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幼女転生  作者: デブリ
八章・渡航編
175/203

第百十八話 『異世界万事神鬼が計に非ず 前』

 

「ウェイン捜索隊っ、出発!」


 甲板上でアシュリンに跨がったリーゼが愛槍アリアを勇ましく掲げ、声高らかに宣言した。


「ダメよリーゼ。危ないかもしれないから、リーゼはみんなとここで待ってなさい」


 当然の如く即座にクレアが止めに入る。幼狐が大人しく言うことを聞くはずがないと見たのか、クレアはアシュリンに睨みを利かせていた。序列に忠実な獣畜生はそれだけで出発できなくなってしまったらしい。


「こらアシュリンっ、何してるんだ! 早く飛びなさい!」

「ピュェェェ……」

「むぅぅぅわぁぁぁぁっ、アシュリンの意気地なしぃぃぃぃ!」


 ユーハから報告を受けて間もなく、みんなが船に戻ってきた。みんなといっても、セイディとツィーリエとミリア以外の面々だ。ひとまずはイヴとセイディが空からウェインを探すこととなったようで、念のためにツィーリエを介してハイベール族にも協力を要請するらしい。ここプラインはハイベール族のシマなので、彼らの協力を得られればすぐに見付かるかもしれない。


「リーゼ、とりあえず朝ご飯を食べましょう。クレアの言うことは一理ありますし、朝は食べないと元気が出ません。どうするにしても、まずは食べましょう」


 俺もアシュリンの大きな背中に跨がった状態で、目の前の小さな背中へと宥めるようにのんびりと言ってみた。メシを食えば少しは冷静になってくれるはずだ。

 今回、俺はクレアのような止める側に回らず、リーゼの味方という立場でいることにしている。海原の只中ならいざ知らず、港だと勝手に町へ繰り出して暴走するかもしれないので、一緒に行動できるようにしておいた方がいい。特に今回はまだ状況が不透明だしな。


「でものんびりしてるとウェインがまた拷問されるかもしれないじゃん!」

「まだウェインが獣王国の手先に誘拐されたかどうかは分かりません。あまり考えたくはありませんけど、ただ私たちと一緒にいるのが嫌になって、いなくなったという線もあります」

「…………あたしたちと一緒にいるのが嫌とか、そんなわけないもん」


 先ほどまでの勢いから一転、珍しく不安げな色の覗く声で小さく呟かれた。


「……リーゼ」


 リーゼは決してアホの子ではない。

 自分たち魔女に関わっていたせいで、ウェインが《黄昏の調べ》の被害に遭ったという見方もあることくらい、この子も理解しているはずだ。しかし同時に、あいつが自責の念に駆られていることも知っているため、自分たちのことを嫌ってはいないはずだと信じてもいる。

 とはいえ、リーゼはアホの子でなくとも、まだ子供だ。元来の性格もあって、理性より感性で生きている。感情のまま現実と向き合っているからこそ、ウェインの失踪は獣王国の手よって攫われたからだと決め付けることで、抑えきれない不安を払拭しようとしているのだ。

 断じて自分たちが嫌われたわけではなく、あくまでも敵の仕業で、敵さえ倒せばウェインは戻ってくる。無論、純粋にウェインを心配する気持ちもあるだろうが、そうした現実であって欲しいという思いがあるから、リーゼの心は逸っているはずだ。

 友達は自分たちのことを嫌っていない。

 悪いのは全て敵。

 そういう自分に都合の良い単純なロジックで安心したいのだろう。


「ウェインは……私たちが嫌いだから一緒にいたくないというより、きっと自分が嫌いで、罪悪感に耐えかねて逃げ出したのでしょう」

「ウェインは悪くないって言ったのに……」

「私たちの言葉を素直に受け取れないほど、心に余裕がなかったんだと思います」


 あいつはなんだかんだで真面目だし、律儀な奴だ。これまでの言動から、俺たちの情報を漏らした自分を責めていたのは確かなはず。俺たちが優しく接していたことで、逆にあいつを追い詰めていたのかもしれない。

 だから、俺たちのことが嫌いになったわけではない……はずだ。

 たぶん、きっと、そうに違いない。そう信じる。


「ローズ……ウェインを見付けたら、なんて言えばいいのかな?」

「ご飯を食べながら一緒に考えましょう」

「……うん」

 

 意外と素直に頷いてくれたが、先ほどまでの元気はなかった。

 きっと無意識下では分かっていたのだろう。

 リーゼはウェインが自発的に失踪したとは考えたくないから、その前提で動きたくはないはずだ。しかし、もし獣王国の手先によって身柄を押さえられていた場合、屋内に監禁されているはずなので、町を飛び回って捜索しても見付からないことは想像に易い。

