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幼女転生  作者: デブリ
二章・道中編
25/203

第十七話 『俺、魔法幼女になります』

 

 今後は度々、『適正属性』という言葉が出てきますが、これは誤字です。

 正しくは『適性属性』です(読みは変わらず『てきせいぞくせい』)。

 九十二話の時点で読者の方にご指摘いただいたのですが、あまりに箇所が多すぎて修正しきるのに時間が掛かるため、しばらくは『適正属性』のままになります。どうか皆様の脳内で『適性属性』に変換してお読みください。

 


 早朝、宿で朝食を取った後、俺たちはクイーソの町を発った。

 向かう方角は北だ。右手の方から眩い陽光を受けつつ、四人と幼女はリリオの町を目指す。

 馬に跨がり、石材で舗装された道をカッポカッポと進んでいく。スピードは徒歩と同じかそれより少し早いくらいだ。乗員+荷物を鞍に括り付けているので、走らせるとすぐに馬が疲れてしまう。なので、俺たちはゆっくり急げの精神で北上していく。


「ローズちゃん、お尻は痛くないですか?」


 後ろからエリアーヌが優しく訊ねてくる。

 そして俺の後頭部は霊峰に埋もれている。


「はい、大丈夫です。クッションも敷いてもらいましたし。それよりクラード語の講義を続けてください」

「分かりました」


 エリアーヌは快く頷き、俺に知識を伝授してくれる。

 

 昨日、買い物をして宿に帰ってから、俺は早速クラード語を習い始めた。

 教師はエリアーヌとフラヴィだ。ただ、二人とも疲れていたようだったので、ベッドの上で寝転びながらの授業だった。一つのベッドの上で、金髪翠眼の美女と猫耳ツインテ美少女に挟まれて、俺は学んでいった。

 当然のように全然集中できなかったが、このロリボディの記憶力は優秀なのか、一度聞いた話は良く覚えていた。


「ほんと、子供の吸収力って凄いわね。教えたことは端から覚えていくし、別のことと結びつけて一人で勝手にどんどん理解していくし……」

「いえ、これはもう子供の吸収力という程度ではありません。ここまで理解が早いのは、きっとローズちゃんが人一倍賢いからでしょう」

「……たしかにそうね。アタシがローズちゃんくらいの頃なんて、自分の感情を言葉にするので精一杯だったし」


 隣に並んで馬を繰るフラヴィが、何やら天才児を見るような眼差しを俺に向けてくる。

 おいおい、そんなに見つめるなよ。照れるだろ。


「エリアーヌさんとフラヴィさんの教え方が分かりやすいおかげです。ありがとうございます」


 だが俺は増長せず、謙虚に頭を下げた。


「あー、なにかしら……いま少しだけ世間の親の気持ちが分かったわ」

「そうですね。子供は可愛いです」


 美女と美少女がなんか勝手に癒やされているが、俺は事実を言ったまでだ。

 実際、二人の講義は分かりやすい。

 というか、そもそもエリアーヌとフラヴィが言うほど、本当に俺は凄くない。単に日本語と英語という前世の二言語を知っているから、理解が早いだけだ。異世界といっても、どんな言語にも一定の法則性はあるからな。そこに幼女脳の記憶力が重なって、天才児のように見えているだけだろう。


 それに、どうにもクラード語という魔法言語は非常に理路整然としていて、機能的な言語なのだ。機能的故に、逆に子供にとっては小難しくて理解しがたいだろうが、知識を蓄えた大人にとっては都合が良い。

 俺は元クズニートだが、高校卒業レベルの学力なら有している。加えて文法が英語に近いので、少し教えてもらえば、あとは自力でどうにかなる。

 俺より頭の良い転生者なら、エリアーヌたちもさすがに不信感を覚えるほどの速度で理解していくだろう。ただ、問題があるとすれば単語で、こればっかりはひたすらに暗記していくしかない。


