第三話 『俺たちに自由はない』
夢と希望を失っても、現実は容赦なく進行していく。
俺たち幼女は先ほど馬車から降ろされた道端を通り過ぎ、五分ほど森の道を歩かされる。幼女なので歩幅が小さく遅いため、四人の男は俺たちを急かしてきた。どうやら彼らには幼女に対する愛が微塵もないらしい。
そうして、一軒の建物の前に到着する。
住宅にしては無味乾燥なのっぺりとした外観をしており、一見すると町工場みたいな印象を受ける。横幅は五十メートルほどと大きいが、高さは二階建て程度と低めだ。木材と石材が雑多に混合したハイブリッド建築で、森の開けた場所で横たわるように鎮座していた。
「おらっ、さっさと歩け!」
俺たちは相変わらず全裸のまま、その工場らしき建物の中へと連れて行かれた。
内部はまさに作業場といった様相を呈しており、広々とした空間には幾つもの作業台が整然と並んでいる。一つの作業台につき、四人の幼女が囲むように立って、何かを組み立てていた。
「そこに一列で並べっ、ボサっとしてるとブッ叩くぞ!」
顔に傷ある中年親父はマスケット銃をスリングで肩に掛けると、腰に差していた木製の警棒を取り出して、その先端を俺たちに向ける。
俺たち二十人の幼女は言われたとおり、工場の隅の方で横一列に並び立つ。すると、翼の生えた男が幼女たちの首から鎖を外し始めた。俺の前にも翼男がやってきて、首輪から無骨な鉄鎖を外してくれた。
翼男は三十代半ばほどで、間近で見ると瞳の奥が酷く虚なのが分かった。第一印象の危険度で言えば、顔面に醜い切傷のある中年親父といい勝負だ。
この翼男とは極力関わり合いにならない方が良いと、俺の直感が告げている。
「いいかっ、お前たちには今日からここで、我らがオールディア帝国のために身を粉にして働いてもらうことになる! おれたちの指示に従い、よく働いていれば、食事と寝床を用意してやる。ただしっ、おれたちの指示に逆らい、労働を放棄した者には……」
中年親父は脇に控えていた男の一人に目を向けた。
そいつは無言で頷くと、銃口を俺たちと中年親父との間に定めた。
瞬間、銃口から眩い赤が迸る。キュィンッという甲高い音が上がり、次いで腹の底に響くような鈍い音が耳朶を打つ。
「――――」
硬く均された地面にクレーターめいた穴が開いていた。直径三十センチほどの半球状に抉られ、その周囲には淡い燐光が赤く舞っている。
俺はその穴と光を呆然と目にしながら、中年親父の声を聞く。
「こうなってもらう。くれぐれも余計な手間を掛けさせてくれるな」
口調は静かだったが、言い知れぬ迫力があった。幼女たちの中には銃撃に驚いてか、腰を抜かして尻餅をついている子もいる。
俺もまた、黒くて赤いマスケット銃の起こした現象に驚愕していた。
外観はマスケット銃に似ているが、アレはただの銃ではない。硝煙が一切発生せず、銃声は現代の拳銃に消音器を付けた程度の大きさだ。にもかかわらず、マズルフラッシュは異様に大きかった。
そして、何よりも威力が異常だ。いかにマスケット銃といえど、硬質な地面にスイカが半分埋まるほどのクレーターを作ることはできないはずだ。着弾点付近に漂う薄赤い燐光は幻想的で、凶悪な痕跡に反して鮮麗に煌めき、しかし空気中に溶け入るように呆気なく消えてゆく。
「では、ついてこい」
俺たちは中年親父に命令されるまま、後をついていく。
その間、銃について考えるが、わき上がる恐怖心のせいで上手く思考が纏まらない。
「一人ずつ、順番に前に出ろ」
今度は一つの作業台の前に連れてこられ、幼女が一人ずつ男の前に歩み出て行く。男は絵筆のようなもので幼女の二の腕に何かを書き、ぶつぶつと呟いている。
幼女が小さく苦鳴を上げると、男は「次」と言って再び幼女の二の腕に何かしていく。