 つまり、結局は捜し回っても無駄足に終わるし、それをすればウェインが自発的に失踪したと暗に認めることになる。敵の仕業だと信じるには、敵からの接触を待つしかない。

 ウェイン捜索隊として出発しようとしたのは、とにかく動かないと不安に耐えられなかったからだろう。しかし俺が自発的に失踪した可能性を突き付けたせいで、動くに動けなくなったのだと思う。だから珍しく落ち込んだ様子なのだ。

 ごめんよ、リーゼ。

 でも、もし万が一リーゼまで誘拐されたり傷付けられたりしたら、おじさんブチ切れちゃうからさ。最悪、獣王国の王宮にでも殴り込んで王様に責任取らせるくらいはやっちゃうよ。


「みんな、買ってきたわよぉ」


 間もなく、朝食を買いに行っていたベルとトレイシーが戻ってきた。今朝は少しばたばたしているので、お手軽な露店のジャンクフードとなった。

 見張りとしてユーハとベルとトレイシーとアシュリンが甲板で、それ以外は安全のため船室に入って、それぞれ朝食となる。


「……………………」


 室内の空気は重かった。

 片手で持つには少々苦労するボリュームのサンドウィッチをもそもそと食べながら、俺はみんなの様子を窺ってみる。リーゼ、サラ、ルティ、メル、クレア、ライム、ソーニャ、ゼフィラ、八人の表情は様々だった。

 リーゼとメルは明らかに元気がなく、不安そうだ。心底からウェインのことを案じているのが一目瞭然だった。一方、ライムとソーニャはどことなく居心地が悪そうで、やけに大人しい。サラとルティはこれらの中間といった感じだ。不安そうだし、居心地悪そうでもある。

 こうして様子に差異があるのは、ウェインに対する好感度の違いだろう。あいつはずっと鬱状態で、みんなとはろくに会話していなかったので、《黄昏の調べ》に襲撃された一件の後から交流を持った面々は、ウェインのことをろくに知らない。ぶっちゃけ、ライムとソーニャあたりは同じ船に乗る仲間という認識こそあれど、親近感はほとんどないだろう。


「ローズ、零れてるわよ」

「え、あ、すみません」


 ボリューミーすぎて膝の上に落ちた具材をクレアが片付けてくれた。

 クレアは割といつも通りに見える。表向きはそう振る舞っているだけで、内心ではとても心配しているはずだが、そうと感じさせない穏やかさがある。

 ゼフィラも普段と変わらず、平然としたようで超然としているような、無駄に堂々とした様子だ。微塵も悪びれていないところを見ると、なんかムカムカしてくる。


「……ゼフィラさん、本当に気付かなかったんですか?」

「なんだ小童、妾を疑っておるのかの?」


 全く臆した風もなく、真っ赤な瞳を真っ直ぐに向けられると、少し気圧されてしまう。


「い、いえ、そういうわけじゃないですけど……でも、ゼフィラさんなら部屋に人が出入りすれば気付きますよね?」

「先にも言ってやったように、既にお主らの気配には慣れきっておるからの。いちいち気に掛けぬようにしておるのだ。ま、だからこそ、何者かが部屋に忍び込み、あやつを連れ去ったことはないと断言できる」


 うーん……やはり嘘を吐いているようには見えない。

 ウェイン失踪は同じ部屋で寝ていたゼフィラの落ち度も少しはあるだろうに、本人はそう思っていないのか、そもそもウェインの安否すら気にしていないかのように、普通だ。何事もなかったかのように、普段通りだ。

 まあ、自称三千歳の婆さんならこんなもんか。

 ゼフィラの様子はともかく、彼女の発言を信じるなら、ウェインは自発的に出ていったことになる。つまり今回の件に、ハウテイル獣王国が全く関わっていない可能性は大いに期待できる。

 それはそれで……ショックだけど……。


「…………誰か来たっ!」


 ふとリーゼが両の獣耳をピンと立てて、くわっと目を見開いた。かと思えば、残り僅かなサンドウィッチを小さな口に押し込んで、壁際の愛槍を手に取り船室を飛び出していく。

 一連の動きが獣じみた素早さで止める間もなかった。


「クレア、私が行きます!」

「えっ、あ、ローズ!?」


 クレアに引き止められる前に、駆け出した。外は危険かもしれないし、この場にいる子供たちを守る大人は必要なので、ここは俺が行った方がいいはずだ。

 リーゼのように残りの朝食を口内に詰め込み、甲板に出た。

 いつも渡し板をかける辺りにベルとリーゼとアシュリンの姿があったので、駆け寄ってみる。


「あ、ローズちゃん……」


 俺は急いで咀嚼しながら、ベルの困惑ぎみな視線を追い、桟橋に目を向ける。

 オッサンとショタがいた。

 前者はよく見知った眼帯の剣士で、後者は全く見知らぬ五歳くらいの男児だ。破けやほつれの見られるボロっちい服を着ていて、全体的に小汚い。獣人なその子はユーハや俺たちをチラチラと見ており、その目には警戒心と期待感が見え隠れしている。