 そんな感じに、着々とクラード語の理解を深めていく。

 一方で、ロックとオーバンは女三人の前で足並みを揃え、何やら雑談している。大抵はロックが一人で喋り、たまにオーバンが一言二言返している。


 昼頃になると、少し雲が出てきた。

 だが、ちょうど日差しが強くなってきていたので、直射日光が遮られて快適だ。

 街道には一定間隔ごとに休憩所らしき小屋が建てられているので、俺たちはその小屋で休憩しつつ、昼食を取った。


 街道では色々な連中とすれ違う。

 特に猟兵と思しき奴らはよく目にする。身の丈ほどの大剣を背負ったむさいオッサン、流麗な刀を佩いた軽装のニイチャン、杖を持ったローブ姿のジジイも見かけた。

 荷馬車とも何台かすれ違う。大体は幌付きの大きな荷馬車一台だけだが、中には十台以上が連なった商隊キャラバンっぽい集団もいた。荷馬車には必ず、護衛と思しき何らかの武器を持った連中が同行していた。


 そうして街道を歩いていると、気が付いたことがある。

 すれ違う連中はどいつもこいつも、やけに野郎が多い。

 特に武装した連中だ。


「あの、さっきから武器を持った人を見かけますけど、彼らが猟兵ですよね? でも男の人ばかりで、女の人は全然見かけません。どうしてですか?」

「猟兵は男が圧倒的に多いからね。もちろん女猟兵もいるけど……そうね、全体の一割か、多くて二割くらいじゃないかしら。単純に体格とか基礎体力では男の方が上だし、男はみんな多かれ少なかれ一定以上の魔力を持ってるから、魔法具を使うこともできて戦いやすいのよ」

「魔法具というのは……?」

「魔力を通すだけで使える道具のことです。逆に言えば、魔力がなければ使えない道具ですね。色々と便利なものが多く、普段の生活から戦いに役立つものまで様々です。ただ、高価なものなので持っている猟兵は少ないですが」

「猟兵の強さにも色々あるんだけど、女の場合は魔法も魔法具も使えないから、猟兵になる人が少ないのよ。魔法具を買えるだけのお金もないしね。まあ、魔法士の猟兵ってのも数は少ないんだけど……でも一番の理由は、魔物と戦うことが多いから、やっぱり怖がる人が多いのよね」


 なるほど。たしかに魔物は怖い。

 ゲームや漫画などのデフォルメされた造形と違い、リアルすぎてグロテスクなほどなので、ただただ生き物らしい生々しさに圧倒される。俺がグレイモールを見たときはそれなりに距離があり、フラヴィたちが余裕綽々な様子だったこともあって、それほど恐怖は感じなかった。しかし、魔法も魔法具も使えない女猟兵は己の肉体と得物だけを頼りに魔物へ吶喊する必要がある。

 グレイモールより怖そうな見た目の魔物は数多いだろうし、命懸けで接敵して不気味な怪物を屠るのはかなりの勇気がいるだろう。


 その点、魔法が使えれば一定の距離を置いて安全に戦える。実際、フラヴィも氷の槍を投射して、近づくことなく倒していた。

 もし俺も魔物と戦うのなら、接近せずに敵の攻撃範囲の外から安全に狩りたい。


 俺は猟兵の話を聞いて、より一層クラード語の習得に集中した。




 ♀   ♀   ♀




 昼過ぎ頃、急に雨が降ってきた。

 幸い、フラヴィの降雨察知のおかげで雨具の装備が間に合った。

 この世界の雨具――傘や合羽は魔物の革製で、表面に油を塗布して撥水性を持たせたものだ。


「魔物の中には水に強い奴もいて、そいつの革は雨具に最適なんだけど、強力な魔物の素材だから価格も高いよね」


 とはフラヴィの言葉だ。前世の化学繊維が如何に便利だったのか実感できるな。


「通り雨だったのでしょうか」


 雨はすぐに上がった。だが合羽は濡れているし、馬は全身から水が滴っている。

 水も滴る良い馬……とは言い難い。というか、この馬オスだしな。


 俺たちは道端で一旦下馬すると、雨上がりの後始末に取り掛かる。

 やはりというべきか、俺は自動車の有り難みを実感してしまう。


「馬はどうしますか? 濡れたままだと風邪を引きそうですけど」


 馬鹿は風邪を引かないと言うが、馬も風邪は引く。

 競馬でも出走馬が風邪でお休みとかあるらしいし。

 

