ハーフエルフの台頭。
この町は、この国、フウガは平和になった。
その実、表の顔は帝国として世界中に影響を及ぼす程巨大な国となった。
その実、裏の顔は知恵者や力自慢が他国に移住する逆転現象がある。
取り仕切る者はミカドからブルーブレスへと移譲したのがそのきっかけだと気付く者は少ない。
少ないが、居る。ミカドだ。もう歳だからと引退を決め込んでいたがそうもいかない程にジョヴァンニが栄え始めたのだ。
ただ栄える訳ではなく、その在りようは野蛮の一言に尽きる。
知恵者は切れ者と名前を変えて塾に集結した。決起に似たようなものだ。
力自慢は道場へ向かう。元来の道場とは違い技で相手を圧倒するのではなく単に力を比べる場になっている。
そして厄介な事にどっちつかずのならず者までも巻き込んで勢力を拡大している。
それが今のジョヴァンニの姿だが、いずれも民間レベルで行政執行では手に負えないのが実情だった。
上からの抑えが効かないというのはエルフを失ったからだろうと推測できる。
先の大戦で我々はエルフを失った。エルフという最高指導者でありながらこれまでの魔法文明の礎を失った。図らずも勝利してしまったのだ。
人間と亜人種の連合で共闘してエルフを倒した。
それ自体は歴史的快挙であり、事実大勝利だった。これ以上ないという程の上出来な勝ち方をした。今にして思えば勝たざるを得ない所まで詰め寄られていたのかもしれない。負ける事でエルフ達は結束して反撃の機会を探っていたのかもしれない。だけど結果は歴然とした勝利だった。
エルフとドワーフの王族が消えた。魔法の道具の主要なものは全て消えた。残ったのは名前も無いエルフと技術を持たない技術者集団だけとなった所を一気にゴブリンの英傑たちが攻め込んだ。
恐らくまた歴史の闇に逃げ込んだのだろうが、これまでの元首として君臨し続けたエルフを失うと言う事は新たに元首を立てなくてはいけない。それは勿論フウガの王族と言う事になった。
ハーフエルフが世界の元首となったのだ。
そうなるとジョヴァンニの出身のハーフエルフ達も黙ってはいない、と言う事だろう。しかしジョヴァンニのハーフエルフには明らかに教養が足りなかった。そこでブルーブレスさえ押さえておけば後はなるようになると考えたのがフウガの王族だ。
フウガの王族は長らく権力の座を人任せにして来たというのにここに来て猛威を振るい始めた。それがこの事態を引き起こしたと考えられる。が、責任所在をどうこう言っても始まらないのが実態だ。
早急に手を打たなくてはいけない。そこでエルスヴァンのエルスト四世を頼る事にした。彼の父エルスト三世は真っ先にゴブリンを英雄に祭り上げた実績を持つ賢王だ。だからという訳は無いが四世もきっと焦っている。と、踏んで、頼み込んだ。
結果、エルスヴァンはジョヴァンニと組する事が分かった。
当然だったがそこまで読み取れない方が悪い。エルスト四世は隠し事をしないタイプの人と分かったし、ジョヴァンニの勢力の大きさが分かっただけでも良しとして次の手を考えなくてはいけない。
そこで白羽の矢が立ったのはやはり、レッドとヒュートレッドとなる。
彼らは今、消沈しているが、起って貰わなければならない。なにせこれまでの実績はエルフの大帝国を突き崩す原点となった程だ。今は酒におぼれている様だが、やって貰わねばならない所まで来ている。
フウガの為に、延いては世界の為に。