「……………………」


 思わずリーゼの様子を窺うと、リーゼも俺を見てきた。毒気を抜かれたような顔で、頬をハムスターのように膨らませている。きっと俺も同じような面をしているのだろう。

 桟橋に視線を戻す。

 ユーハは何やら紙を手にしていて、それに目を向けていたが、間もなく顔を上げた。


「このふみによれば、ウェインは攫われたようである。無事に返して欲しくば……などと書かれておる。この幼子は使い走りにされたのであろうな」

「なるほどねぇ。その子は孤児か何かで、お小遣いでも握らせてアタシたちに手紙を届けさせたのね」


 そう言って、ベルは渡し板を歩いて桟橋に降り立ち、ショタの前で屈み込んだ。


「ぼくぅ、どんな人からお手紙を渡すように頼まれたのかなぁ?」

「――――――――」


 ショタは見るからに怖じ気づいていた。初めて遭遇した魔物を前に腰を抜かして逃げるに逃げられない新米猟兵を彷彿とさせる姿だった。

 お化粧した大男に間近からオネエ口調で話し掛けられたら、並のショタは気圧されるだろう。しかもユーハまで側にいるのだ。鬱っぽさは薄いとはいえ眼帯して佩刀したオッサンは堅気に見えない。前世なら確実に事案だ。

 見るも哀れな感じだったので、俺も桟橋に降りた。急いで口内のものを呑み込み、獣人のショタに微笑みかける。


「君、どんな人から手紙のこと頼まれたのかな?」

「……■、■■■■、■■」


 おっと、そうだったでござる。

 ここプラインの公用語は南ポンデーロ語だったの巻。


「ユーハさん、その手紙は北ポンデーロ語ですか?」

「うむ」


 ここプラインより以北は南ポンデーロ語が主流になる。最近は今後のためにも北ポンデーロ語で会話するようにしていて、昨日もそうだった。つまり、この手紙の差出人は昨日俺たちの会話を盗み聞いていたか、タピオ経由で俺たちが南ポンデーロ語を話せないという情報を知っていたか、あるいはその両方か。文面が南ポンデーロ語であれば、まだ希望は持てたんだが……。

 とにかく、先ほどのユーハの言葉からすると、ウェインは誘拐された。手紙は脅迫文か何かだろう。あるいはウェインが俺たちに捜索されるのを嫌がって自作自演している可能性も思い浮かんだが、あいつも南ポンデーロ語は話せん。このショタに頼むのは無理だろう。


「■■■■、■■■■■■■■■■、■■グルエ■■■■■■■■。■■■■■■■グルエ■■■■。■■■■■■■■■■■■■■■■」


 なんか言い出した。グルエってのは辛うじて聞き取れる。

 ノシュカ自動翻訳サービスが恋しくなるな。

 通訳を召喚しよう。


「――というわけでソーニャ、お願いします」

「そういうことなら任せるッスよ」


 リーゼに呼びに行ってもらい、かくかくしかじかと手早く説明すると、青い翼の少女は快く頷いてくれた。

 ドラゼン号のメンバーで南ポンデーロ語ができるのはゼフィラとツィーリエとソーニャ、あと一応ライムの四人だけだ。ライムは聞き取りに問題はないが、話すのは上手くないらしい。


「■■■■■■■■■■■■■■」


 ソーニャがショタと話している間、俺はユーハから手紙を受け取って内容に目を通してみる。


「なんて書いてあるの!?」


 リーゼが覗き込んできたが、念のため声に出して読んでみた。


「えーっと……『子供は預かった。無事に返してほしければ、竜の幼体か卵、もしくはそれに準ずる物品か情報を持って、トワリング砦まで来い。期日は今年一杯までとする』」

「子供ってウェインのことか!?」

「……十中八九、そうでしょうね」


 これ、かなり不味い事態だ。

 ベルも同感なのか、ショタに怖がられて少し落ち込んでいた顔を引き締めて、しかし不安そうな声を漏らす。


「ローズちゃん、これ……やっぱり獣王国のタピオが……?」

「ええ。竜の幼体か卵とあるので、奴の生存と獣王国の関与はもう確定的に明らかです」


 ただの誘拐犯であれば、竜に関するものを身代金代わりに要求しないはずだ。よしんばユーリを竜の幼体と見抜いたとしても、ユーリのみを要求するのが道理だろう。身代金に竜の卵というぶっ飛んだ発想など、普通はできない。