「濡れた馬は風で乾かします」


 エリアーヌはそう言って四頭の馬を一列に並べ、さりげない口調で詠う。


「■■■■我が■■――〈■■〉」


 あ、ちょっと意味が分かった。

 と思った瞬間には馬たちへと強風が吹き付ける。馬も慣れたものなのか、殊更騒ぎ立てることなく、魔法のドライヤーで乾かされていく。

 そうして、三分も掛からず乾燥作業は終了した。

 魔法ってのは便利なもんだな、ほんと。


「エリアーヌさん、いま少しだけ詠唱の意味が分かりました」

「本当ですか? 凄いですね……」


 エリアーヌも話を聞いていた他の三人も驚いているようだ。

 しかし、俺からすれば嬉しさよりもどかしさの方が大きい。


 魔法を発動させるには詠唱が必要だが、ただ詠唱しても魔法は使えない。それは奴隷時代にも試していることなので、間違いないことだ。

 昨日、宿でクラード語を教わる前に、エリアーヌとフラヴィから色々と教えてもらった。

 魔法を発動するには以下四つの条件を全て満たさなければならないらしい。


・魔法を現象させるに足る魔力を保有していること。

・魔法を現象させるに足る魔法適性があること。

・詠唱はクラード語ですること。

・詠唱の意味を理解すること。


 つまり、ただ詠唱するだけでなく、きちんと自分がどんな意味の言葉を唱えているのか自覚する必要があるという。

 よく小学生などは意味も分からず卑猥な単語を口するが、奴らは意味が分かっていないからこそ、羞恥心を刺激されない。あるいは、味音痴なクズニートに何も教えず云十万円のワインを飲ませても、その価値を理解できない。

 詠唱もそれらと同様で、意味も分からず詠唱を口にしても無駄なのだ。


 だが逆に考えれば、意味さえ分かっていれば魔法は使えるということでもある。

 つまり素人英語と同じで、単語や構文を理解していなくとも、『ディスイズアブック』という一文の発音が『これは本です』という意味だと分かっていれば、使用する分には何の問題もない。

 昨日、話を聞いた俺はすぐにそう考えた。教師二人にそのことを説明し、詠唱の意味をエノーメ語で教えてもらおうとしたところ、こう言われた。


『たしかにローズちゃんの言うとおり、発音と意味を一組で覚えれば、クラード語を学ばなくとも魔法は使えます。ただ、それだと自分の知らない詠唱を聞いた際に困ります。もし誰かが自分の知らない魔法を知っていて、その詠唱を聞いた際、クラード語を知っていれば後で真似てみることができます。もちろん、意味を理解して詠唱しただけで全ての魔法が行使できるわけではありませんが、可能性は拓けます。それに、魔法士との戦闘では相手の詠唱によって次に放たれる魔法を予測します。もし自分の知らない詠唱でも、意味が理解できれば属性くらいは察しが付きますから対処がし易くなります。そして何より、簡単に魔法が使えることを覚えてしまうと、クラード語を学ぼうという意欲がなくなってしまいます。クラード語を話せない魔法士はどこの国でも半人前扱いされ、公的に魔法士を名乗ることができません。猟兵協会に属する魔法士のほとんどはクラード語を未習得の半人前です。文字が読めない者が多いという理由もありますが、魔法系の学校にでも入らなければ、なかなか学ぶ機会がありませんからね。ですから仕方ないことなのですが、ローズちゃんには私とフラヴィさんがいますし、将来のことを考えれば、まずはクラード語から学ぶべきなのです。そもそも、安易に力を手に入れてしまうと自分は強いのだと過信してしまいますし、やはり魔女たる者、クラード語は常識として身に着け、魔女としての心構えを養うべきなのです。世の女性たちは魔力がないために男性たちから軽視されがちで、私たちは魔女ではない者らのためにも知性と品格を身に着けておく必要があります。ローズちゃんからすれば辛くて大変だとは思いますが、是非頑張って習得して欲しく思います』