「次」
俺の番が回ってきた。
男は俺の右上腕部に白い筆先を滑らせる。
くすぐったいな、筆プレイかこの野郎……とか思いながら二の腕を見てみるが、何も変化はない。ただ透明な液体で何かが書かれているだけだ。
疑問に思っていると、いきなり男が俺の右手を掴んできた。反射的に身体を強張らせるが、男は気にした風もなく、理解不能な呟きを溢す。
「■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■、■■■■■■、■■■■――〈■■■〉」
「――ッ、う!?」
二の腕が焼き付くような激痛に襲われる。だが、それはほんの一瞬のことで、気がついたときには収まっていた。
俺は咄嗟に自分の二の腕に目を落としてみる。すると、何やら正方形の中に円が描かれ、更にその中心部に何らかの記号が表れていた。まるで焼きごてでも押し当てられたかのように、白い肌に赤く刻印されている。
「…………」
このときになって、俺はようやく自分の立場を正しく実感した。
無骨な首輪、全裸、烙印、作業場めいた空間、働く幼女たち、銃を持つ男。
俺は強制労働を強いられる奴隷なのだ。
もし命令に逆らえば、最悪死ぬ。この世界における奴隷の価値が如何ほどなのかは知らないが、前世の歴史を紐解いても、奴隷の扱いなど家畜並かそれ以下だ。
下手なことをすれば、あっさりとあの銃で殺されるだろう。
俺が呆然としているうちに、奴隷幼女たちは全員が烙印を捺される。
その後、俺たちは四人ずつのグループに分けられた。幸いなことにレオナとは同じグループになれた。
無知で臆病な俺はまだ親離れできてないからね、本当に良かったよ。
他の二人は犬耳っ子と無表情なロリっ子だ。
各グループごとに一つの作業台を囲んだところで、傷の親父から指示が飛んでくる。
「お前たちの仕事は、とある部品の組み立て作業だ。真面目にやっていればメシを食わせてやる」
そう言われて、俺は空腹感を自覚した。
思い返すまでもなく、このロリボディでまだ何も食べていない。少なくとも食事をした記憶はない。身体は痩せ気味だし、まだ三、四歳程度と幼いので、成長のためにも十分な栄養が欲しいところだ。
などと思っていると、俺より頭一つ分ほど大きい、しかし同様に全裸な幼女が二十人ほど現れた。
「手順はこいつらから教われ。お前ら、このガキ共にしっかり教え込めよ」
「お任せください、マウロ様」
傷の親父ことマウロが小学一年生ほどの幼女集団に命令すると、代表するように金髪の幼女が一歩前に出て、この場に似つかわしくない優雅な仕草で腰を折る。
だが全裸だ。
他の奴隷幼女たちと比べて、彼女には気品のようなものが感じられた。
だが全裸だ。
やや釣り上がった大きな双眸には強い意志の光が宿り、背筋はすらりと伸びている。
だが全裸だ。
「さっさとやれ」
マウロがさっと手を振ってみせると、大きな幼女たちは慣れた動きで四人ずつに分かれ、各グループの作業台に散っていく。
俺たち四人が囲む作業台にも彼女らはやってきた。例の金髪ロリっ子もいる。
七歳前後と思しき金髪ロリの全裸姿を見ても、俺の身体に変化はない。もし股間に短剣が装備されていれば、今頃は勇ましく臨戦態勢で存在を主張しているところだろう。
俺、本当に幼女なんだよな……。
「さて、とりあえず同じ番号の子に教えていくわよ」
金髪ロリっ子は他の三人にそう言うが、その口調は少し偉そうだ。
俺はそれを敏感に感じ取った。なにせクソ兄貴のおかげで、俺は周囲の人間の顔色を窺い、ガキの頃から良い子を演じてきたのだ。他人を観察することにかけては並以上の眼を持っている自負がある。
だから、分かる。
この金髪ロリっ子は幼女集団の中で力を持っている。命令された三人が嫌な顔をせずに従っているのがその証拠だ。