 まあ、ウェインを拷問して話を聞き出していれば、その限りではないだろうが……。


「ローズっ、このトワリング砦ってどこ!?」

「分かりません……でも砦っていうくらいですし、タピオのことも考えれば、獣王国内のどこかでしょうね」

「期日が今年一杯とある故、この砦とやらはここから相応の時間が掛かる距離にあるのは間違いなかろう。あるいは要求されたものをこちらが調達するための猶予やもしれぬが……」

「でも、タピオはメリーちゃんがトバイアスにいることを知らないはずよね? だから調達するための猶予ということはないはずだけれど……でも幼体か卵ってあるし……普通は卵より幼体を要求するわよね?」


 きちんと無事に孵るか分からない卵より、既に生まれている幼竜の方が価値は高い。無論、きちんと孵る保証があれば卵の方が価値は上だが、身代金として要求する以上、俺たちが適当な魔物の卵で詐術を働く恐れがある。だから幼竜のみを要求する方が安全確実だ。

 しかし、卵やそれ以外の物も書いてある。


「相手は確信がないのかもしれません。獣王国の持つ情報は私たち三人とメリーのこと、それと私がどこの国にも所属していない魔大陸出身の魔女で、肝心要の竜については卵を謎の商人から譲り受けたということくらいです」

「うむ。某等と共にいるはずのメリーを確認できなかったが故に、某等が探している者共である確信、あるいは依然としてメリーが某等と共にいる確信がなかったのであろうな。とすれば、ユーリのことには気付いておるまい。故に、幼体の代わりとなる物も要求してきておる」


 まあ、そんな感じだろうな。本当は幼竜が一番だけど、既にメリーが死んでいる可能性もあるから、卵やその他を保険として要求しているのだろう。

 というか、やはりユーリは竜に見えないらしい。図体の大きいな成体なら未だしも、ほとんどの人は竜なんて見たことがない。だから幼竜は魔物と見分けが付かないはずだし、獣王国側は俺と一緒にいる幼竜は赤いと思っている。

 とすると、ウェインは誘拐犯に情報を漏らしていないことになるな。


「つまり、どーゆーこと!?」

「えーっと、とりあえず終わったッスよ」


 話についていけないリーゼが焦れたように叫んだ直後、それに気圧されたようにソーニャが通訳の終了を報せてきた。

 俺はリーゼを宥めつつ、まずはソーニャの話を聞くことにする。


「どうやらこの子はそこらの路地裏で見知らぬ男に頼まれたようッスね。200グルエあげるから、うちの船に手紙を届けてくれって感じに。前金で100グルエもらってたみたいで、届けたら相手からその場で100グルエ貰えるって言われてたみたいッス」


 ユーハとベルを前にしても逃げなかったのは100グルエのためか。

 意外と逞しいショタだな。

 いや、孤児とか浮浪児ってのは普通こんなもんなのかな? 過酷な環境を生き抜いていくわけだし、精神的に早熟だと思えば、怪しくはないか。


「見知らぬ男の特徴とかは?」

「獣人で、ユーハくらいのおじさんらしいッスね。それ以外はあんまり覚えてないみたいッス」


 まあ、この年頃のショタなら仕方ない。


「ユーハさん、100グルエ渡してあげてください」

「……うむ」


 しばし逡巡した様子を見せた後、ユーハはポケットから小銭を取り出し、ショタに手渡した。するとショタは年相応の笑みを浮かべ、もう用はないとばかりにそそくさと、しかしうっきうきな感じに走り去っていった。


「それで、どーゆーこと!? ナントカ砦はどこだっ!?」

「まずは船に戻りましょう。話はみんなにも聞いてもらいたいですし」

 

 辛抱堪らん様子で槍の素振りをし始めるリーゼを落ち着かせつつ、桟橋から船上に戻った。するとマスト上部の見張り台からトレイシーが飛び降りてくる。ショタが俺たちの注意を引く囮だった場合のことも考えて、全体を広く警戒していたのだろう。


「ローズちゃん、どうだったぁ?」


 トレイシーは一見すると普段通りだ。だぼっとした服に、きっちりと後頭部で纏め上げた髪、のほほんとした感じの緩い表情と間延びした口調。しかし、どことなく焦燥感が覗き、いつもより雰囲気が引き締まっている。あのときのように、眼光が鋭い。

 あのとき――俺が彼女と初めて会ったときは、修羅場の只中だった。だからか、なんとなく分かる。普段のダウナー系お姉さんな感じも嘘ではないのだろうが、本性でもないはずだ。今の彼女は無理矢理に自制して上っ面を取り繕っているようにしか見えなかった。