 などと、長々と説明された。

 後半はほとんど魔女としての心構えなんかが主だったが。

 とにかく、更に要約すればこうなる。


『クラード語を扱えることが一人前の魔法士(魔女)として認められる条件の一つ。対魔法士戦においても有用であり、自己の成長のためにも必須。なかなか学べる機会がないので、この機会に学んでおけ。安易に力を手に入れることは危険なので、まずはクラード語を身に着けて心構えを養え』


 ということだろう。

 昨日はエリアーヌの熱弁ぶりに驚いたが、どうにも彼女は俺の教育に熱心だった。現に今朝も俺を自分の前に座らせて、こちらからお願いする前に講義を始めたくらいだ。


 俺が魔法を学ぶ目的は強くなるためだ。

 そして強くなるのはレオナ奪還のためだ。

 まあ、魔法への好奇心も多分にあるが。

 

 手っ取り早く強くなるのには、詠唱の意味をエノーメ語で教えてもらうのが一番だ。美人教師曰く、正しく詠唱しても魔法が発動するまでのプロセスやコントロールなど、実技面も色々と難しく面倒らしい。だからさっさと実技に移り、幼女でも大人に負けない力を身に着けた方が良い。


 俺はそんなことを考えながら、再び馬に乗って雨上がりの街道を進んでいく。

 エリアーヌは相変わらず熱心に、でも丁寧に優しく教えてくれる。

 教師の才能あるね、この子。


「あの、先生」

「……先生?」


 エリアーヌは虚を突かれたように目を丸くした。

 

「私は教えてもらう側なので、先生と呼んだ方が良いですよね? そうすることで、けじめもつきます。だから私のことも今後はローズと呼び捨てでお願いします」

「けじめって……ほんと子供とは思えないわね。もうロックより頭良いんじゃない?」

「ん? なんだラヴィ、呼んだか?」

「呼んでないわよ」


 隣で馬首を並べるフラヴィは前を行くロックを素っ気なくあしらう。

 そうして再び俺とエリアーヌを見て、頷いた。


「エリー、いいんじゃない? 先生なんて呼ばれる機会、そうそうないわよ」

「そういう問題なのでしょうか……? 人前だと先生という呼称は少し訝られそうですが」

「大丈夫よ、大丈夫」


 フラヴィは気力の希薄な顔に反してぐいぐい推す。

 店でも値切ってたし、見た目に反して結構積極的な美少女だね。


「エリアーヌ先生」

「…………け、けじめは大事ですね」


 エリアーヌを上目遣いに見上げながら、やや舌足らずなロリボイスで呼ぶと、美女は満更でもない顔でウンウンと頷く。


「ローズちゃ――ローズ、アタシは?」

「フラヴィ先生」


 今度も上目遣いで言ってやると、猫耳ツインテ美少女は頬を緩めた。


「ん、いいわね、凄くいいわね。もの凄く可愛いわね」

「フラヴィさん、これはあくまでもけじめですよ。けじめなんです」


 エリアーヌはそう言いながらも、俺の頭を優しい手つきで何度も撫でてくる。

 ……フッ、ちょろいな。

 どうやら俺の上目遣い+ロリボイスはなかなかに母性本能をくすぐるらしい。

 いいぞ、いけるっ、この勢いなら言える!