さて、今更の話だが、集団というものは非常に恐ろしい。
俺もかつては集団内での振る舞いを間違い、ハブられて苛められた経験がある。
ざっと見る限り、この工場内には俺たちを含めて五十人以上の全裸幼女たちが見られる。
奴隷幼女とはいえ集団だ。集団生活なのだ。
人が集まれば、そこには上下関係が自然発生する。
そして、俺たちは新入りだ。
故に、よく考えて行動しなければ、幼女集団からハブられて苛められる。
幼女でも女だからな。
女の集団が陰湿だということは俺も知っている。
幸か不幸か、金髪ロリが俺の隣にやって来た。
近くで見るとなかなかの美幼女だ。まあ、俺やレオナほどではないがな。
「四の七……あなたね」
勝ち気な瞳が俺を捉える。
二の腕をチラ見していたことからも、先ほど入れられた烙印は数字なのだろう。
俺と似たような烙印を持つ金髪ロリは続けて何事かを言おうと口を開きかけるが、俺は先制して深く頭を下げた。
「初めまして、私はローズと申します。右も左も分からぬ不作法者ですが、どうかご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」
「――――」
金髪ロリは唖然としている。
人間は第一印象が大事だ。そして目の前のロリっ子は奴隷幼女たちの中でも力を持っている(はず)。ここは相手に好印象を与え、良好な関係を築いておいた方がいい。
だから、俺は必要とあらば幼女にだって頭を下げる。
幼女から苛められるのは御免だからなっ!
「もしよろしければ、貴女のお名前を教えて頂けませんか」
「マ、マヌエリタよ」
金髪ロリっ子のマヌエリタはやや戸惑った声で名乗りを上げると、軽く咳払いして続けた。
「あなた、なかなか礼儀正しいわね」
「ありがとうございます、マヌエリタさん」
「わたし、礼儀正しい子は好きよ。それよりあなた、もしかしてどこかの貴族出身なのかしら……?」
どこかおそるおそるといった様子で訊ねてくるマヌエリタちゃん。
「いえ、生憎と私には記憶がないものでして……何も覚えていないのです」
「え、そ、そうなの……? あれ、でも名前は覚えてるのね」
「あちらにいるレオナにつけてもらいました。彼女はいい子です。どうか私共々、これからよろしくお願いいたします」
いい機会だからレオナのことも売り込んでおく。
この工場は閉鎖的な場所だし、ひとたび苛めが発生すれば逃げ場がない。先輩には媚びを売って、早々に居場所を確保した方が良い。
一応、クズニートにもプライドはあるが、そんなものは早々に捨て去る。
俺はこの世界で強く逞しく生きていきたいのだ。しかし幼女なので身を守る術は限られてくる。クズのプライドで安全が買えるのなら、安いものだ。
「いいわね、あなたいいわよ。言葉遣いもちゃんとしているし」
頭を上げてマヌエリタの様子を窺うと、金髪ロリっ子は満足げな笑みを浮かべて頷いていた。
「ありがとうございます、マヌエリタ様」
「あなたには特別にリタと呼ばせてあげるわ」
「はい、ありがとうございます、リタ様」
ふっ、チョロいな。
ロリっ子というやつはもう少し話が通じないかと思ったが、そうでもなかった。
あるいはマヌエリタ――改めリタの頭がいいだけかもしれないが。
とにもかくにも、こうして俺は早くも金髪ロリっ子のリタに気に入られた。
♀ ♀ ♀
俺たち奴隷幼女の仕事はパーツの組み立てらしい。幼女の手のひらに収まる幾つかのパーツを組み合わせ、一つにしていく軽作業だ。
「いい? これはこうして、ここにはめ込むの。力は必要ないわ。カチッて音がしたら、ちゃんと固定されたってことだから。それで次はこれを――」
リタは俺の目の前で組み立てを実演してみせている。