 ウェインと一緒に暮らしていたなら、俺たちの中で最もあいつに思い入れが強いはずだ。我が子同然に想っているだろうし、相当心配だろう。


「中で説明します。ユーハさんとベルさんは引き続き見張りお願いしていいですか?」

「うむ」

「ええ、もちろんよ」


 ユーハは見張り台に上っていき、ベルは甲板上のテーブルセットに向かっていく。俺はひとまずトレイシーに手紙というか脅迫状を渡して、船室に入った。




 ♀   ♀   ♀




「トワリング砦はハウテイル獣王国の中部にあったかと思います」


 そう言ったのは町から戻ってきたツィーリエだった。賭場では割かしセクシーな服だったが、最近はなんの変哲もない旅装姿だ。普通の美熟女にしか見えない。


「国内では五指に入る大きさの主要な軍事施設ですね。有名というほどではないですが、国内を回る商人や猟兵なら普通は知っている要所です」

「そんなとこ連れてかれたらかなりヤバくない?」


 ツィーリエより一足先に戻っていたセイディが顔を強張らせている。そんな危機感も露わな白翼の美天使に対して、冷静な様子のミリアが口を開く。


「アタシたちにその砦まで来いというだけで、ウェインはどこか別の場所に監禁されると考えるのが妥当でしょうね」

「まだこの町のどこかにいる可能性は高いはずよ。この町から連れ出されると、もう見付けるのは絶望的になるわ。ツィーリエさん、ハイベール族の方に出港する船の臨検とかできないのでしょうか?」


 テーブルを囲む女性たちの中で群を抜いて巨乳な黒髪美女が尋ねると、ツィーリエは思案げな顔を見せた。


「不可能ではないでしょうが、難しいでしょう。そもそもウェイン君をこの町から連れ出すのに、船を使うとは限りません。まずは陸路や空路でこの町を離れ、それから船に乗せるということも考えられます。それを前提にハイベール族の方々が出港する船を調べてくれるとは思えません」

「それでも、念のためお願いしてもらえませんか。今を逃すと、もう砦に向かう以外にウェインを助ける方法がなくなってしまいます。そもそも要求通りにしたとして、無事に返してくれるとも限りませんし……」


 普段ならみんなで楽しく食事をするリビング的な船室には、いつになく深刻な空気が満ち満ちていた。子供たちは寝室で大人しくしてもらっているが、俺はこの場に同席している。

 なぜかって?

 今回の件は――今回の件も、俺が原因だからだよ! クソッ!

 いや、クレアたちにはみんなと一緒に子供部屋で待ってろって言われたけど、それは無理ってもんだ。大元の元凶であるタピオを知る関係者として無理矢理に居座らせてもらっている。


「クレア、砦に向かう以外にも、助ける方法はあるよぉ」

「トレイシー? 何かいい案があるの?」

「獣王国の要人を攫うんだよぉ。中堅どころの貴族の嫡男あたりが狙い目かなぁ。それで人質交換をすれば、こちらは何も失わずにウェインを取り戻せるよぉ」


 トレイシーは表向き普段通りな感じだが、やはり相当頭にはきているのだろう。何をしてでもウェインを取り戻すという確固たる決意が伝わってくる。


「まあ、この町で見付けられなかったら、こっちも攫ってやるしかないわね。でも、とりあえずは今よ。方針としては、大荷物抱えてこの町を出ていく奴を片っ端から捕まえて調べればいいのね?」

「それにはやっぱりハイベール族の力は必要よね。ツィーリエさん、もう一度行きましょうか」

「そうですね……それしかありませんか。あまりムンベール族の方々の貸しになるような真似はしたくないのですが」


 ツィーリエはどこか恩着せがましい呟きを残して、ミリアと共に船室を出ていく。他方、壁際のソファに寝転がるゼフィラは酒瓶片手に状況を傍観しており、危機感も何もあったものではない。


「ふむ、問題続きの旅だの」


 いつも通り悠揚とした素振りで酒を飲み、他人事のように呟いている。


「しかし……つまらぬな。この立場、存外に損かもしれぬ……」

「ちょっとゼフィラッ、アンタこの状況で酒飲むだけなら未だしもつまらんとか言ってんじゃないわよ! ここは最年長者として若者に知恵とか力とか貸したらどうなの!?」


 セイディが我慢の限界といった感じに怒鳴った。

 が、当の銀髪美少女はどこ吹く風で再び酒を呷ると、薄く微笑んだ。


「では助言をくれてやる。お主らは今が相当な危機的状況と思っておるようだがの、そう案ずることはない。世の中、案外どうにかなるものなのだ」

「今更そんな楽観できるわけないでしょーがっ」

「む……これだから物の道理を弁えぬ小娘は……」


 少女然とした華奢な手から酒瓶を奪うセイディ。

 ゼフィラは眉をしかめたが、奪い返そうとはせず、寝転がったまま天井を見上げている。


「良いか、小娘。この世の全ては連関しておるのだ。縁が縁を呼び、取るに足らぬさざ波が大波となり、問題は新たな問題を引き起こす」

「いやそれダメじゃん」

「新たな問題が発生することで、古い問題が解決することもある。お主らは《黄昏の調べ》に襲撃されたが、小童が駆け付けたことで助かった。だが今はその小童が問題の原因となっておる。どうだ、《黄昏の調べ》という問題を小童という問題が解決しておるではないか」


 その解釈はなかった! 目から鱗だね!

