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プロローグ
──おまえの人生など無意味だ。
“声”は彼の耳元でそう囁いた。
──おまえがこれまで得てきたものなど、どれもこれもいずれ失うはずのものばかりだ。
“声”は何か言い返すことを決して許さない。
“声”は彼が言い返す言葉を考えている間にさらに絶望の言葉を呪文のように浴びせ続ける。
──これから先もそうだ。おまえは勝ち取った分だけ失い希望の数だけ絶望し続けるのだ。
逃げようとしてももがいても“声”はまとわりついて決して彼を放そうとはしない。
──おまえの人生など無意味だ。無意味だ……………………