どうやら幼女でもできる簡単なお仕事のようだ。働くのが初めてな元クズニートでもできそうな単純作業で、ちょっと安心した。
五つのパーツを組み合わせて一つに纏めると、リタは俺に目を向けてきた。
「こんな感じよ。分かった?」
「はい、分かりました。ありがとうございます、リタ様」
「じゃあ、やってみて」
俺は頷き、作業台の上に置かれている五つの箱に手を伸ばした。
それぞれの箱から一つずつ形状の違うパーツを取り出し、一旦並べる。棒状のパーツが二つ、板状のパーツが一つ、筒状のパーツが一つ、小箱状のパーツが一つ。
全て金属製だが、軽いくせに硬い。パーツの一つ一つには複雑な文様が刻まれており、怪しげだが美しい。芸術品だと言われても頷ける精緻さだ。
とりあえず、俺はパーツ同士を組み合わせて、一つに纏めた。
最終的には小箱状のパーツに全て収まる形となる。
煙草の箱より一回り小さいくらいのサイズだな。
俺は完成した金属箱をリタに差し出した。
「……うん、ちゃんとできてるわね。まだ小さいのに、やるわね」
「リタ様の教え方が分かりやすかったおかげです。ありがとうございます」
「ま、まあね。それほどでもあるけれど」
リタは得意げな顔で平らな胸を張った。
ロリっ子は単純で助かる。
何はともあれ、褒めておけば悪いようにはならないのだ。
「それじゃあ次、組み立てていくわよ。手を休めていると叩かれるから」
「はい」
俺とリタは各パーツを手に取り、金属パーツを組み合わせていく。
しかし俺は気を抜かず、リタより早く完成させることはしない。新入りの俺が先輩より手早く組み上げてしまえば、面子を潰されたと難癖を付けられるかもしれないからな。
慎重に行こう、慎重に。
レオナや犬耳っ子に目を向けてみると、まだ先輩ロリたちから教わっていた。
男たちは幾つも並ぶ作業台の間を行き交い、作業を監視している。
俺は逡巡した後、リタに声を掛けた。
「あの、リタ様。少しお訊ねしたいことがあるのですが」
「……なに?」
リタは軽く周囲を見回してから声を返してきた。
まだ周りの作業台では先輩ロリと新入りロリによる技術講習中で、今ならば無駄話をしても気づかれないはずだ。彼女は俺と同じくそれを確認したのだろう。
「質問してもいいけど、作業の手は止めないで」
「はい、もちろんです」
俺はしっかりと頷いてから、手元のパーツたちを見ながら訊ねた。
「これはいったい、何の部品なのでしょうか?」
気になることは幾つかあったが、まずは無難なところからいってみる。
すると、リタは淀みなく答えてくれた。
「魔弓杖の部品ね」
「……まきゅうじょう?」
呟きを返しながらも、リタの視線を追って監視の男が持つ銃をチラ見した。
形状はどう見てもマスケット銃で、先ほどの銃撃の威力と幻想的な燐光は記憶に新しすぎる。
「知らないの? まあ……無理もないわね。ローズはまだ三つか四つくらいだし、そもそも何も覚えてないんだっけ」
「は、はい」
「それはある意味、幸せかもね」
リタは端正な顔を僅かに歪めて、組み立てたパーツを脇に置いた。
「幸せ、というのは?」
「ここにいる子のほとんどは、帝国が侵略した街や村から連れてこられたのよ。そのときにたくさん使われたのが、アレよ。ほら、大人たちが持っているあの赤と黒の杖みたいなもの……アレが魔弓杖よ。それを作る手伝いをわたしたちがするなんて、なによそれって思うじゃない」
そう説明してくれるリタの声は悔しげではあったが、同時に諦念が入り交じっていた。
「ローズはエノーメ語を話してるし、元はグレイバ王国の民だったんじゃないかしら。大陸東部では赤毛に青目って、そんなに珍しくないし」
「そ、そうですか……」