 ……いやマジで、鱗落ちそう……クレアたちが気に病むから我慢するけどさ。


「すみません……本当に、ごめんなさい……」

「ちょっとコラッ、ローズを責めんじゃないわよ!」

「ゼフィラさん、今のは酷いです。撤回してください」

「ローズちゃんがいなかったら全滅してたんだし、その言い方はあんまりだよねぇ」


 三人から非難の眼差しを受けても、ゼフィラは素知らぬ顔で一人勝手に口を動かしていく。


「何が起こるか分からぬのがこの世界で、だからこそ面白い。故に、お主らそう悲観するでない。予想し得ない何かが起きて、問題が解決することなど間々あるものだ」

「子供の命が懸かってんのよっ、運任せにできるわけないでしょーが!」


 そうだよ、運頼み神頼みは最後の最後までしちゃいかん。

 自分たちの力でなんとかするんだ。


「トレイシーさん、要人を攫うときは私に任せてください。〈幻彩之理メト・シィル〉と〈霊衝圧ルゥソ・クイン〉でこっそりいけます。それまでに転移魔法を覚えられれば完璧です」


 心苦しさのあまり、何か言わずにはいられなかった。

 この問題は俺が解決しないといけない。

 少なくとも、完全に人任せになんてできない。


「ありがとうねぇ、ローズちゃん。でも、大丈夫だよぉ。もしこの町でウェインを見付けられなかったら、ワタシは獣王国に着いたら船を降りるからぁ。危ないことは大人に任せて、ローズちゃんたちは先にシティールへ向かっててねぇ」

「いえ、それはダメですよ! たしかに子供たちは危ないですから二手に分かれるのはいいですけど、私は行きませんよ。私のせいでこうなってるんですから」

「ローズちゃんのせいじゃないよぉ。悪いのは獣王国の薄汚い大人たちで、ワタシたちは誰も何も悪くないんだよぉ」


 トレイシーはそう言って、俺の頭を優しく撫でながら軽く抱きしめてくれる。

 慰められているのが分かって、情けなくなった。


「トレイシーの言うとおりよ、ローズ。アンタだって去年はこんなことになるだなんて思ってもいなかったでしょ。だから、そもそも《黄昏の調べ》のクソ共が全部悪いんだっての」

「私も認識が甘かったわ……。魔大陸での生活が平和すぎて忘れていたけれど、世間は何かと物騒で、旅には特に危険が付きものだっていうのに、少し油断していたわ」


 セイディの言うことはもっともだと思うし、クレアの言うことは俺にも当てはまる。

 少なからず、油断というか楽観していたのだ。

 何かあってもなんとかなるだろうという気持ちがなかったかといえば、嘘になる。《黄昏の調べ》に館を襲撃された件だって、婆さんたちが死んだり引っ越したりする事態にはなったけど、全滅という最低最悪の結果にはならなかった。ボアでは運良く船が手に入ったし、チュアリーでの件もなんだかんだで丸く収まった。それ以前だって、苦労はしたが真竜肝を入手できたし、カーム大森林でもそれなりに上手くやれていた。

 何かあっても、一応なんとかなってきたのだ。

 だから、勘違いしていたのかもしれない。

 何かあってもではなく、その何かが起きないように、問題そのものが発生しないように、未然に防ぐ努力をこそ全力ですべきなんだよ。問題が起きてからではもう致命的に遅いんだよ。

 何が変装だよ何がヤンチャボーイスタイルだよ、俺はずっと船倉に閉じこもっているべきだったんだ。みんなに気を遣わせるからとか、そんなの楽に過すための言い訳だ。

 少なくとも南ポンデーロ大陸の町では、俺もユーハもベルも、人目を避けるべきだったんだ。それなら変装なんて必要ないし、アレコレ心配する必要もない。

 安全確実にリスク回避できる唯一の方策を採らなかった時点で、それはもう完全完璧に俺の責任だ。ウェインは巻き添えってレベルじゃねぇよ、俺があいつを問題に行き当たらせたんだ。疫病神かよ、最低すぎるわ。

 

「……………………」


 ふと我に返った。

 ウェインの気持ちが少し分かったような気がして、冷静になれた。

 こういう思考は危険だ。

 自分一人が全て悪いという考え方は、凄く簡単に現実逃避できてしまえる。それはみんなの信頼に対する裏切りなのに、みんなが大好きだからこそ、みんなを不幸にした俺という敵を許せない気持ちが自責を強いてくる。

