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短編

復讐、承ります

作者: 小沢琉祢

「何やってもダメなんだから何もやらないでほしいよね」

まただ。

また始まった。

私はこの先輩に嫌われている。

先輩には挨拶するというルールを守っているだけなのに無視されたり、嫌な顔をされる。

話しかけることもないし、話したことさえない。

むしろかかわりがない。

なのに、なんでこんなにも嫌われているのだろう。

いなくなればいい。

この先輩以外にも嫌われてるからこの先輩が消えたところでどうということはないけど。

消えればいいと何度思ったことだろうか。

この先輩以外の同級生や先輩も私が嫌いなのは知ってる。

でもこんなにあからさまに表したりはしない。

影でこそこそ言ってるくらいだ。

前はこそこそ言われるくらいなら、はっきり言われた方がいいって思ってた。

でもはっきり言われる方が数倍辛いってこの先輩を通して思った。

先輩の私の悪口は続いている。

誰も何も言わない。

私は涙をこらえてるだけだった。



今でも思い出すだけでイライラする。

復讐したい。

あいつにも私と同じ思いをさせてやりたい。

そう思うのは当然のことに思えた。

私はとあるビルに来ていた。

復讐、承ります。

このチラシに従って、たどり着いたのはここだった。

「…ここかなあ」

廃ビルみたいなビルだった。

どうしよう。機能しているのかな?

なやんでいると女性がビルの中に入って行くところだった。

思い切ってその女性に声をかけた。

「すいません」

「はい?」

「あのこのチラシのビルってここで合ってますか?」

「ああ、お客さん?」

「ってことはこのチラシに載ってるのって」

「そうそう、うちの店。どうぞ」

そう言って彼女はすたすた先を行ってしまう。

慌てて追いかけた。




「清水玲子さんね。誰に復讐したいの?」

楠原くすはら桃子って人です」

「へー」

楠原桃子。

私が心の中でクズ子先輩と呼んでいた彼女の名前を声に出すだけで気持ち悪くなる。

「承りました」

あっさりと言われてびっくりした。

「えっいいんですか??」

「うん、いいよー」

「でもお金…」

「そっかそっか。チラシには書いてなかったけ。代金は記憶をもらう事にしてるの」

「記憶?」

「そう。復讐したい人に関する記憶全て。それは今貰ったので」

「そんなっだって…」

あれ?私は誰に復讐したいんだっけ?ぼんやりした記憶の中を探すけど私は見つけられなかった。

「さっき誰の名前言ったか思い出せないでしょ?それが証拠」

確かに分からなかった。

「復讐も済ませたので、もう帰ってもらって結構だよ」

「え!?!?もう!?!?」

「分かりやすく言うと清水さんと同じような記憶を清水さんの復習したい人に移したって感じ?」

「そうなんですか??」

信じられない。

でも信じるしかなかった。

「分かりました。帰ります。ありがとうございました」

キット何を言っても変わらないだろう。そんな気配を感じて、私は変えることにした。





「クズ子先輩って本当に使えない」

後輩に言われた言葉が今でも耳にこびりついている。

復讐したい。

そう思った。

別に部活が辛かったという訳じゃない。

部活の中ではその後輩は浮いていたし、私は友達がたくさんいて楽しかった。

ただ、後輩に言われた言葉が今でも忘れられなくて、辛い。

どうでもいいって流せればいいけど、そうもいかなかった。

そんな時、チラシを見かけた。

復讐、承ります。

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― 新着の感想 ―
[一言] お店の人は何者なのか、この謎の残る感じと、オチが良かったです。 最後の段落が、特にぞくぞくして、良かったです。
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