たしかに周囲を見回せば、赤毛の子が複数人確認できる。
「リタ様も元々は、その……グレイバ王国、に住んでいたのですか?」
「そうよ。半年くらい前までね」
帝国や王国、エノーメ大陸に魔弓杖のことなど、色々と訊きたいことはあった。
だが、リタの表情が少し険しいので、あまり深く突っ込めない。先輩の機嫌を損ねてまで追及するのは、得策とはいえないからな。
というわけで、少し話題を変えてみることにした。
「あの、それじゃあここにいるのが女の子ばかりなのは、どうしてなんでしょうか?」
答えは半ば分かりきっていたが、確認の意味も込めて訊いてみる。
リタは幼い顔に似合わないシニカルな笑みを浮かべると、淡々と両手を動かしながらも器用に肩を竦めて見せた。
「わたしたちに魔力はないからね。魔弓杖は魔力さえあれば誰でも使えるらしいし、奴隷に反乱でもされたら、たまらないでしょう?」
「でも、魔力がないのなら私たち子供より、大人の女性を働かせた方がいいんじゃないですか?」
魔弓杖という武器を組み立てるのなら、子供よりも大人のする作業の方が信頼性が高い。しかし見る限り、この場にいるのは十歳未満の幼女か銃を持った野郎だけだ。
「魔力がないといっても、まったくないわけじゃないからね。女でも、大人になれば一発くらいなら撃てる程度にはなるみたいだし。でも、子供のうちは一発も撃てないくらい全然ないの。それに、子供の方が扱いやすいでしょ? 色々と」
「……まったくないわけじゃ、ない」
俺は思わず呟きを溢していた。
どうやら女だからといって、魔力が皆無なわけではないらしい。
とすると、まだ希望を捨てるのは早いんじゃないか?
……と考えてしまいそうになるが、無駄に期待はすまい。
俺は三十年生きてきて、嫌というほど学んだのだ。
絶望とは、希望がなければ生まれないのだと。
とはいえ、希望しなければ道が拓けないのも事実だ。
前世の俺は完全に希望を捨て去って絶望に浸っていた。だからこそクズのままだったし、一周回って時空魔法などという幻想に縋って破滅呪文を唱え、実の親に刺殺された。
魔力がないことは……この際もう受け入れて割り切ろう。
皆無ではないらしいしな、うん。
とりあえず、今の俺が希望することは、ただ一つだけでいい。
奴隷という立場から抜け出して、自由になることだ。
俺はもう誰かから抑圧されて生きていきたくはないからな。
「ねえ、ローズ」
「はい、なんでしょうリタ様」
と応じつつも、ふと俺は思い至った。
そういえば、まだ俺はリタの説明に対して礼を言っていない。
「あ、わざわざ説明してくださり、ありがとうございます、リタ様。また何か分からないことがあればお訊ねするかと思いますが、その際もどうかよろしくお願いいたします」
「え、ええ、それはべつに構わないのだけど……あなた、本当に……なんていうか、しっかりしてるわね」
「いえいえ、リタ様ほどではありませんよ」
俺はお世辞抜きでリタの聡明さに関心していた。
ここにいる奴隷幼女たちは誰も彼も覇気や生気が感じられない。
だがリタは……なんというか、落ち着きの中に意志の光がある。
「リタ様は他の子たちと違いますね。一人だけ大人っぽいです」
「ま、まあね、当然よ。そういうローズもなかなかだけどね」
「ありがとうございます」
謙虚な後輩ロリとして、ここは低頭しておいた。
集団生活で一番大切なのは立場だ。周囲に認められなければ、人の中で生きていくのは困難を極める。
正直、まだコミュ症が抜けきらないから、少し精神的にキツイものはある。
だが、この健全なロリボディが俺の汚染された精神(前世からの呪い)を浄化(解呪)しきるのも時間の問題だ……と思いたい。
そんなこんなで、俺は金髪ロリから手取り足取り働き方を教えてもらった。