 そうだ、自分が敵なんだ。

 そしてみんなの敵は許せない。

 だから自分を許せない。

 こ、これはいかんぞ……ウェインと同じ轍を踏むのも不味いし、ウェインの心理状態も不味い。あいつは自分を本気で敵だと思っているのかもしれん。俺たちを不幸にする元凶だと思い込んでいるのかもしれん。頭ではなんとなく理解していたことだが、いざ実感してみると相当きつい感情だ。九歳児がこれに耐えられるとは思えん。

 

「さて、気合い入れていかないとね」


 セイディは片手を腰に当てて鋭く息を吐き、背中の翼を一度バサッと羽ばたかせた。こういうとき、この美天使は意外と逞しいというか頼もしい。

 俺も気を取り直して、とにかく自分にできることをしていこう。




 ♀   ♀   ♀




 結局、何の成果もないままベッドに入ってしまった。

 先ほどまで幼狐は『敵が来ないか見張るんだ!』と息巻いて甲板に居座っていたので、俺も付き合っていた。だが、いつもの就寝時間からしばらく経つと、案の定リーゼがうとうとし始めた。頭も身体もふらふらな状態ではまともに抵抗できず、幼女は大人たちに連行されてベッドに押し込められると、ものの数秒で安らかな寝息を立て始めた。

 そろそろ九歳とはまだまだ子供なんだし、そんなもんだろう。

 しかし、俺はなかなか寝付けずにいる。


「……………………」


 自分のせいで誰かが不幸になるというのは、辛い。

 自分が傷付くより痛い。

 昔、サラが自責の念に囚われて部屋に引きこもったことがあったが、今は俺も引きこもりたい。なにせ引きこもりは最強なのだ。誰も傷付けないし、誰からも傷付けられない。最強の自衛方法だ。

 だが、それは結局のところ自分のための行為であって、自分を心配してくれるみんなのためにはならないどころか、逆に迷惑を掛ける愚行だ。引きこもることで冷静になれることはあっても、心の傷が癒えることは絶対になくて、問題を先延ばしにすることしかできない悪手だ。

 未熟な子供なら未だしも、俺は精神的には大人である。

 もうニートではない。

 引きこもりたいとは思っても、思うだけで実行はしない。

 代わりに、寝る。

 夢に引きこもるんだ。眠ることで一時的に痛みを忘れて現実から逃避する。俺も色々成長したし、精神的に強くもなったつもりだけど、人間なんだ。どうしてもしんどいときってのはある。

 きっと前世で朝なかなか起きられない社会人とかは、現実が辛くて引きこもりたいけど我慢して、仕方なく夢に引きこもっている人たちなんだ。毎朝なんとか起き続けている限り、それは怠惰ではなく息抜きで、本当に引きこもらないための前向きな逃避なんだ。

 ……良し、言い訳できた。

 俺のせいで色々大変な状況だけど、しっかりと寝る。明日も現実と向き合うために、寝るんだ。朝にはちゃんと起きるから、ちょっと夢に引きこもるくらい全然悪いことじゃない。


「というわけで……おやすみぃ」

「おやすみ」

「――っ」


 声にならない声で呟いたらサラの声が返ってきて、ちょっとびっくりした。


「サラ、まだ起きてたんですか」

「ええ……少し眠れなくて」


 微かに聞こえる程度の小声は静寂を破るほどではなく、むしろ耳に心地良い。おかげでリーゼとルティを起こすようなことにはならないだろう。


「ねえ、ローズ」


 どこか儚げな響きを秘めた声で、改まったように呼び掛けてきた。

 サラの寝床は隣のベッドの上段なので、下段の俺とは最も距離が離れている。しかし、この薄闇と囁くような声のおかげで、すぐ隣で話しているように感じられる。


「なんですか?」

「わたしは……わたしも、みんなに心配掛けてるのよね……?」


 申し訳なさそうな、それでいて他人事のような口振りだった。

 いなくなったウェインを心配するみんなを見て、サラは自分の置かれた状況を客観的に見つめ直したのかもしれない。


「それは……いえ、サラはみんなと一緒にいますから、大丈夫です」

「でも、それはみんなの望むサラじゃないわ」

「――――」


 一瞬、どきりとした。

 サラの口から、自分はサラではないと断言されたようで、息が詰まった。それと同時に、サラが――今のサラがどんな気持ちで俺たちと一緒にいるのか、今更ながら察しが付いて、胸が苦しくなった。


「わたしは……みんなが望むサラじゃない。みんなと一緒に暮らしてた頃のこと、ぼんやりと覚えてるような気がするときもあるけど、でもそれは夢みたいで……他人事みたいで、よく分からないの」

