔も大きいでしょう?使える駒が居なくなってしまうのですから。そう思いませんか?自分が死ぬ事で許せない奴が少しでも後悔する…苦しむなら喜んで命を投げ出す覚悟ぐらい持ち合わせております。親愛なる殿下。」



ふざけるな。


今までどれだけ苦しい思いをしてきたか想像がつくか?


大変だったね、辛かったでしょう?


はっ表面だけの同情なんていくらでもできる。


いくら優しい言葉を掛けて来ても結局はみんな一緒だ。


相手に利用価値が無くなったらすぐ捨てる。


だから信用できるのは自分だけ。


自分は絶対に自分のことを裏切らない。


だからもう誰も信じない。



「僕の妻になるという事が生きている意味じゃダメなの?」



「ドルチェグスト国王にお聞きになりませんでしたか?私が呪われていて国が栄えなくてさっさと居なくなればいいと言われて育ったのに死なせて貰えなかったという事を、私が薄汚い売女と言われて娼婦に堕とされそうになったこともお聞きになったのではありませんか?貴方の妻、ましてや王妃なんて国が許すはずがないのはわかるでしょう?」



セシルが目を伏せた。


これを肯定と受け取ってもいいだろう。


つまりもういらないのだ。



「あんな奴に私の地位が利用されるぐらいならいっそ死んで私の利用価値をゼロにするのが1番いいんですよ。」



ここでもセシルは何も言わない。



「全部…全部奪い取られたのだからお父様達からも私が死ぬと同時に全部奪い去って苦しめたい。私へした酷いことに対して少しでも心を痛めて欲しい。上っ面だけの薄っぺらな同情なんていらない。私と同じくらい苦しめばいいんだ…。」



こんなに自分って性格が歪んでいたのか。我ながらびっくりする。


でも全ては今まで思っていたことの総まとめだ。


これぐらい言う権利はあるだろう。


話は終わりだ。


もう一度やり方を変えて見つからないように楽に居なくなろう。


まるで最初からいなかったかのように。


1度はときめいた優しい匂いも暖かい体温も今は余計辛くなる。



「?!!」



急に苦しいぐらいの力で抱きしめられた。



「ごめん、ラフィネ。僕は今までずっと君に隠していたことがあるんだ。」



突然何を言い出すんだ?


セシルの声が頼りなく震えている。


…泣いてるの?



「君がドルチェグスト王国の姫で国から冷遇され父である国王から暴力を受けていたことも、知らない男に襲われ純潔を奪われていることも、君にあった時から全部知っていたんだ。

ラフィネは覚えていないかもしれ無いけど、僕達は昔1度だけ城であったことがあるんだよ。」



「それならなんでッ!!」



なんで最初から捨てなかったんだ!


私の心がセシルに囚われてしまう前に捨ててくれれば良かったのに!


なんでっ……!!



「一目惚れだったんだ。」



「!??」



え?



「まだ僕が王太子だった時に1度だけドルチェグスト王国のパーティーに呼ばれたことがあったんだ。その時に壁際に立っている君を見てなんて美しいんだろうって思った。真っ白な髪もルビーみたいな瞳も全部。」



確かに1度だけパーティーに出たことがあった。


お父様は私がパーティーに出るのを嫌がっていたけれど、大国の王子が婚約者を選ぶパーティーだからか全ての娘の出席が命令され私も出席したのだ。


姉たちのお古を着た私はとてもみすぼらしく美しい要素なんてどこにもなかったはず。



「だから君を僕の妃にしたいと思ったんだ。きちんとドルチェグスト国王には言ったんだよ。ラフィネを僕の妃にしたいって。だけど送られてきたのは髪を白く塗料で染めて目に赤いガラスを入れた女だった。馬鹿にしているのかと思ったよ。だからすぐに処刑を決めた。そして送られてきた女を処刑する日に庭を散歩していたらラフィネがいたんだ。フワニーに懐かれているのは想定外だったけど運命だと思った。けど…君は何も覚えていなかった。」



私が求婚されていた?


そんなの知らない。そんなわけない!



「嫌われても仕方がないとも思う、けどどうか嫌わないで欲しい。」



嫌だっ何も聞きたくないっ!!!!



「僕は君の記憶が無くて嬉しいと思ってしまった。嫌な記憶を全部忘れて僕を見て欲しいと思った。最初はこんな事をしていていいのかと考えていたけどラフィネといるうちにラフィネの記憶が戻らないまま結婚して子供が産まれて幸せに暮らせたらいいのにと思うようになって、いつラフィネの記憶が戻るのかが怖くなったんだ。」



やめてっ!!!


お願いやめてよ…!!



「ラフィネ、君は僕に幻滅したかもしれないけど僕はラフィネを心から愛しているよ。」



!!!!



「そんなの嘘だっ!!!!どうせそうやって優しいことを言って結局は捨てるんでしょ!どうして私の心を苦しめるの?なんでそんなに私の心を乱すの?なんでよっ!!!」



もう自分でも何を言ってるのか分からない。


涙も止まらないしセシルが嘘を言っていないこともわかるだけど、今までの私が私を許してくれないのだ。


今もなんでお前だけという声が心でずっと鳴り響いている。



「全部受け入れてとは言わない。でも過去を見てても何も変わらないし辛いだけだから…それなら僕との幸せな未来を見て欲しい。それでもラフィネの心が許さないというのならその心がわからなくなるぐらい僕のことを好きにならせてみせるから。僕を好きになってください。」



私の口から嗚咽が漏れる。


それからしばらく子供のように泣きじゃくった。


本当に信じていいの?


私なんかが幸せになっていいの?


泣いている間ずっとセシルが背中を撫でいてくれたことで安心することが出来たのかもしれない。


泣き疲れた私はそのままセシルの肩に頭を預けて寝てしまった。












読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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