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第一話 エドウィン・ハイネン

「へぇ・・・・・・ここが十層か」


 屈強な男達の中に紛れた11、2歳の少年は一人で、九層と十層を(つな)ぐ門から、街並(まちな)みを眺め、そう(つぶや)いた。


「お待ちしておりました。エドウィン・ハイネン殿でお間違いありませんね」

「あ、はい。第六層(オーチェナム)出身、エドウィン・ハイネンです。あなたは・・・・・・」


 薄暗い色のローブを纏ったいかにも(・・・・)な女性が現れ少し驚いたものの、ここは魔法が特に発達した街だ。なにもおかしいことはないだろう、と割り切って街から女性へ意識を切り替える。


「私はここの領主であるヨハネス様の(つか)いです。詳しい話は後ほど。ここでは(いささ)か目立ってしまいますから」


 この女性の言う通り、少年が一人でいるだけでも目立っていたのに、女性が加わったお陰でエドウィン達の周りには人だかりができ始めていた。

  というのも、この女性、顔はローブでよく見えないものの、ローブ越しでも十分に女性らしい体のラインがわかってしまう。

 必要もなくこれ以上目立つのは彼とて本意ではない。


  彼女が差し出した手に、エドウィンはそっと手を重ねた。


────────その途端に、景色が弾けた。


 そして、気がついた時には、既に目の前には豪華な屋敷の応接間のような空間が広がっており、女性が跪く先には一人の中年の男性が座っている。これが噂に聞く『魔法』なのだろう。


  領主と聞くと、でっぷりと太った人物を想像するかもしれないが、目の前のこの領主はそんなこともなく、少し筋肉質なくらいだった。


「よく来た、エドウィン・ハイネン。お前の噂はかねがね聞いているよ」

「恐縮です、ヨハネス卿。して、お話とは?」


 そう、エドウィンはこのヨハネスからの「話があるから来い」という内容の手紙を受け、ここまでやってきたのだった。


「あぁ、君には天才的な武術の才能があると聞いている。それに、三年前の『アレ』は私も見せてもらった。君は必ず大きな戦力となるだろう」

「身に余るお言葉です」

「いや、齢十三にして、剣術、忍術の二つに()いて師範に肩を並べた者など君以外にいるまいよ」


 そう言ってヨハネスは苦笑した。


「話が逸れてしまったね。君を呼んだのは他でもない。魔法を学んでみないか?」

「はっ、私めに出来ることであれば、微力を尽させていただく所存です」

「あぁ、そう言ってくれると助かるよ。見たところ、君は魔法にも相当な素質がある」


  そう言ってヨハネスは再び苦々しく苦笑を浮かべた。


  こうして、エドウィンの魔法を学ぶ生活が始まった。

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