「だ、大丈夫ですよ、そのうちきっと完全に思い出しますから」


 思わず口をついて出た言葉には、我ながら中身がなかった。

 動揺していたのかもしれない。

 そんな俺の空虚な馬鹿さ加減に気付いているのかいないのか、サラは今にも消えてしまいそうな声で薄闇をそっと震わせた。


「思い出したら……わたしは、どうなるのかな? 消えちゃうのかな? みんなは、わたしが消えちゃったら……今のウェインみたいに、心配してくれる?」

「それは、でも……」

「それとも、喜ぶ? みんなからすると、今のわたしはサラを誘拐して、隠して、サラになりすましてるようなものだし」


 自虐的な響きを含んだ声は確かな哀愁も帯びていた。


「……ち、違いますっ、それは違います!」


 とにかく否定しないと不味い気がした。

 頭が混乱して上手く働かないから、サラの発言を論理的に否定できるような根拠とかは思い付かないが、とにかくこれはダメだ。


「……ごめん、なんか変なこと言っちゃった。忘れて」

「いえ、あの……」


 何をどう言うべきなのか、迷った。

 その逡巡の隙を突くように、サラはこれまでと一転して明るい調子の声で――それこそ昔のサラのような声で言った。


「おやすみ、ローズ」

「……お、おやすみ、なさい」


 としか言えなかった。

 下手な発言をしてサラを傷付けたりするよりはマシだろうが、我ながら情けなかった。

 とりあえずゆっくりと静かに深呼吸をして、落ち着いて考えてみよう。今後のためにも、考えることはとても大事だ。


「……………………」


 まず前提として、俺たちの知っているサラと、今ここにいるサラは違う。

 別人というか、たぶん別人格だ。

 一応、昔のことは全く覚えていないわけではないようだが、それは他人事みたいなものだという。しかし、光魔法を怖がったり、姉扱いされることを嫌がったりするところを見るに、その境界は曖昧なのかもしれない。あるいは、心に深く刻み込まれたトラウマは記憶や人格に関係なく影響を及ぼすものなのかもしれない。

 いずれにせよ、サラは言った。ぼんやりとした断片的と思われる記憶は夢みたいで、他人事みたいだと。他人の事、つまり映画の登場人物でも見ているかのような、自分のこととは思えない客観的な情報だ。それを元に、サラはサラとして振る舞っているだけなのかもしれない。

 真っ新な自分が物語の登場人物になったらどうなるのか。

 つまりはそういうことだ。

 想像してみよう。

 目覚めたら周りにはいきなり知らない人ばかりで、自分のことも何も分からない。しかし、周りの人たちは自分をローズだという。言われてみれば、そんな奴を知っている。それどころか、周りのみんなのことも知っている。映画で見たからだ。ここが映画の世界で、自分がローズという役回りだと分かれば話は早い。ローズを演じればいいのだ。最初は不格好でも、朧気な記憶と周りの人たちの反応を頼りに少しずつ修正していき、ローズという人格になりきればいい。いや、なりきるしかないのだ。そうしないと、居場所がないから。ローズでない自分など、誰からも求められていないから。

 

「――――――――」


 愕然とした。

 俺は――俺たちは無自覚のうちに残酷なことをサラに強いていたのではないか。

 今のサラに昔のサラを見ることは、今のサラを否定するような行為ではないのか。もう昔のサラのことは一旦忘れて、俺たちはただ今のサラをありのまま受け入れるべきではないのか。しかし、そうしたら昔のサラはどうなる? でも昔のサラを求めれば今のサラが苦しむのでは?

 二律背反だ。

 今か昔か、どちらかのサラしか選べない。中途半端にどちらも求めることは不可能ではないが、それはとても残酷な行為だ。俺たちにとっては楽な選択でも、今のサラにとっては辛い状況になる。

 俺は……俺たちは、どうすればいいんだ。


「……………………」


 しばらく頭を悩ませた末、全身から意識して力を抜き、嘆息した。

 今はもう無理だ。

 こんな疲れた頭で、眠気もある状態で、まともな思考などできない。

 ひとまずクールダウンするためにも、ちょっと夢に引きこもって、明日改めて考えよう。

 そう思って頭を空っぽにしようとした直前、ふと何か忘れていることがあるような気がした。ボアからはリーゼやみんなの精神状態だったり、チュアリーからは転移魔法の練習もあって、考える余裕がなかったというか、もう敢えて考えないようにしていた何か……何だったっけか?

 少し思い出そうとしてみたが、すぐに思索を打ち切った。

 もう眠気であんまり頭が回らないし、今はウェインとサラのことで頭が一杯だし、思考が散らかっている。今は眠って脳内を片付けて、起きてから改めて現実と向き合おう。

 せめて夜くらいは非情な現実から目を背けて、楽しい夢を見るんだ。

 

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