「エリアーヌ先生」

「はい、なんですか?」

「クラード語がとても大切だということは分かるんですけど……やはり経験も大事だと思うんです。一度自分で魔法を使ってみれば、このために勉強するのだと実感できて、一層のやる気が出ると思うんです。だから一つだけで良いので、詠唱を教えてくれませんか?」


 嘘は言っていない。

 実際、俺も昨日のエリアーヌの長話は一理あると思っている。簡単に力を手に入れれば、調子に乗って痛い目を見るという思考も理解できる。

 もしかして俺って凄いんじゃね?

 という錯覚に陥って努力を怠る。俺にも経験があることだ。


 俺は高校を一年生の頃に中退したわけだが、その翌年の夏には高認(旧大検)試験に一発で合格した。この間、勉強は全て独学である。およそ一年弱、毎日朝から晩まで、ノイローゼになるんじゃないかというほど勉強した。

 おかげで余裕の合格だった。


 しかし、そこで俺は調子に乗った。


 高認が余裕だったんだから、大学受験もなんとかなるだろ……と気を抜いた。おかげで高認合格後から次第に怠けだし、最終的にはセンター試験の一週間前でもエロゲをプレイするほど堕落していた。

 当時の俺は自分が大嫌いだったが、そうした心の弱さが一番嫌いだったのだ。だがそうは思いながらも、結局は自分に負けてしまい、更に自分が嫌いになった。

 結果、俺は滑り止めのFラン大学しか合格しなかった。

 後悔先に立たず。当時の俺は早く自分を変えたくて、Fランでも仕方がないと大学に入学し……そうして喜劇めいた悲劇が幕を開けた。


 だから、ここで安易に魔法を習得するのは危険だろう。

 自分が調子に乗りそうで怖い。仮初めの満足感に囚われて怠けそうで怖い。

 しかし一方で、俺は非力な幼女なのだ。

 自分の身は自分で守れるくらいの最低限の力は一刻も早く身に着けるべきだ。いつでもどこでも周囲の大人が助けてくれる保証はない。特にこの世界には魔物という脅威が身近に存在し、幼女でも奴隷にされる過酷な世界なので尚更だ。

 未来を見据えるのも結構だが、何事も命あっての物種だろう。

 

「うーん……しかしですね……」


 エリアーヌは渋っている。

 そんなに俺は調子に乗りやすい幼女だと思われているのか?

 彼女らの前では、それなりに聡明な面を見せてきたつもりだが。


 ……いや、まさかこの前の秘境探索のせいか?

 アレのせいで俺が欲望に忠実なロリだと思われたのか?

 あ、あれは違うんですよエリアーヌ先生。

 そこに山があったら登ってしまうのが人ってもんなんですよ。


「ま、いいんじゃないの?」

「フラヴィさん、ですが……」

「たしかに実際に魔法が使えた方が励みになるわよ。そう簡単にいくとも思えないけどね。だからこそ早めに練習を始めた方が今後のためになるわ。それに、適性属性は早めに知っておいた方がいいし」


 やはり見た目がエロゲ的ヒロインな猫耳ツインテ美少女は俺の味方だった。きっと前世で二次元な彼女たちを一心に愛し続けたおかげだ。

 ま、嫁の数は優に百人を超えてたけどな。

 フラヴィは俺の嫁。異論は認めん。


「エリーが心配する気持ちは分かるわよ? 魔女ってのは特別だからね、ただでさえ増長しやすいし」 

「……はい」

「でも、その辺はアタシたちがしっかり言い聞かせれば大丈夫でしょ。ローズは頭がいいから、この年頃から教え込めばしっかりした子になるわよ」

「…………分かりました。そうですよね、あまり厳しく教えすぎるのも、ローズには負担ですね」


 エリアーヌは悩ましげに柳眉を寄せながらも首を縦に振った。

 しかし思えば、エリアーヌはそれほどまでに俺のことを考えてくれているということだ。凄く良い美女だな。見た目通り真面目だし、優しい。しかも十九歳という妙齢で美乳持ち。

 エリアーヌも俺の嫁。異論は認めん。


「では、初級魔法だけ教えることにしましょう」

 

 というわけで、ようやく俺の時代が到来しそうだった。


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